メディアグランプリ

病み投稿をしていたかつての自分へ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:甲斐菜子(ライティング・ゼミ特講)
 
 
SNSやインターネットが普及した今、素人でも簡単に文章を発信することができるようになった。
多くの人たちが情報発信する中、私も例にならってTwtter、Facebook、Instagramなど複数のアカウントを持っている。
それぞれに発信する事柄や、発信する対象を使い分けている。
FacebookやInstagramは自分の友達や会社の人たちとつながり、プライベートな思い出を公開するためのもので、プライバシー設定も厳重なものにしている。日記のような位置づけで登録したSNSだ。
一方でTwitterやnoteは、不特定多数に公開している。
更新機会はどれも月に一、二度あるかないかで、ほぼ閲覧用のアカウントになっているのが現状だ。
一日に何度も投稿していた昔と比べてだいぶ落ち着いた。
 
高校生の頃、同年代の間で流行ったのがホームページを作ることだった。
携帯で簡単にホームページが作れる時代、友達と共同アカウントでホームページを作った。
プロフィールを乗せるページから、Twitterのように短文を発信する「リアル」、Facebook代わりの「ブログ」、確か足跡機能なんかもあった気がする。
一般高校生の個人情報が全世界に発信される、今思えば恐ろしいことだが、
クラス替えの初めましての挨拶に、自分のホームページは必須だった。
お互いのホームページのリンクを貼り、友達の輪を広げたものだ。
ホームページが廃れていっても、媒体を変えて発信することは続けてきた。
 
そんな私が、たまにやってしまっていたこと。
ストレスが溜まったり、不安なことが大きくなるとやってしまう、病み投稿。
「もうやめたい」「いっそ逃げたら楽なのに」
実際はもっと重たい内容の投稿をしたこともあった。
閲覧の多い時間帯に投稿し、すぐに削除する。そんなことをしたこともある。
「大丈夫? 何かあった? 話聞くよ」と言ってほしかったのである。
 
友達は多くないが、悩みを相談できる友達や家族はいる。
聞いてほしい時は「ちょっと相談にのって~」と言って友達をご飯に誘うこともできる。
それでも、誰にも言えない、けれど悩んでいることには気づいてほしい、そんな複雑で面倒くさい心境になったとき、意味深な投稿をしてしまうのだ。
 
私が学生の時からやっていたTwitterを辞めた理由はいくつかあるが、これも一つの理由だ。
多くの友達とつながっていたアカウントで、私も友達も、悩みがあればTwitterに病み投稿をしていた。これがしんどくなった。人の愚痴程、見たくないものはない。自分がいくら楽しい気持ちでTwitterを開いても、友達が病んでいると自分の気持ちも落ちてしまう。自分も友達のタイムラインを汚しているのだと思うと、申し訳なくなったのと恥ずかしくなったのでアカウントを消した。
今は、文章を簡潔にまとめる練習として再登録したが、友達とは一人もつながらないようにしている。そして「自分の一時の感情をつぶやかない」というルールも決めた。友達ならまだ「何かあった?」と心配できても、見知らぬ人間の病みツイートは、友達のそれより見るに苦しいものだと思ったからだ。
 
私は、愚痴を吐き出す場所を意図的に消していった。
自分のアカウントを見返した時に、明るく楽しい思い出で埋めたかった。
 
それでもどうしても、自分の中に生まれる黒い感情や、マイナスな言葉が湧き上がってくる時がある。
感情に任せてSNSアプリを開き、文章を書きあげてしまう。手が止まらない。
そんな時でも公開はしない。下書きに保存する。
これがおすすめで、一度文字にしてしまうと、少しすっきりする。
文字や言葉にするだけで、一人で抱え込むよりも気持ちを軽くすることができるらしいのだ。
 
人の目を汚すことなく、自分の気持ちも晴らすことができる。
ただひたすら、自分の思いをパソコンでもスマホでもノートでも書き綴って、あとから読み返すと
「あー、そういえばこんな日があったな」と割と冷静に過去の自分をなだめることができる。
日が経って当時のイライラや不安が消えていれば、その下書きは削除する。
また嫌な感情が生まれてくれば、下書きに増やしていく。
これができるようになって、SNSともうまく付き合えるようになった。
 
自分の悩みや嫌だったことを客観的に見ることができるので、人の愚痴に対しても耐性ができるのかもしれない。
相変わらず友達とつながっているSNSでは、友達の悩みや愚痴がタイムラインに出てくることはある。
それでも、「私もこんなにつらいのに」と病みバトルに参戦するようにつぶやくことなく「大変だね。ご飯でも行こう、話聞くよ」と人の相談にのれるようになったのは、少なくとも数々の下書きに保存されてきた愚痴やマイナス発言を見直し、乗り越え、削除してきただけのことはあると思う。
 
表向きの私のSNSは、悩みや愚痴のない、楽しい思い出ややりきった達成感溢れる記事が並んでいる。実はその裏で、下書きにはいくつか病みが隠れているのだが、つらい気持ちまで公開する必要はない。「こいつ幸せそうだな」と思ってもらえるアカウントなのであれば、それでいい。
 
 
 
 
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2019-10-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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