リトリートのすすめ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:小野田 輝子(ライティング・ゼミ日曜コース)
「今回の台風はなめない方がいいかもしれない。イベント中止も検討しよう」
共同主催者から届いた一通のメッセージ。私はそれを見て固まった。
「あの会場で開催することを楽しみにしていたのに。申し込みもいただいたのに。それなのに、中止か……」
偶然その会場を見つけた。田んぼの中にたたずむ木造2階建てのホテルだ。木のぬくもり溢れた開放的なラウンジを一目見た途端、ここでイベントを開催したいと思った。それから話はとんとん拍子に進み、告知をするとすぐに申し込みが入った。しかもその土地だけでなく、他県からわざわざ旅行も兼ねて来てくださる方までいた。参加者の皆さんの想いも重なり、私はどんどん期待と希望で胸がいっぱいになっていた。
イベント開催まであと二日。そんな時に台風はやってきた。今年最大の台風、アメリカのハリケーンにも匹敵するほどの大きな台風らしい。散々悩んだ挙句、会場での開催を中止しオンライン開催に変更することにした。
イベントは半日。だが私はその前後の二泊三日、そのホテルに滞在する予定だった。天気予報や鉄道の運行予報を見ると、移動日は台風の影響を受けないようだった。私の心の声が「行きたい」と言ったような気がして、その感覚に従うことにした。イベントはオンラインで開催することに決まったのだが、とにかくその会場に行きたかった。
台風の影響を全く受けずにホテルに到着した。開放的なラウンジに座り「この三日間は自由だ。この場所で時間を過ごすだけだ」とホッと安心した。普通はいつもと異なる場所に行けば、その土地を楽しむため観光や地元のレストランに行くだろう。だが今回は台風が来ている為、基本的にはホテルにこもる。家からホテルへ体の場所は移動したが、その拠点から動かないという意味では家にいることと同じなのかもしれない。
だが違った。
ホテルラウンジではひたすらゆっくりした。たまにパソコンを開いたりソファーで読書をしたが、基本的にはノートに自分の気持ちを書いたりとにかく自分と向き合った。いつも家でノートを通して自分と向き合っているが、全く家とホテルでは違うのだ。
自分が非日常空間にいるということ。家事やテレビなど私を誘惑するものが一切ないこと。この開放的なラウンジでただただ自分に向き合うのだ。
リトリート
この言葉を聞いたことがあるだろうか。リトリートとは「隠居。避難。また、隠居所。隠れ家。避難所。仕事や家庭などの日常生活を離れ、自分だけの時間や人間関係に浸る場所」などを指すのだそう。
仕事や家庭などの日常生活を離れ、自分だけの時間や人間関係に浸る場所。
この三日間の私がまさにそうだった。そうか、私はリトリートをしにこの場所へ来たのだ。
いかに私たちの日常は仕事、家庭、人間関係などから影響を受けているのかがわかる。それももちろん歓びや楽しさに繋がる。だがひたすら自分と向き合うということは、あえて場所を移動でもしなければ難しいのかもしれない。
私にとってこのホテルは、ただ穏やかな気持ち、安心した気持ちにさせてくれる場所だった。というよりも、本当の自分はこんな穏やかな心なのかもしれない。と思い出せる場所だ。
旅行というと非日常。日頃の仕事、家庭、人間関係から解放されるために行く。また明日から頑張るために行く。そのようなイメージを持っている人も多いのではないか。しかしリトリートは旅行とは違う気がする。
本当の自分はこうだったんだ! という安心感を得る。
これまでのこと、これからの未来、そして自分への信頼を得る。
この穏やかな気持ち、本当の自分の気持ちがあれば、仕事、家庭、人間関係など外側のことは対して気にならない。結局は周りではなく、自分だった。と気付く場所。
自分を大切にしようと思える機会。
元の場所に戻っても、本当の自分で過ごす心を育んでいけるもの。
リトリートとはマイホームのようなものかもしれない。
これまでの賃貸住宅から、自分たちの家に引っ越しをすると安心感を得る。これからの未来に想いを馳せ、ワクワクできる。小さなことでも傷をつけないよう、清潔に保つよう大切に住む。そして家族だけのストーリーを育んで行ける。
リトリートで本当の自分に戻ることも同じだ。安心感を得る。自分のことを大切にし、自分との関係を育もうと思える。
もし今あなたが疲れていてリラックスをしたいと思っているのなら、リトリートをオススメする。場所はどこでもいい。もしかしたら近所のホテルでもいいのかもしれない。ただ普段と違う場所へ体を移動させる。テレビやスマートフォンなどのあらゆる情報から自分を離し、自分との時間を楽しむ。読書をしたり、ノートに想いを書いたり、窓の外をただ眺めることもいい。
仕事や家庭などの日常生活を離れ自分だけの時間や人間関係に浸る、あなただけの場所へ出かけよう。
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