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応援上映に行ってみた!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松崎めぐみ(ライティング・ゼミ秋の9日間集中コース)
 
 

映画というのは静かにみるものだ。
携帯の光は鑑賞の邪魔。おしゃべりはしない。
映画館に行けば、映画本編が始まる前に、これらの注意事項について映画館のCMが流れるだろう。
 
 
一方、応援上映というのは文字通り声を出していいという上映だ。そのうえ、アイドルのコンサートで使われるようなサイリウム(光る棒)、うちわの持ち込み可という、特別な上映形態だ。
なんだ? それ? 私も最初聞いたときそう思った。
 
 
けれども、応援上映に行ったツイートが流れてくると。
「めちゃくちゃカロリーを消費した」
「叫びすぎて、喉が枯れた」
「紫のサイリウム振りまくった」
なんだ? ますます気になるぞ? 映画館で何が起きている?
 
 
同じ作品を一度見ていた。もちろん、普通におとなしく鑑賞した。正直感動し過ぎて3回行った。同じ映画に何度も行くなんて人生はじめてだけれど……。それ以上に応援上映に行った感想はみんな「楽しい」とコメントしている。
応援上映というものが、とても気になった。
これがラストの応援上映です、というツイートが流れてきて、私は怖いもの見たさに座席を取ってしまった。予約開始1時間で「映画刀剣乱舞」の最後の応援上映は売り切れた。
 
 

応援に行ったことがあるという友人にアドバイスを聞いた。サイリウムは持っていけ、ドリンクはLサイズを頼め、と言われた。
私は応援上映のためだけにサイリウムを買ってしまった。
 
 
生まれて初めての応援上映はとにかくすごい熱気だった。そもそも、映画が公開されてから5か月以上たっている。錦糸町で行われるこの回が映画の最後の上映であり、最後の応援上映だった。
 
 
さすがの私も緊張した。席に座る前にLサイズのドリンクに口を付けてしまった。
とにかく私は応援上映で初めである。サイリウムの使い方、掛け声とはどうすればいいのかわからない。とにかく応援上映を楽しもうという、少し消極的な姿勢でいようと思った。
映画が始まる前に後ろから、大きな声がかかった。
「今日は最後だから、最初は映画に対する感謝の掛け声協力お願いしまーす」
唐突に掛け声練習が始まった。いきなりフルスロットルだ、この人たち……。
 
 
「ありがー」とリーダーが声をかけて、
「とうけんらんぶー」と観客も声を上げる。
 
 

ここにきている人たちはもう熱烈なファンなのだ。そもそも発売1時間で売り切れたチケットを持っている時点で相当のファンなのだ。とにかくこの人たちについて行けば間違いない。私も腹から声を出して掛け声練習をした。
 
 
え、楽しい。
声を出すのが楽しい。まずこんなに大きな声出したことあったか?カラオケでも一緒にいる人に遠慮してここまで大きな声は出したことはない。
声を出すだけでテンションが上がった。私の心の中のエンジンはフルスロットル。
 
 

そろそろ上映が始まるというタイミングで、後ろから声がかかった。
「わたしー! 応援上映! 初めてなのー!」
そんな! 大声でそんな告白をされたら、私だって言うしかない!
「わたしもー!」
消極的な姿勢はどこかに置いてきた。周囲の笑いと拍手はおめでとうと、私たちを祝福してくれた。
 
 

それから怒涛の2時間だった。
最初は燃える本能寺から始まるため、赤で揃えたいと声があった。色を変えられるサイリウムで客席でそれぞれ付けた瞬間は鮮やかに散らばっていたが、映画が始まることにはすっかり赤に切り替わっていた、
映画館も赤く染められた。炎のように赤いサイリウムを揺らした。
もう気分は織田信長を取り囲む明智軍だ。会場の気持ちはこの時点で一体化していた。
 
 
あとは大声の応援と大喜利大会と化した。
「大好きー!」
「かっこいい!」
「頑張って!」
と声をかける物もいれば、固い地面の上で目覚める織田信長に向かって、
「おはようございまーす」
「調子はいかがですか?」
「殿ぉー。そんなところで寝ていて痛くない?」
それには周囲はどっと笑った。
 
 

応援上映とはただ応援するだけの場所ではなかった。この映画を最大限に楽しむための上映だった。
観客側が楽しませるのだ。
応援する声が大きい、面白いことを邪魔な声だと、怒る人など一人もいない。
映画は映像を楽しむものである。それと同時に応援上映は観客が映画を楽しませるエンターテイナー側に回る。
 
 

みんなが全力で楽しんで、そして楽しませた。一人で応援してもそれは奇妙な光景かもしれない。けれど、あの熱気の中に身を置くと、自然と声が出るのだ。ただ、作品が好きな人たちが集まって、愛と笑いを共有する。そして、2時間を全力で楽しむのだ。
終わったころには喉はカラカラだった。Lサイズのドリンクが足りないほど、私は叫んでいた。サイリウムを振り続けた右手はもう重く持ち上がらなかった。
 
 
応援上映を一言でいえば楽しかったに尽きる。そして、作品を愛する人と楽しさを共有することの喜びは特別だった。
 
 
もし、あなたが映画を見る時に悩んだら、2回見ることをお勧めする。1回目は通常上映で作品を鑑賞する。そして2回目で応援上映に足を運ぼう。
 
 
きっと映画の常識が変わるだろう。

 
 
 
 
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2019-10-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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