迷子のUber Eats配達おじさん
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:清水 亜美(ライティング・ゼミ日曜コース)
先日、ライティング・ゼミの第5講の帰り道。
小雨が降るなか東京天狼院から帰る途中だった。
薄暗い商店街を池袋駅に向かって歩いていると不安そうにキョロキョロと辺りを見回しているおじさんがいた。
白い手ぬぐいを頭に巻き、上下セットアップの紺色のジャージにママチャリにまたがり、スマホの地図とにらめっこしながら、真剣な眼差しである。
何がそんなに真剣になっているのかと思ったが、薄暗いなか、そのおじさんをしばし観察してみたとこと、ママチャリの荷台には黒いフォルムで「Uber Eats」 のロゴが入ったお馴染みのあの四角いバックを昭和の配達員かのごとくママチャリの荷台に紐でくくっていた。
一瞬、何かに追われて必死に逃げているようにも思えたが、Uber Eatsの配達先を見失って慌てていたようだ。
残念ながら、池袋の土地には詳しくないので、心のなかで声を掛けないでくれ…… と願ったが、相手のおじさんは真剣なので、通りすがりの人間のことは目に入っていないようだった。
手助けしたい気持ちもそこそこに迷子のUber Eats配達おじさんに「がんばって!」 とエールを送り、終電が差し迫る池袋駅に再び足を進めた。
すると、ジュンク堂書店の交差点でまた別のUber Eatsの配達するお兄さんに遭遇した。
こちらは迷いなんぞお構いなしな感じで余裕の面持ちで信号待ちをしていた。
スタイリッシュなスポーティーな装いで、このまま競輪ができるのではないかというタイプの自転車にオシャレなスマホホルダーを取り付け、カッコいいヘルメットを身に付けているという、みなさんがよく想像するであろうもしくは、目にするであろうUber Eatsの配達スタイルだ。
先ほどのママチャリで迷子のおじさんとは雲泥の差である。
どちらの方に届けてもらいたいかといえば、当然後者になるであろう。
玄関先での感動がおそらく数倍違うかと思われる。
この2人のUber Eatsの配達員の服装差が気になったので、調べてみることにした。
基本的にUber Eatsは自転車やバイク、スマホを持っていれば配達員の登録ができてしまうというという衝撃だ。
仮に自転車を持っていないとしても、最近、都市部でよく見かける時間貸しのシェアサイクルを利用してもOKとのことだ。
さらに驚きなのはUber Eats側から支給されるのはあのお馴染みの四角いバックのみだということ。
それも、しっかりと配達員に請求されるという仕組みである。
日本のように「必要なものは完全に会社から支給ではない」というところは大きな違いではないだろうか。
それがUber Eatsの配達員の服装にも反映されているのではないだろうか。
服装の規定も特になく、お店と配達先のお客様に不快を与えるような服装であればよさそうだ。
なので、今回目撃した頭に手ぬぐいを巻いた昭和スタイルの迷子のおじさんママチャリ配達員も成り立つということだ。
そして、実際にUber Eatsの配達員として働いている方々の声も調べてみた。
一部のメディアなどでは配達員のトラブルも言われているが、空いた時間を使いたい方や日々のスケジュールをしばらく先まで見通せないという方にはピッタリな職業、もしくは副業になるのではないか? と感じた。
配達員登録をして、あの四角い専用バックを持っていることが前提になるが、専用アプリで仕事が「できる・できない」 を簡単に操作できるので、急に時間が空いたから数時間だけ配達員の仕事してみよう! というのができることと、仕事しようと思っていたけど、雨が降ってきて配達員の仕事したくない…… というのが当たり前のようにできる。
これが日本の一般企業であれば、ブーイングどころか、一気にお先真っ暗状態である。
運が悪ければ、即リストラにもなりかねないが、Uber Eatsでは個人の働く自由の選択ができるところが大きなメリットであると思う。
やはり、海外の企業なので成果主義のようで、働く自由はあるが、逆に他の人が働きたくないであろう日や時間(雨の日など)に仕事をした場合はインセンティブもあり、給料の支払いもかなり早いサイクルで支払われているとのことだ。
会社側から決まった支給品が専用の配達バックのみと少ないからこそ、配達員のインセンティブなどに回す余裕がでるのかもしれないとも思った。
個人的には制服などがあった方が楽と思ってしまうが、それぞれ個人に合う・合わないがあるので、多く給料支払うからその分、自分で配達に必要なものは用意してということかもしれない。
Uber Eatsの配達員は基本的に自転車などの配達になるので、体力がある・体力を付けたいという方が対象かつ、体力勝負のようなところもあるので、やや男性向きではあるが、同じようなスタイルの働き方が日本にも広く浸透してほしいと思う。
Uber Eatsの配達員の方々はラフな服装の方々が多いと思っていたが、日本の企業のように規則的なことがほとんどないことが服装の差を生んでいたことが衝撃だった。
そして、あの迷子のママチャリおじさん配達員はお客様のところへ無事に配達ができたのだろうか……。
ぜひ、鮮度を保ったまま届いたことを願いたい。
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