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タンスの角にぶつけた足の小指が今回の旅行で教えてくれたこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:カネマルチホ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
3連休の週末に2泊3日の旅行を予定していた。旅行なんて久しぶりだ。どれくらいぶりだろう。20代の頃はいろんなところへ旅行していたが、周りの友人たちは結婚したり子どもが生まれたりでお互い生活環境が変わり、最近ではめっきり旅行しなくなった。最後に旅行したのはいつだっけ、と思い出してみる……。そうだ、2年ぶりの旅行だ。久しぶりの旅行にワクワクしていたし、テンションも上がっていた。
 
しかし、そんな週末を控えた水曜日の夜。
タンスの角に思いっきり足の小指をぶつけた。そそっかしい私にはよくあることだ。自分が悪いのに「痛っ!」と言ってタンスを睨みつけるのもよくあること。
ただ唯一いつもと違ったのは、翌朝に小指が紫色に腫れ上がっていたことだった。
 
普段の私ならちょっとしばらく様子をみようかな、とのん気に考えていただろうが、なにせ週末に2年ぶりの旅行が控えている。もし何か異常があったらどうしよう。ちょっと不安になり念のため病院に行くことにした。
 
人生初めての整形外科へ。
受付の人、レントゲン撮影をしてくれる人、私を担当してくれる全ての人に「タンスの角に小指をぶつけてしまって。大したことないと思うんですけどね、週末に旅行に行くので念のために来ました~」と、その度にへらへらと照れ笑いで伝えた。
足のレントゲンを「上から」「横から」さらには「指を広げながら」「左右を比較するために」と色んなポーズで複数枚撮影された。そんな大袈裟な、と思いながら。
 
しばらくして診察室に呼ばれ、医者の先生にも「タンスの角に小指をぶつけてしまって……週末に旅行に行くので念のために……」と例の言葉を同じようにへらへらと照れ笑いで伝えた。
レントゲン写真を見ながら先生が「折れてますね」と言った。「え、ウソでしょ?」私はそんな顔をしていたと思う。
「まあ,せっかくの旅行だからね。旅行に行くなとは言わないけど、あまり歩きすぎないように。なるべく安静にね」と先生から言われた。
看護士さんに足の指と足先を包帯でぐるぐる巻きに固定され、病院で支給された大きめのスリッパを履いて家に帰った。さて、週末の旅行はどうしたものか。
 
私にとって旅行は食べ放題に似ている。
「せっかくバイキングに来たんだから」と欲張って、あれもこれも、いろんなメニューを少しずつ皿に盛りたくなるあの感じ。
旅行でも「せっかくここまで来たんだから」とついつい張り切って、ここもあそこもと行きたいところをピックアップしすぎてしまう。行けそうなところには全部行きたい。けれども、結局どれも急ぎ足になって、大抵見て回るだけで疲れ切ってしまうのだ。それが今までの旅行パターン。
この歩き疲れる感じも達成感があって好き。スマホの万歩計アプリにカウントされるあの歩数の数値が、私の旅行の満足度を示してくれているような。
 
もし足の小指が折れていなければ、今回の旅行ももちろん色んなところへ行くつもりだった。行きたい場所にはグーグルマップ上にいっぱい印を付けていたし、おすすめスポットをネットで検索したり詳しい友達に聞いたりしていた。でも歩き回れないのだから、仕方がない。潔く行きたい場所は全て諦めて、今回一番の目的である現地の友人や知り合いと会う以外は宿泊先のホテルや近くのカフェでゆっくり過ごした。
 
今回の旅行はわたしにとってカウンセリングのようだった。
日常から離れて、普段の仕事や家事のことはスッカリ忘れて、自分としっかり向き合う時間がたくさんあった。
日頃は目の前の生活のことで忙しすぎる。「あの仕事の進捗状況はどうだったっけ」とか「そろそろ洗濯物たまってきたな」とか。ゆっくりしようと思っていても、あれやこれやとやらなきゃいけないこと達がすぐ頭の中を埋めつくしてくる。
今回の旅行では何もない静かなホテルの部屋で考えごとをしたり、初めて入るカフェで本を読んだり手帳をつけたりしていた。今の自分について分析もしたし、これから将来どうしていきたいのかというところまで掘り下げて、あれやこれやと自分のことだけを考えていた。
旅行のいいところは、日常から身体も心も離れた場所でゆっくり自分と対話できるところだと気づくことができた。
 
そして、今回の旅行の帰路でこれを書いている。今までで一番、スマホの万歩計アプリの歩数が少ない旅行だっただろう。でも万歩計アプリでは測れないぐらい、今の私は満足感と達成感でいっぱいだ。新しい気づきもたくさんあった。
 
旅行前に折れた足の小指が私に教えてくれた。
たまにはゆっくりする旅行もいいものだよ、と。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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