fbpx
メディアグランプリ

ワカサギ釣りという遊園地を越えるうっかりハマっちゃうエンターテイメント。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:門脇 めぐみ(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「お父さんより私の方がいっぱい釣ったよ!」
満面の笑みで小学生くらいの女の子が教えてくれた。
 
今日、私は生まれて初めてのワカサギ釣りに行ってきた。
ワカサギ釣りというと氷に穴をあけて寒い寒いと言いながら釣りをするものだと思っていた。
ところが、実はそうとも限らないらしい。
今日釣りをしてきたのは佐賀の北山ダム湖だった。
 
九州でワカサギ釣りができるとは夢にも思わなかった。
しかも、手ぶらでいいのだ。
持っていくのは、ボートで食べたり飲んだりするための、おやつとお茶くらいだ。
あとは、帽子と風がよけられるような服装であれば全然問題ない。
 
竿(さお)、1日350円。
しかけ、1セット350円。
エサ、1セット150円。
バケツ、プライスレス。
 
1000円しない。
 
貸しボートも2人乗りの手漕ぎボートなら1日3500円で借りることが出来る。
2人で行った場合には、全部合わせてもたった2600円で1日遊び放題なのだ!
 
さらに、釣ったワカサギは持って帰ることができる。
釣った魚をリリースせずに食べることができるのもワカサギ釣りの嬉しいところだ。
 
聞いたところによると、ツワモノはなんと1日で300~600匹のワカサギを釣って帰るという。
そんな馬鹿な……。
一体何日ワカサギを食べ続ければいいんだ!
 
常連さんは教えてくれた。
 
「食べきれなかった分は冷凍しておけばいつでも食べられるよ~」
 
最高じゃないか!
よし! 釣るぞ!!
 
意気込んで友人とワカサギ釣りに挑んだ。
 
いざボートに乗って湖に漕ぎ出す。
水面をすいすいと気持ちいい風を受けながら進む。
最高だ。
 
水の上に浮かんでいる。
たったそれだけのことが、なんて気持ちがいいのだろうか。
水面に飛び出してはじめてわかる。
私たちはいつも陸地にとどめられているのだ。
水面に浮かぶ非日常がこんなにも開放的だとは思わなかった。
 
ほんの少し日常とは違う世界に入っただけで、何とも言えない高揚感があった。
 
ボートハウスのおじさんに教わりながら、そっと竿を湖に落とす。
 
「たまに、ちょんちょんと竿を揺らしてやるといいよ。
クイクイっと引っ張られたらそれに合わせて少し竿を引いてから戻す。
また戻して、もう1回引っ張ってきたら魚が食いついてるってことだよ。
こういうのを追い食いっていうんだ」
 
初心者の私たちに優しく教えてくれた。
師匠、ありがとう!
ボート屋さんのおじさんはすっかり私たちの師匠だ。
 
ドキドキしながらワカサギがかかるのを待つ。
しばらくすると、隣から歓声が聞こえた。
 
「わー! ひっかかったかも!」
 
慌てて友人がリールを巻く。
 
「釣れた~!!」
 
喜ぶ友人にさかさず師匠のツッコミ。
 
「ああ、それはハヤだね」
 
湖には当然、ワカサギ以外の魚もいる。
当たり前のことを知った。
 
その後も、ブルーギル、フナ、もつごなど、いろんな小魚を釣り上げた。
どいう訳だか、私たちはちっともワカサギを釣れなかった。
 
どうしよう。
才能がないのだろうか。
 
見かねた師匠が船をサッと他の場所に移してくれた。
 
「ほ~ら、ここで釣ってごらん」
 
また、ドキドキしながら竿を湖に落とす……。
 
釣りは、釣れれば大忙しだが、釣れなければ途端にヒマだ。
だけど、このヒマなのも意外に良い。
のんびりした時間が心地いいのだ。
風を感じ、陽の光を浴びながら、木々や山、空を眺める。
水の音と小鳥のさえずりだけが聞こえる。
これに楽しい友人たちとの会話があれば十分すぎる。
待っている時間が長い釣りは、女子の方が向いているかもしれない。
飽きることなく話し続けられるから(笑)。
 
そんなことを考える間が、あったかないかのうちに、また竿が引かれた。
大急ぎでリールを巻く。
釣られた魚がキラキラと光る。
 
「お!今度こそワカサギだね!」
 
師匠の一声。
 
「やったー!!」
 
私たちはその後も師匠が案内してくれたポイントでワカサギを釣り上げた。
待望のワカサギは他の魚よりもキラキラと輝いて眩しかった。
ワカサギを追い求めていた気持ちもあるかもしれないが、ほかの魚よりも美しかった。
 
結局、その日の私たちは17匹しかワカサギを釣れなった。
お父さんよりもたくさん釣ったことを満面の笑みで教えてくれた少女は50匹も釣っていた。
前日に釣っていた女子2人組は300匹も釣っていたらしい。
 
完敗だ!
 
だけど、私たちは、釣り上げた魚の数以上に十分に釣りを楽しんでいた。
自然の中にいる心地よさを感じながら、友人や師匠や他の釣り人との出会いやコミュニケーションを楽しんでいた。
 
ワカサギ釣りは大自然の作り出す遊園地のようだと思った。
非日常の中で、ドキドキしたりワクワクしたりしながら魚が釣れるのを待つ。
そして、待った分の釣れた瞬間のうれしさ。
記憶に残る思い出。
 
遊園地もいいけれど、この大自然と優しい師匠が作り出すワカサギ釣りという最高のエンターテイメントもぜひ色んな人に体感してほしい。
うっかりハマること間違いない!
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《11/10(日)までの早期特典あり!》


 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事