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メディアグランプリ

プライム・ビデオは介護業者だ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高橋弘旭(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
最近、アマゾンプライムでアニメや映画をたくさん見ている。
俗にいう、プライムビデオというやつだ。
「君の名は。」に始まり、「アンフェア」シリーズ、踊る大捜査線系列のスピンオフなど。挙げるときりがないぐらいに見ている。
 
そのときに、ふっと気づいたことがある。
「アレ」の存在だ。
 
アンフェアの第1話を見ていたとき、そろそろ話が終わり、エンディングが流れるころ、画面の右下に「アレ」が表示されたのだ。
 
僕はその「アレ」をクリックし、第2話を見ることになった。
 
そして第2話が終わりそうになったとき、ふたたび「アレ」が表示されたのだ。
ぼくはまた、つい「アレ」を押し、第3話を見ることになるのだ。
 
絶妙なタイミングで表示される、まるで食後に運ばれるコーヒーのような「アレ」。
あなたは「アレ」の正体をすでにご存じだろう。
 
そう、「アレ」とは、「次のエピソードを見る」ボタンだ。
 
今見ているエピソードがエンディングに差し掛かるときに表れるボタンだ。
モグラ叩きのモグラのように、ひょっこりとあらわれ、叩いてしまうようなボタンだ。
 
僕は「次のエピソードを見る」ボタンをついつい押してしまう。
「あと1話だけ」と心に誓いボタンを押したあと、「もう1話だけ」と誓いを上書き保存し、ボタンを押す。
そして、「まだ時間あるよな」と誓いをなかったことにし、ボタンを押す。
 
そんなことを繰り返してしまう、悪魔のようなボタンだ。
 
そのボタンのせいで、僕はプライムビデオから離れられなくなってしまった。
半日、いや、丸一日くぎづけになるのだ。
 
きっと、あなたにも似た経験があるのではないか。
勉強の休憩にと1話だけ見ようとしたアニメが、気が付くと最終話になっていた。
シーズンⅠだけ見ようと思っていたのが、シーズンⅡまで続けて見てしまった。
 
こういった経験の裏には、きっと「次のエピソードを見る」ボタンの存在があるに違いない。
 
きっと、アマゾンはよかれと思ってボタンを表示しているのだろう。
このボタンがあればお客さんは次のエピソードをすぐに見られる。
いいボタンだ。
 
いや、もしかしたら別の意図があるかもしれない。
あえてボタンを表示させて、プライムビデオに依存させる設計にしているのでは。
 
いずれにせよ、あのボタンのおかげで映画やアニメを楽しむことができている。
便利なボタンだ。
 
この便利なボタンを、僕はこう呼んでいる。
 
「介護ボタン」
 
介護は、要介護者に対して、日々の生活を支える仕事だ。
 
朝起きた後、トイレへ行くのを介助してくれる。
昼食時、口元まで料理を運んでくれる。
お風呂に入るとき、服の脱衣や身体を洗うのを手伝ってくれる。
 
介護は、要介護者にとってかけがえのない、生活ひいては命を支えている大事な職業だ。
 
そして、プライムビデオに表示されるあのボタンも、介護に似た仕事をしていると思う。
視聴者が、次のエピソードを検索したり、前の画面に戻り次のエピソードをクリックしたりする操作をなくしてくれる。
これは、次のエピソードを見るために、そこに至るまでの操作を介護してくれている。
操作をショートカットさせてくれるのだ。
 
介護することで、段差や階段を使って最短ルートで目的地にたどり着けるように、介護ボタンは次のエピソードを見るための道のりをショートカットさせてくれるのだ。
 
介護ボタンのおかげで、僕はどれだけ救われただろうか。
アンフェアはドラマのエピソードに加え、スペシャル、映画3本を突き通してみてしまった。
トランスフォーマーは2時間映画5章分全てみてしまった。
サイコパスというアニメはシーズンⅠをずっと見ている。22話中、今は15話目だ。
 
救われたと表現していいのか気になるが、少なくとも僕は介護ボタンによって楽しむことができている。
 
介護ボタンはきっと、アマゾンの思いやりからできたボタンだと思う。
視聴者がどうしたらもっとコンテンツを楽しむことができるのか、飽きないようにするにはどうすればいいのか。そんなことを考えた先にできたボタンだと思う。
 
「思いやりボタン」と呼んでもいいだろう。
 
介護も、要介護者への思いやりが不可欠だ。ケガをしないようにとか、痛くないようにとか、たくさんのことを考えて介護する。思いやりの気持ちがあればこそできる仕事だ。
 
たった1つのボタン、それも何気なく押してしまうボタン。
きっと、ほとんどの人は意識することなく、「次のエピソードを見る」ボタンを押しているだろう。単なる便利ボタンと思っているだろう。
そんな便利なボタンは、視聴者を支える存在となっている。
 
そんなボタンに、僕はアマゾンの思いやりを感じた。
そして、「相手の立場になって考える」ことの大切さを教えてくれたのだ。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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