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メディアグランプリ

33,000円のマーケティングは、企みに満ち満ちていた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:河瀬佳代子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
8月30日にかけた電話のあとから、妙な胸騒ぎが収まらなくなっていた。
明らかに、電話に出た男は、変な奴だったからだ。
 
「もしかして、これって詐欺じゃ?」
 
翌朝私はその電話番号を検索した。そしてPCの画面には、見事に、
「03-◯◯◯◯-××××は架空請求詐欺です!」
という文字が現れたではないか。
 
事の発端は、夫から来たLINEのメッセージだった。
 
「某カスタマーセンターからメールが来た。昨年12月に月額有料サービスに加入して料金が未納。意味わかんないけど僕名義なので払って欲しいと言っている」
 
なんなんだそれは。
あまりにも胡散臭い話なので、メールを転送して欲しいと言ったが、転送できないと夫は言う。
 
もしかしたら、それを契約したのは子どもではないか? そう思って、子どもたちにも訊いてみたが違うと言う。誰も身に覚えがない。そこにまた夫からメッセージが来た。
 
「カスタマーセンターに電話した。全国どこのコンビニからでもいいので、一旦33,000円を支払ったのちに、返金手続きをしてくれるとのことだって。未納者リストに名前が載るそうなので、どうにかした方がいいと思う。僕は今行けないので、代わりにコンビニに行ってくれる?」
 
その日たまたま、運の悪いことに、私は夏休みで家にいた。よくわからないけど返金してくれるそうだし、夫が言ってるからとりあえず行くか。ということで1番家から近いコンビニに行った。
 
夫が言うには、そこからカスタマーセンターの担当者のAに電話してほしいとのこと。何の疑いもなく私は電話をした。
 
カスタマーセンターの男Aは非常に丁寧な口調だった。敬語なども完璧で、流れるように返金の手続きを説明した。まるでコンビニの操作画面を見ているかのように。そして私はそのコンビニの端末から、夫の代理でウェブマネーを購入し、番号をAに伝えてしまった。
 
そしてAは、「返金の手続きについて説明を受けて欲しいので、日本インターネット協会のBに電話をしてほしい」と言った。Bは、丁寧な口調で返金手続きを説明した後、こう言った。
 
「ご主人って、住宅ローンやマイカーローン以外で、何か負債はありますか?」
「私が知る限りは、ないはずですけど」
「本当ですか?、 こちらでお調べしたところ、実は△△債権機構のブラックリストに、ご主人の名前が載っていることがわかったんですが」
「いや、そんなはずないでしょ」
「ブラックリスト入りについて当協会として詳細を把握したいが、個人情報のため身内にしか開示しないそうです。一度△△債権機構に問い合わせてください」
 
そんなはずはない。気が進まなかったが、厄介なことになっても面倒だからと思い、私はその△△債権機構に電話をかけた。そこで電話に出た男Cがあまりにも脳天気な、変な口調だった。これはおかしいと思い、個人情報は何も告げずに電話を切った。
 
ここまで読まれたなら、もう十分お分かりのように、私たち夫婦は架空請求詐欺に遭ってしまった。連日メディアで、
 
「ATMで電話しながらの操作は詐欺!」
 
「身に覚えがない請求は詐欺!」
 
と報道されており、自分自身でも、
 
「ぜーっっったいに、引っかかる訳がない!」
 
と自信があったにも関わらず、である。
 
あーーー、やられた。
マジ悔しい。
 
たった33,000円と言う人もいるかもしれないが、33,000円あれば結構いろんなことができる。消費税が10%に上がる前に、キッチンの水栓交換の工事ができてお釣りが来たではないか。そう考えると腹が立って腹が立ってどうしようもない。
 
一体、そんなに騙されない自信があった私たちが、何故簡単に詐欺に遭ってしまったのか?
 
まず、「銀行のATMからではなく、コンビニのウェブマネー経由での支払いだったこと」だ。銀行のATMからの詐欺については広く知られてしまったため警戒されるが、コンビニのウェブマネーだとハードルが低い。しかしよく考えてみると、やっていることはATMからの詐欺に遭うのと同じなのだ。銀行ATMがコンビニ端末に代わっただけ。
 
次に、「身に覚えがない請求なら、一旦支払った後に返金します」という誘い文句だ。
どう考えても身に覚えがない請求なので支払いません、と言っても、「大丈夫です、返金しますから」と言われれば、じゃあそれなら、と支払ってしまう。その心理を利用している。
 
また「某(←誰でも知っている企業名が入る)カスタマーセンター」「日本インターネット協会」という最もらしいワードを並べて惹きつけ、電話に出た者もちゃんとコールセンターのオペレーターのように教育していることだ。「きちんとした、正式な組織です」と印象づけて信用させる手口。
 
極めつけは、「ブラックリストに載っている」と不安を煽っていること。ご丁寧に、ABCという3人の男を経由させての最終段階だ。さらにダメ押しで、私が「夫に頼まれたから代理で手続きしないといけない」という思考回路になってしまったことだ。近しい人の言うことだからと、そのまま動いてしまったことも良くなかった。
 
警察の担当者はこう言った。
「今は詐欺グループも手を替え品を替え、如何にして金を引き出そうかと考えています。今警察で説明していただいたことは、全て彼らが時間稼ぎに考えたシナリオです。まず被害者を信用させて、徐々に不安にさせる。被害者が気がつく前に電話をたらい回しにさせて、その間にウェブマネーを換金し、最後の債権機構の電話から、あわよくば多額の金を引き出そうとしていますね」
 
言い換えれば、こちらはまんまと詐欺グループのシナリオ通りに動いてしまった訳だ。奴らは、心理カウンセラーでも雇っているのかと思うくらい、ちゃんとマーケティングしている。そう思うと悔しい限りだけど、きちんと検索しなかったこちらも悪い。
 
「もうこれからは、夫が何かをしてほしいと言っても、おかしいと思ったら頭から信用しちゃダメってことですよね。身に覚えのないことは調べる、信用しない、ネットで検索しないとね」
「それは、私も耳が痛いです」
警察の担当者も苦笑いしていた。
 
少額の架空請求詐欺が多発している。33,000円で済んで良かったじゃないかと、事の顛末を話した後に私の両親は言っていたけど、「少額だからいいか」という心理がまた被害を生む気がする。何重にも張り巡らされ、心理戦を企まれた33,000円のマーケティングに引っかからないように、また今後も似たような揺さぶりに負けないように、「これは企みじゃないか?」と意識しながら生きないといけない時代だ。
 
 
 
 
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2019-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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