メディアグランプリ

藤堂静と「いい靴」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:成広汐里(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「とびきりいい靴をはくの
いい靴をはいてるとその靴がいい所へ連れて行ってくれる」
 
その言葉を思い出して、目の前の3,980円の靴を選んだ。
 
2,980円と3,980円、1,000円の違いは学生にとっては大きい。
デザインはどちらも似ていて、違うのは値段くらい。
普段の私なら安い方を選ぶ。
でも、最初の言葉を思い出した。
 
それは「花より男子」の登場人物、藤堂静が主人公の牧野つくしに言った言葉だ。
読んだのは10年以上前だけど今でも覚えている。
そのセリフを言っていた彼女はすごくかっこよくて輝いていた。
今でも私の憧れだ。
 
それ以来靴で迷ったら値段が高い方と決めた。
そうすれば彼女みたいになれるんじゃないかと思っていた。
 
その靴を買ったとき、私はぼろぼろだった。
数週間後友達とディズニーに行く、それだけが生きている理由だったくらいに。
そのために靴を新しくした。
行かない方がいいかもしれない。そう思った日もあった。
でもやっぱりあの場所は夢の国で、
「この靴が連れて来てくれたんだ」って思った。
 
でも最近気がついたことがある。
それは「高い靴」が「いい靴」とは限らないということ。
 
探せば3,980円より高い靴はあるだろう。
でもそれが本当にいい靴かは分からない。
 
「いい靴」は「自分の気に入った靴」だ。
その靴を履くと自信になる。
その靴を履くとどこかに行きたくなる。
その靴を履くと誰かと会いたくなる。
その靴を履いた自分が1番好きだと思える。
それが「いい靴」だと思う。
 
それに気がついてから選ぶ小物の雰囲気が変わった。
今までは女の子らしい華奢なものを選んでいた。
でも今持っているアクセサリーは結構個性的なものもある。
土星モチーフのイヤリングや「星の王子さま」をモチーフにしたネックレス、スチームパンクな歯車のネックレス。
家の鍵はカードキータイプだが、そのケースはクレヨンを溶かしたようなデザインのものを使っている。
携帯のケースは好きなイラストレーターさんの受注生産のものだ。
 
「自分に似合うから」も選ぶ基準として大事だろう。
でも「それが気にいるか」「それを持った自分が好きか」も大事だと思う。
誰かに自分のことを好きになってもらうより、自分が自分のことを好きになる方が簡単だから。
自分を評価していいのは自分だけだから。
 
行き過ぎればナルシストだけど、多少はそういう気持ちも必要だし、自分を好きでいる人は他の人から見ても魅力的だ。
そのために服もアクセサリーも選ぶべきだと思う。
 
アクセサリーや靴は音楽みたいだと思う。
 
その選択にその人自身の姿が見えるからだ。
イメージを変えたかったらアクセサリーの雰囲気を変えればいい。
聞く音楽によって気持ちが変わるように、持つものによって気持ちは変わる。
あの靴が私を強く、かっこいい女性だと思わせてくれるように。
 
朝はMrs.Green appleの「ロマンチシズム」で起きる。
1日頑張る力をもらう。
アルバイトに行く道中は椎名林檎さんとトータス松本さんの「目抜き通り」。
1番「これから頑張るぞ! 」という気持ちになるから。
集中したいときは好きな映画やドラマのサウンドトラック。
1日の終わりには嵐の「素晴らしき世界」。
「今日の自分、お疲れ様」と思うから。
 
頑張らないと、と自分に言い聞かせる時はLiSAさんの「紅蓮華」。
好きなアニメの主題歌で、聞くと頑張っていた主人公を思い出す。
すると私も頑張れるのだ。
 
朝どんな服を着て何を着けようと考える。
今日はあのネックレスが着けたいな、じゃあこの服にしよう。
この服なら、このイヤリングかな。
今日はこの靴が履きたいからこの服とこのネックレス。帽子も被ろうかな。
そんなことを考える時間は結構楽しい。
 
形が気に入って買った黒のキャップ。
初めて買ったメンズのパーカー。
最初に出てきた3,980円の靴。
ハンドメイドアプリで一目惚れした時計、ブレスレット、キーケースに定期入れ。
イヤホンから流れるのはジャンルはバラバラだけど全部私の好きな曲。
それらを身につけていると自分が憧れの女性に近づいた気がする。
ちゃんと「自分」を持っている、藤堂静のような女性。
お気に入りのものに囲まれているのはこんなにも気持ちを変える。
1番魅力的な自分になれている気がする。
 
椎名林檎さんとトータス松本さんの「目抜き通り」を聞きながら四条大橋を渡る。
足元は私にとっての「いい靴」。
京都のはずなのにまるで銀座を歩いている気分になる。
実際銀座を歩いたことはないけど。
でも銀座の似合うかっこいい女性になれている気がする。
 
持ち物がその人を表すなら私はどのように映るだろう。
個性的で感性がよく分からないと思われるだろうか。
でもどんな時も、自分が1番好きな私でいたい。
その私を好きになって欲しい。
その私を認めてくれる人に出会いたい。
 
静はやりたいことのために家を捨て、大学を辞めた。
いつでも自分らしく生きている彼女に憧れた。
私も彼女みたいになりたいと思ったから。
 
明日もとびきりいい靴を履いて、とびきりいい物を持つ。
その靴は、その物は、
きっと私をいい所に連れて行ってくれる。
そう信じている。
 
 
 
 
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2019-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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