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メディアグランプリ

誕生日を忘れる私がプレゼントをねだる理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:西村幸知(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
「あなたのおすすめの1冊をプレゼントして」
「漫画でもいいの?」
「うん、本ならなんでもいい。絵本でもビジネス書でも、漫画でも。あなたの好きな本ならなんでも」
そう言って、今年は知り合い全員に誕生日プレゼントをねだった。
それは、自分の誕生日を忘れる今までのわたしなら、想像もしないことだった。
 
大人になって、誕生日を祝ってほしいと思ったことはほとんどない。
むしろ、誕生日が来るたびに「ああ、もう〇〇歳か……」と思い、前の歳を振り返りながら、新しい歳になっても何も変わっていない自分に落ち込む日でしかなかった。
そして、ぼやっと、「次の歳はどうなるんだろう。今年も時間だけが過ぎていくのかなぁ。このままでいいのかな……」と漠然とした不安に駆られるのだ。
そう、いままで誕生日とは「変わっていない自分と変われない自分」を突きつけられる日だった。
 
誕生日近づいてくるほど、その現実も迫ってくる。
意識すればするほど不安になるー。
だから誕生日を忘れることで、そんな「変わっていない自分と変われない自分」も忘れることにした。
 
そんなある日、たまたま友人と本の話になった。
「本って読みます?」
久しぶりに会った彼との話題が尽きかけて、沈黙に耐えきれず、思わず聞いていた。
「読みますよ。最近、菌の本にハマってるんです」
「菌の?え、難しい本ですか?」
「いや、全然。写真集です。菌の顕微鏡の拡大写真が集めた本で、すごくきれいなんです」
「そうか、写真集も本ですもんね。それも意外だけど、菌も意外。文系の佐藤さんから理系のワードがでてくるなんて。本って個性がでるんですね。面白いー。なんか思いつきだけど聞いてみてよかった(笑)」
そういいながら、自分の言葉にはっとした。
自分の本の概念がいかに狭いか。写真集や絵本といった種類だけじゃない、それは人を映す鏡であり、新しい窓でもあることに全く気づいていなかったのだ。
 
いままで本というと、自分が気になるものしか読んでこなかった。
自分の興味のセンサーに反応しないものは、たとえ薦められても「へー、面白そうですね」と社交辞令をいい、そのまま読まずにきた。
 
もしかしたら、「変わっていない自分と変われない自分」の原因がそこにあるのかもしれないー。よく考えれば、本だけに限ったことではないのかもしれない。
 
わたしの日常を振り返ってみると、常に興味があるものに囲まている。
むしろそれしかない。
SNSは、気に入ったひとの情報しかフォローせず、大好きな海外ドラマを見ているNetflixやYoutubeは見ている種類からわたしが好きそうなものを勝手におすすめしてくれる。
ほとんど、AIによって欲しい・好きな情報が入ってくるように最適化されている。自分で取りに行かなくても勝手にほしいものが届くし、探し物も最短距離で見つかる。新しいものを得ているようで、その実、意外性や新鮮味といった未知との遭遇はないのだ。
そう、わたしは都合のいい情報しか流れてこないネットという環境にすっかり支配されていた。そんな環境に四六時中いれば、ネットが及ばない状況でも自分の好みしか頼らなくなってしまう。変わることなど忘れてしまって当たり前だ。
 
しかし、いまさら、ネット環境から離れるのは世捨て人になるくらい非現実的。
かといって、気づいてしまった以上、そのままというのは気持ちが悪い。
ふとカレンダーをみると誕生日が来週に迫っていた。
 
このままだと、また今年も「変わっていない自分と変われない自分」を突きつけられることになる。焦った頭で必死に考えた。それは嫌だ。そんな誕生日はもう嫌だった。
 
「原因は情報源がAIに支配されてるネットに頼りっぱなしということだよね、なら、選択肢を増やせばいいわけで……。まず、ウェブと逆のもの、アナログなもの。で、なおかつ自分の好みとかも関係ない、自分で選ばないという方法……」
 
そして、思い出したのだ。友人との本の会話を。
だれかから本をおすすめしてもらえばいいのだ。
そうすれば、自分の好みも排除できるし、アナログだ。
 
「やった!みつけた!」と思ったのも束の間、わたしはこれまで薦められても好みでなければスルーする人だったのを忘れていた。
 
「スルーしない、できない状況にしないと……。自分で買うのを強制するのは意思が弱い自分は挫折する。もっと気軽な読まざるおえない状況……。プレゼントしてもらう? ……あ、誕生日プレゼント!!」
 
本なら値段もさほど高くないし、プレゼントするほうも負担も少ない。
プレゼントのお礼に感想をいうことにすれば、相手も嬉しいし、もっとその人と仲良くなれる。何でもないときにはお願いしにくくても、誕生日ならねだっても全く違和感がない。
 
「一石なん鳥にもなる!」
 
そうひらめいた時のわたしは、もう誕生日が怖くなかった。
むしろ誕生日がくるのが楽しみになった。
 
だれかの1冊がわたしを未知の世界に連れ出してくれるかもしれない。
変わるきっかけがそこにあるかもしれない。
それでもっとそのひとと仲良くなれるかもしれない。
 
もう誕生日は変わらない自分を感じる日ではない。自分を変える日になる。
だから、あなたの1冊でわたしを連れ出してください。
まだまだプレゼント受付中です笑
 
 
 
 
***
 
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2019-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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