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街の電器屋さんはオワコンではなく、令和の希望である


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:櫻木 隆志(ライティング・ゼミ特講)
 
 
ネットを使いこなすような人は、「街の電器屋さん」と聞くとオワコンだと思う人が多いかもしれない。
 
今どき、ネットで安く便利に買えるし、実物が見たければ大型量販店へ行く。ネットで買うか量販店で買うかの2択であって、街の電器屋さんという選択なんて考えたこともない。「なぜ、街の電器屋はつぶれないのか」という、いかにもありそうなタイトルの本が本屋に並んでいたとしても、興味すら持たないであろう。
家電はかつての私がそうだった。ネットを使ってパソコン1台でお金を稼ぐことに没頭していた頃の私の中では、「街の電器屋さん」という存在を意識することすらなかった。
 
そんな私が今では、「街の電器屋に惚れた男」と言われるようになっているから、人生とは分からないものである。これまでに500店以上の電器店と交流してきて、街の電器屋さんの商売を勝手に研究しはじめ、電器屋さん向けに彼ら向けにセミナーを行ったり、ブランディングのサポートを行ったりしている。
 
そんな「街の電器屋に惚れた男」による、「街の電器屋ってスゲーんだぞ」という話をしてみたい。
 
ネットでお金を稼いでいた頃の私は、いかに楽して効率よくお金を稼ぐかということばかりを考えていた。確かに効率的にお金は稼げたが、一日中誰とも会わずに、パソコンの前に座って1日が過ぎていくという毎日に、どうしようもない虚無感を感じるようになった。
 
人間は腹を満たされなければ生きていけないが、心が満たされなければ、それもまた生きていけないのかもしれないと感じた。私はすべてのビジネスを閉鎖して、収入ゼロの状態になり、これから何のために働くか、何のために生きるかを真剣に考えた。
 
単にお金が稼げる仕事ではなく、心も満たされる仕事がしたい。誰かの役に立ち、誰かの笑顔につながり、誰かに感謝される仕事がしたい。人の幸せや、より良い社会に貢献する仕事がしたい。そんな想いで様々な事業を模索した。そして紆余曲折を経てたどり着いたのが、「街の電器屋さん」だったのだ。
 
街の電器屋さんは、確かに軒数は激減している。しかし今も元気に商売を続けている店は、驚くほど強い。近くに大型量販店ができても影響を受けず、逆に量販店が撤退していくというケースもある。アマゾンがどれだけ便利になっても関係ない。顧客からは絶対的な支持を受け続けている。
 
売れている商品にも驚く。家電製品や電気工事はもちろんのこと、水道のトラブル、トイレやお風呂のトラブル、障子やふすま、網戸の張り替え、建具の調整、外壁や屋根の塗装などなど、家のことはどんなことでも対応している。住宅リフォームは当たり前で、新築住宅が売れることも珍しくない。工務店や大工さん、その他の職人さんと連携する場合もあるが、その場合も電器屋さんが元請けとなって仕事を割り振っている。それが、今どきの街の電器屋さんの実態だ。
 
私は驚愕した。しかし私が何よりも心を奪われたのは、そういったことではなかった。そこで行われている商売において、お客さんが笑顔だったことだ。お客さんだけではない。お店の人も笑顔だったことだ。売り手と買い手がまるで家族か親友のように会話を交わし、大きな声で笑いながら笑顔でモノが売れていたことだ。そこはとても幸せな空気が流れており、私の心は完全に魅了された。それが、街の電器屋さんに惚れた瞬間だった。
 
今のご時世、商売の現場においては、売る人も買う人もたいてい無表情である。笑顔を見ることは少ない。そもそも、大型店では売る人を見つけることも困難だ。ネットならそもそも人と接することはない。今後は店舗も無人化の方向に向かっている。
 
世の中がまるごと、まるで自動販売機のようになろうとしている。
 
そんな時代に、なぜ街の電器屋さんは売る人も買う人も笑顔なのか。なぜ値段は安くないのに選ばれ続けるのか。
 
これを語らせれば一晩語れるが、たったひとことで言うとすれば、量販店やネットで買うよりも、街の電器屋さんで買う方が幸せだからである。
 
当たり前の話だが、人がモノを買うのも、それを消費するのも、「幸せ」のためである。モノがなかった時代は、モノを買うことが幸せに直結していたかもしれないが、今はそういう時代ではない。「もうモノはいらない」という時代である。いくら安く便利に買えるとしても、いらないものは売れない。買うとしても、必要なモノだけを最も安いところで買うので、アマゾンの一人勝ちみたいなことになるのである。
 
しかし、街の電器屋さんでは状況が異なる。電器屋さんとお客さんは、単にモノの売り買いの関係ではない。お互いに相手のことをよく知っていて、相手を想い合う関係である。モノとお金を交換するだけの関係ではなく、心と心を通わせる関係である。
 
お客さんにとって電器屋さんは、誰よりも自分のことを理解してくれる人で、誰よりも親身になって自分のために考えてくれる人である。だからちょっとやそっとの値段の違いなんて関係ないほどに、満足度が高いのである。
 
しかし電器屋さんが圧倒的に強い最大の理由は、そのサービスの質ではない。お客さんにとって彼らが、誰よりも信頼できる人であったり、誰よりも愛情を感じる人であったり、誰よりも応援したい人であったりすることだ。当然、何か買うならその人から買いたいのだ。その人から買うことが、お客さんにとっては幸せなのである。
 
私は、これからアマゾンがどれだけ強大化したとしても、AIがどれだけ進化したとしても、このような街の電器屋さんとお客さんとの関係に、割って入ることはできないと思っている。
 
人は幸せを望むからである。
 
人を本当の意味で幸せにできるのは、人だけだと思うからである。
 
このような店がある地域は幸せである。このような店が増えれば、人や地域が幸せになる。
 
しかし現実は減少している。これは社会にとって大きな損失だと思う。
 
そのような街の電器屋さんは、お客さんにとっては幸せな人生にしてくれる店であり、働く人にとっては幸せな人生を送れる仕事である。このような仕事をする人を増やし、このような店を増やし、このような店を利用する人を増やしていきたい。それは、世の中の幸せの総量を増やすことになるはずだ。
 
街の電器屋さんは、オワコンなんかじゃない。
むしろ、令和の時代の希望なのだ。
 
 
 
 
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2019-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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