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公園は大人の思いやりでなりたっている

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:なかまる(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「じゅんばんばん……」
「じゅんばんばん……」
 
2歳3ヶ月になる私の娘が滑り台の上から隣のブランコに遊んでいる子供に向けて恐る恐る言った言葉だ。
 
隣のブランコには、小学校1年生くらいで同世代と比べて体が大きく太った生意気そうな男の子と少し下くらいの同じような体形をした女の子の兄弟が遊んでいた。
 
その言葉を聞いて二人はブランコから降りて、滑り台の階段を上って娘に迫ってきた。
そして、娘の後ろから
 
「じゅんばんばん じゅんばんばん」
「じゅんばんばん じゅんばんばん」
「じゅんばんばん じゅんばんばん」
 
と連呼していた。
 
そう、2人は滑り台を滑ろうとしている娘を煽って、お前が順番を守れと言いたかったのだ。
煽られた娘はびっくりして固まってしまった。
 
私はなかなか滑り台を降りてこない娘の手を取って娘を救出した。
 
二人はすぐに滑り台をおりて、すぐに隣のブランコに戻って遊びを再開した。
公園にはブランコが2つしかなく、娘はブランコに乗ることができなかった。
 
それを見ていた私はさすがに怒った。
ブランコをどかないことよりも、4歳くらい年上の子が腕力にものを言わせてからかっていることにだ。
 
「お前!! 2歳の娘いじめて楽しいのか?」
 
かなりドスの効いた低い声で言ったため、自分が怒っていることは伝わったようだった。
 
2人はブランコを離れて別の遊具へ遊びに行った。
 
腕力にものを言わせてからかっていることに怒っていることは多分伝わっていない雰囲気だった。
 
あの子たちの頭のなかでは、
 
「うるさいおっさんだな。とりあえずブランコどけばいいんだろ」
 
くらいの雰囲気だった。
 
だが、それを教えるのはその子たちの親の役目だ。
とりあえず、空いたブランコに娘を乗せて5分くらい遊んで公園を後にした。
 
帰り際に、公園を見ると2人の兄妹がまた、ブランコで遊んでいた。
よっぽど、ブランコが好きなのはわかったが何とも後味の悪いできごとだった。
 
公園からの帰り道、この出来事についていろいろ考えていた。
滋賀県の田舎の方にある嫁の実家にお邪魔していて、実家近くの公園に遊びにいったのだった。
 
「田舎の方の子供なんて放任主義だろうから教育できていなんだろうな」
「自分の小さい時もあんな太ったくそがきいたなあ」
 
実家に戻って、嫁の義父さん、お義母さん、嫁に公園での出来事を話した。
嫁のお義父さんは
 
「うち、田舎だしそういう品の悪い子供結構いいるよ。まあ、しょうがないんじゃない」
 
と言われ、田舎の子ってそんなもんだんだねと納得したのだった。
 
そして、嫁の実家から帰って、次の週の土曜日に家の近くの公園に娘を連れて行った。
家の近くの公園は大阪の都心にある公園で、遊具が8個ほどある比較的大きな公園だ。
週末になると多くの親子が遊びにくる。
当然、家の近くの公園にもブランコがあった。
 
娘はすでに埋まっているブランコを見て、
 
「じゅんばんばん」
 
と言った。
 
この間の出来事があったのによくめげないなあ、この子と思いながら様子を見ていた。
その子には聞こえていたみたいだが、ブランコをわかろうとする雰囲気は全くなかった。
 
娘はさらに泣きそうな顔をして、
 
「じゅんばんばん」
 
と言った。
 
その様子にブランコに乗っている子の親が気が付いて、
 
「かずき! あの子ブランコ乗りたいみたいだから譲ってあげなさい。もうたくさん乗ったでしょ」
 
その子はブランコを譲ってくれたのだった。
 
その時、気が付いたのだ。
 
そういえば、小さい子供が自分から順番譲ってくれるシーンみたことない。
 
田舎とか都心とか区別していたけど、そもそも小さい子供が自分のやりたいことを我慢して譲ってくれるわけがない。
 
自制心のない小さい子供にそんなことができるわけがないと。
 
「順番」という言葉は小さい子供が社会生活をしていく上で早い段階で覚えていく言葉であるとともに理解できていないと本当に困る言葉だ。
 
公園や保育園、幼稚園など人が集まるところでは常に順番が伴う。
1, 2歳を対象とした小さい子供向けの本でもを「順番」説明した話がちらほら登場する。
 
けれど、実践となると難しい。
 
先ほどの田舎の公園での話のように、大人がいない子供の世界は無差別級かつ年齢関係なく強いものが支配する世界だ。
北斗の拳の世界ほどひどくはないが放置したら似たような世界なると思う。
 
そのため、「順番」という概念は大人がついて保育園や幼稚園、小学校などの集団生活を通じてようやく理解していくものだ。
 
そのことに気が付いて、改めて公園の周囲をよく観察してみると、子供が順番を守らなかったら、大人が子供に注意をしている光景がよく見られる。
 
親が子供に注意するのは、教育の意味もあるし、親同士や子供同士でけんかにでもなったら公園に非常に行きにくくもなるという意味もある。
 
だが、それ以上に公園をみんなで仲良く使おうという思いやりの方が強いのではないかと思うのだ。
それは争うよりも、みんなで仲良くした方がメリットが大きいし、子を持つ親だったら小さい子供の無力さを理解しているからだ。
 
そう、公園は大人の思いやりでなりっているのだ。
 
仮に、親が誰も注意しなかったらどうなるか?
公園に北斗の拳の世界が訪れるかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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