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メディアグランプリ

ライブとコレクターズと人生と


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:畠山朱美(ライティング・ゼミ特講)
 
 
ステージが、ぱあっと明るくなった。
ボーカルの加藤さんが登場した。
ブルーのユニオンジャック模様のスーツだ。
会場が一気に盛り上がる。
ステージがはじまった。
 
私と夫は、仙台一番町のライブハウスにいた。
コレクターズというバンドのライブに来たのだ。
 
コレクターズというバンドは、1980年代から30年を超えて活動を続けているロックバンドだ。
 
私は、10年くらい前から、コレクターズというバンドを詳しく知らないまま、何枚かのアルバムをダウンロード購入してなんとなく聴いていた。ビートルズが好きな私は、ブリティッシュロックテイストの音楽が、好みに合っていたのかもしれない。2年前、友人に誘われてライブに行った。そのライブのインパクトは大きかった。ライブの後からは、CDやDVDを購入して、よく聴くようになった。
夫は、特に好きなミュージシャンもいないのだが、コレクターズの曲の中に、自分の好きなサッカー選手「ジョージ・ベスト」の名前が出てきたことで興味を持ち、彼らを知ることになる。
 
とはいえ、申し訳ないが、正直、熱狂的なファンとは言い難い。
そして、二人ともライブとは縁遠い。
私は、友人に誘われて行ったライブ1回だけだし、夫は、ホールのコンサートさえ行ったことがない人だ。「え? 座席がない会場?」という夫の疑問に、スタンディング形式のライブの説明をしなければならなかった。
 
それに、私たちは、ライブだけでなく何に対しても、熱量少なめである。
地元のサッカーチームを応援していて、試合を観には行くが、サポーターの熱狂的な応援の中には入らない。少し離れた席で、座って観戦する。ゴールの時だけは立ち上がりタオルを振り、また座る。その程度の熱量である。
 
こんな50代と60代の二人である。
我々は場違いではなかろうか。
大丈夫だろうか……
行くか行かぬか、かなり迷った。
 
それでも、今回、コレクターズのライブに行こうと思ったのは、ロックバンド一筋でライブ活動を続けている彼らの姿を見たかったのだ。リーダーの加藤さんは、もう還暦間近だけれど、声も衣装も動きもパワフルだ。
私は、初めて行ったライブで、加藤さんとギターのコータローさんを中心に繰り広げられるステージに圧倒された。50代の自分と同じ世代の人が、こんなにもパワフルに活動していることが、眩しかった。
もう一度、その姿を目の前で見たいと思った。
そんな思いになったのは、自分も50歳を過ぎ、これからの生き方を模索していた時期だったからかもしれない。夫も、還暦を迎えた区切りの時期だったからかもしれない。
勇気を出して、チケットを買った。
そんなわけで、ライブ初心者2名、戸惑いながらのライブハウスなのであった。
 
彼らのステージは、音楽に詳しくない私たちにも伝わる、圧倒的なパワーがあっ
た。「受け取った!」という実感は、感動になった。
 
「プロだな……」
夫の感想である。
 
素人とプロの違いは、伝えようとする姿勢を持ち続けられるかどうかにあるのかもしれない。
彼らは、観客に、音楽を通じて自分たちを伝える。
伝えるために、技術を高め、感性を磨き、知識を深めていく。
相手に伝えようとする姿勢と、その力量があるからこそ、私たちにドカンと伝わってくるのだ。
彼らは、まさしくプロフェッショナルだった。
 
そして、ライブという場は、彼らのすべてを感じることができる場所だ。つまり、彼らのすべてが表現される場所なのだ。
ライブは、彼らの人生そのもの。その人生を、私たちは音楽という表現によって受け止める。
ライブは、人生を観に行くものだ。
 
そして、彼らの人生は、好きなことを思いっきり謳歌している人生だ。
もちろん、好きなことをするために犠牲にすることもあるだろう。極めようとして、苦しむこともあるだろう。でも、そういうことも全部ひっくるめて、ロックバンドを楽しんでいるのだろうな、と思う。
それを、30年以上も一筋に続けている彼らは、すごいと思う。
本当にやりたいことを、プロとして続けているその姿そのものが、感動だ。
 
自分のやりたいことを極めようとする時、その先には「だれかに伝える」という目的がある。受け取ってもらう人に伝えたい思いがある。理解してもらいたい、認めてもらいたい、という思いがある。
やりたいことをするということは、誰かに伝えるための表現をする、ということだ。
文章を書くことも、絵を描くことも、音楽も、スポーツもみんな同じだ。
誰に伝えるのか、どんなふうに伝えるのか、その手段は何なのか、ということだ。
 
私だって、好きなことに正直に、やりたいことに貪欲になってもいいのではないか。もう若くないとか、体力がないとか、言いがちだけれど、自分に言いわけをしているに過ぎない。
私にとって、伝えたいことは何? 私は、これからやりたいことは何?
人生、まだまだ、できることはたくさんある。
 
「ありがとうー!!」
汗だくのコレクターズの4人が肩を組んで、ステージ上にいた。
 
彼らは、ロックンロールが人生、ライブが人生。
その人生を目の当たりした私は、何を人生とする?
そう自分に問いかけた。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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