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メディアグランプリ

タイトル:誰でも国際人になれる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:英凉 <はなふさ りお> (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「土曜日、踊りに行こうよ。あのボディコンのワンピ着てさあ」
十代の頃から、夜、ディスコやクラブに踊りに行くのが大好きだった。音楽も、中学校に入ったころから日本の楽曲をほとんど聞かなくなり、外国のロックやディスコミュージックばかりを追いかけていた。
 
外国のノリの良い曲は、サーフィンをする時のような心地よさがあった。海に出て波に向かい、うまく乗れると、波は気持ちの良いスピードで、自分をスーッとどこまでも連れて行ってくれる。重心をわずかに傾けると、水の上の滑り方に絶妙な変化が出て、とても楽しい。ダンスフロアでも、流れてくる曲の変化を敏感に察知して、身体の揺れをわずかに変えてみると、思いもよらない音楽とダンスのコラボ感が生まれる。
 
EARTH Wind & FIREやMichael Jacksonをはじめとする数々のブラックミュージック、QUEEN、ABBA、シンディ・ローパーやDURAN DURAN……今でもよく耳にするそれらの音楽に乗って踊りまくるのが、大好きだった。
 
だから、着る服も、そんなに派手ではないけれど、遊びに向いているものが好きだった。周りから見てどうだったかはさておき、自分では精一杯おしゃれをして、遊びに行っていた。
 
当然、私の中に、着物を着て日常を過ごすなどという考え方は、どこを探しても1ミリたりとも見当たらなかった。洋服以外の選択肢は、そこには無かったのだ。
 
それが今や、毎週末と言っても過言ではないほど、着物を着て出歩いている。もし会社に着て行っても良いよ、と言われたら、喜んでそうしているだろう。
もちろん大人になってだいぶ経つ今でも、踊りに行く事は楽しい。しかし、それを凌ぐ楽しさを見つけてしまったのだ!
 
自分でも、どうしてこんなに変わってしまったのか、全く見当もつかない。
 
着物は、奥が深くて、どこまで追求しても出口のない迷路のようだ。しかし、その途中途中で、コーディネートがカチッとはまって気分が上がったり、うまく結べなかった帯がきれいに出来上がったり、全体のバランスがピシッと決まって大変美しい着姿に仕上がったり、と、ステージごとの楽しさが生まれてくる。それはまるで、ドラクエやファイナルファンタジーで、ステージが上がった時の達成感とよく似ている。
 
そして、着物を知れば知るほど、今度は帯や着物に染められたり織り込まれたりした柄や、文様の持つ意味あいが気になってくる。昔から日本人は、相手に伝える気持ちを、色や文様に込めてきたのだ。
 
例えば、結婚式の時。家紋以外、裾にしか文様の入っていない黒い着物、つまり黒留袖と言われる着物を着ている方々は、新郎新婦の母親、鮮やかな色ものの「色留袖」なら既婚者の姉妹だ。結婚していない姉妹は、振袖を着る。一方で、友人など親族でない方々は、華やかな「訪問着」と言われる着物を着る。そして、いずれの着物も、描きこまれているのは吉祥文様だ。松の柄を最高位として、鶴や亀、梅や四君子といった花柄、また熨斗や、扇=末広がりの柄など色々とある。そして、そこには決して、「紬」といったいわゆる普段着は、どんなに高くても着て行ってはいけない。例えば、どんなに高いビンテージのジーパンでも、披露宴には着ていけないのと同じように。
 
そう聞くと、ルールが厳しすぎる、という人もいるかもしれない。しかし、そこには訳がある。
 
日本人は、自分を飾り立てるために豪華な着物を着るのではないのだ。そうではなくて、お祝いすべき相手に対して、その気持ちを表し、場を盛り上げるために、美しくしていくのだ。
 
その話を着物の先生からお伺いした時、私は大変な感銘を受けた。そんな考え方をする文化を、心の底から、本当に誇りに思った。
 
海外に留学して、語学を学び、その土地の文化を知る事は、もちろん大切なことだと思う。しかし、それよりもっと大切なのは、自分たちの国の文化を知って、その文化が日常の中に存在していることだろう。そして、当たり前のこととして自分たちの文化を語れることが真の国際化で、そのようにできる人が、真の国際人なんだろうな、とつくづく感じる。
 
着物をつくるための伝統の技が、今、なくなる危機に瀕している。なくなってしまう前に、第二次世界大戦で断ち切られてしまった、装いというジャンルの自分たちの文化を取り戻して、多くの方々が着物を着ることによって、その貴重な技を絶やさないようにしたい、と願っている。
自分の、以前とは正反対の変わりようには笑ってしまうが、ふと思い出したことがあった。「そういえば私、小さい頃は盆踊りが大好きだったな……!」どうやら、和洋を問わず、踊ることが大好きなのは、全然変わっていないのかもしれない。
 
 
 
 
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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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