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自分を強制的に変える方法


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記事:岩井聡史(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
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「¿A Dónde quieres ir? (どこまで行きたいんだ? )」
 
南米のチリからボリビアまでヒッチハイクを始めてから3日目、北の鉱山都市アントファガスタまで来た。目的地のウユニ塩湖まではまだ距離があるし、国境も越えないといけない。ヒッチハイクで国境を越えると面倒だと聞いたが、何とかなるだろう。とにかく腹が減ったから、道端のよくわからない地元飯でも食べよう。
 
僕は大学2年のときに南米のチリに留学をした。なぜ南米を選んだのか。特に理由はないが、とにかく見たことのない場所だし、知らなかったから純粋に興味が湧いたのだと思う。
 
しかし今振り返っても、留学中の自分は相当ワイルドだったと思う。ウユニ塩湖までヒッチハイクをした理由も、ヒッチハイクをしたかったわけではなく、交通費をケチりたかっただけだ。それでも交通費をケチりたいからという理由で、ヒッチハイクをしようなんて発想は日本にいた頃はなかった。
 
留学中の大学生にありがちな暇な時間をもてあそんでいたことは否定できない。それでも突然思い立って一人でヒッチハイクの旅行をしようなんて、これまでの僕の性格からは想像もできない。
 
留学するまでの僕の性格は、いうなれば普通だ。人前に出る性格でも、人と違うことをしたいという大胆さも勇気も持っていなかった。当時の僕にヒッチハイクをするかと尋ねたら、絶対に嫌だと言い切るだろう。
 
留学している間に自分が変わったという実感は正直なかった。留学をして度胸がついたのかと言われれば、結果的に見ればそうなのだろう。しかし、これはあくまでも後から振り返っての、意味づけだ。
 
逆にいえば、それくらい海外に行く、異文化の中で暮らすということは大胆に変わらざるを得ないことなのだと思う。日本にいたときの一般的な概念が通用しない。つまり日本にいたときに自分を縛っていたような、恥の概念(僕はヒッチハイクで断られることが辛いし、なんだか恥ずかしいことだと思っていた)からも解放されるのだ。
 
今の自分を変えたいと悩んでいる人は多いかもしれない。そんな人には、僕は迷わず海外に行くことをおすすめする。すごい陳腐で、ありきたりな意見だと思われるかもしれない。もしかしたら、海外かぶれだと思われるかもしれない。
 
でも海外で生活すると、変わらなければ多分生きていけない。生きていけないとは、生死の問題ではない。変わらないと友達もできないし、友達がいないと寂しいし、退屈だ。人間は、退屈には敵わない。
 
「日々の生活が忙しいし、海外に行く暇なんてあるわけないだろ。」
実際に、変わりたいと言っている友達に海外をおすすめしたら、こう返された。友達の言うことはもっともである。
 
でも今の生活を続けている結果に今がある。変わっていない生活を続けたから今がある。それならば、生活を変えるのが最も手っ取り早いのではないのか。
変わりたいという思いの強さにもよるかもしれない。でも本気で今の自分を変えたいなら、大学なら休学してもよいし、会社ならいっそ辞めてもいい。現代は転職も当たり前の時代だ。
 
今の生活の小さなところから変えていけば、いつかは変わるかもしれない。でも、そんな根気があれば、今頃は自分を変えたいなんて言っていない気がする。
 
なかば、友達のけなしが入ってしまったようだ。
けれども、自分を変えるには自分の環境を変えるのが一番の方法だ。環境が変わったらそこに適応するために、自分を変えないといけないのだから。その環境を一番激変させる方法が、海外で生活をすることだ。
 
ヒッチハイク5日目でようやく僕はウユニ塩湖に辿り着いた。途中のチリとボリビアの国境では、なんやかんやうるさく言われたのを覚えている。ちなみに言われた内容は覚えていない。というか何を言われているのかわからなかった。
 
頭の上に?を掲げるアジア人に、ボリビア人は愛想をつかして通らせてくれた。国境を越えた後は、舗装されていない道をひたすら走り、とてつもない量のつちぼこりが車に入ってきたことをはっきりと覚えている。僕を乗せてくれたチリ人に、窓を閉めてくれと言ったら、暑いから嫌だと一蹴されたのもよく覚えている。
 
ウユニ塩湖の真っ白な地平線は綺麗だった。日本では決して見ることのできない景色だった。でも、そんな美しいウユニ塩湖よりもヒッチハイクの思い出の方が案外よく覚えている。
 
僕は海外に行ったおかげで相当大胆になれたし、勇気も度胸もついた。
でも留学以降、海外に行くことはなく、当時ほどの大胆さは失われた気がする。そろそろ、もう一度自分を強制的に変えるために、海外に行こうと思う。
今度はどう変わるのだろうか。
特に根気や情熱を持たない僕は、海外に自分を変えてもらうために行く。
 
 
 
 
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2019-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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