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メディアグランプリ

杉で包んだお寿司って!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:花倉祥代(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「どう思う?」
今日も私に会いに来られたのは寿司職人のすえひろさん。
すえひろさんとは出会ってかれこれ20年。
私が経営支援の仕事を始めてすぐのころから、長く支援させていただいている京都京北の事業所です。
このすえひろさんには、とっておきの商品「杉鮓」(すぎずし)というのがあります。
どんな商品なのか簡単に説明すると、杉の木を紙ぐらい薄く切った板で、鯖の握り寿司を包んだものです。
キャッチコピーは「日本唯一、杉で包む鯖寿司 ~初めて見ました。~」
おそらく日本中どこを探してもないお寿司です。
 
「杉で包む鯖寿司」
イメージできますか?
見た目は柿の葉寿司に似ています。実際すえひろさんは、柿の葉寿司からヒントを得られたそうです。ところが似ているようで全然違います。
柿の葉や笹といった植物の葉で包んだ押し寿司は有名ですが「木」で包んだお寿司は他では見られません。
 
お寿司を包む「杉」には大変苦労されまして、何年もかけて今のカタチになりました。
杉の薄板は、厚すぎると割れてしまい、薄すぎるとはがれにくいといったかんじで、ちょうど良い薄さに至るまで研究が続きました。
 
では、なぜお寿司を包むのに杉を選ばれたのか。
 
京都京北といえば林業が有名で、特に北山杉の産地として知られています。
「京北といえば杉」ということで、杉を選ばれたということです。
はじめは薄くカンナで削ってもらうのを大工さんにお願いされていて、その大工さんからは、桧をすすめられたそうですが、すえひろさんは地元の木にこだわりたいと、杉を削るのをお願いされていました。
ところが、依頼が続くと大工さんの対応も変わってきたことから、すし職人であるにもかかわらず、なんとカンナの購入を決意されるのです。
「誰もやってくれないなら自分でやる!」
この「杉鮓」に対する熱意には驚きました。
とうとう杉の仕入にまで手を出され、今では自分で材を選び、そして一枚一枚カンナで削っておられます。
 
杉で包むことによる見た目の美しさ。
そしてなんともいえない上品な味わい。
杉の香りが鯖独特の臭みを消し、旨味を引き出します。
口に含んだあと、鼻から心地よく抜ける杉の香りと天然の旨みで、一度食べると忘れられないお寿司です。
それは、まるで化繊のマフラーしか知らないところに、カシミヤのマフラーをまとい、そのあたたかみや肌触りが忘れられなくなるように、一度杉鮓を食べると、味はもちろん、ほのかに香る杉の香りが忘れられなくなるのです。
 
お寿司って、シャリとネタでできているシンプルなお料理で、すし飯の材料は誰もが知る4つだけ、ごはん、酢、砂糖、塩です。
すえひろさんは、季節によってお米を炊くときの水加減を変えられるだけでなく、お米は京都のコシヒカリを生産者指定で手に入れ、そこにもち米やミルキークインをブレンドするというシャリにもかなりこだわりが強いです。
もちろん鯖も国産にこだわり、東日本大震災後、手に入りにくくなったものの「これ」という鯖をご自身で探し、塩でしめて酢で殺す。
そしてここからがスペシャリティ!
鯖の握りずしを一貫ずつ杉の薄板で包み、その杉鮓を杉鮓専用の特注木箱に並べ、積み重ねて重しをして24時間寝かします。
名付けて「三段積み木製法」
これで魚の旨みが凝縮され、杉の殺菌、消臭効果で旨みだけが残るのです。
 
さて、そもそもなぜ杉鮓を作ったのか。
1900年代初頭(明治時代)に鉄道が敷設されるまで若狭と京都を結ぶ最短の文化・経済ルートとして、京都市内と福井県若狭地方を結ぶ「西の鯖街道」があり、ここで鯖寿司を作って30年以上というすえひろさんですが、衰退の一途とたどる林業を含め、地元のために何かできないかと考えておられました。
そして自分にできることは「食」を通じたなにかであり、杉を使ってなんとか特産品を作れないかと頭を悩まされていました。
「京北は西の鯖街道の途中にある。この西の鯖街道でハレの日に食べる鯖寿司を使って商品開発を……」と誕生したのが「杉鮓」でした。
最初はかまぼこ板のようなものを使っておられましたが、特産品というと特徴が必要だと試行錯誤の末、柿の葉寿司にヒントを得て、現在の「杉鮓」が完成したのです。
 
以前、百貨店の催事で京都の鯖寿司との違いを聞かれたことがあります。
鯖の身が厚く、昆布がのっているのが京都の鯖寿司なので、「あんたのとこのは鯖寿司とちゃうで」と言われることもしばしば。
でも、すえひろさんは「杉鮓」を作り続け、今ではメディアに何度も取り上げられる特別なお寿司となりました。
こちらから取材をお願いしたことはなく、テレビ、雑誌、新聞、ユーチューバー、海外からも台湾の雑誌、香港の新聞が取材にこられました。
まず見た目で一報入り、次に試食されて感動され、そして記事になるという流れです。
雑誌では芥川賞を受賞された作家さんの「大切な人への贈り物」といった特集で紹介されました。
このめずらしい、どこにもないお寿司をどう思いますか?
インターネット販売も始められ、遠くのお客様へも知っていただき、ご購入いただくことも可能になりました。
今なら杉鮓はまだ「自分だけが知っている、とっておきのお寿司」です。
「こんなの初めて見た!」を想像してみてください。
ワクワクしませんか?
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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