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禁煙成功は動機次第


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:なかまる(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
「ごほっ ごほっ 酸素ボンベがないと息ができないんです……。」
「常に真綿で首を締められてるような感じです」
 
鼻にチューブをつけた男性は言った。
 
「子供のころは野球部でエースでした」
「社会人になってからは草野球をやっていました」
「長年の喫煙習慣で肺をやられてしまいまして」
「もう無理なんですけど、草野球チームでまた野球を楽しみたいです……。」
 
YouTubeであったCOPDの動画の1シーンだ。
COPDとはタバコの煙などの有害な物質を長い間吸い続けることで起こる肺の病気だ。
主にたばこの煙で肺が破壊され呼吸ができなくなっていく。
最初は薬で治療するけど、病気が進行していくと常に酸素ボンベが欠かせなくなる。
そして、息苦しいなか亡くなっていくのだ。
 
自分がなぜこんな気持ちが暗くなるような動画を見ていたかというと、禁煙をしたくてたばこを吸い続けることの問題点を集めていたからだ。
 
正確には、3度目の禁煙をしようとしていた。
 
自分が禁煙しようとしたのは今から12年前になる。
大学時代からたばこを吸い始めてちょうど10年が経っていた。
当時はちょうどたばこが少し値上げをはじめ、東京都で路上喫煙に罰金(路上喫煙禁止条例)が課せられるようになった時だった。
 
1度目の禁煙はその流れに乗ってやめようと思った。
もともと、1日20本吸っていたヘビースモーカーだったので、喫煙はお金がかかるし、1日の吸う時間を合計すると1時間以上かかっていた。
1日の生活の中でかなり負担になっていることに気が付いていたのだ。
ちょうど東京で働いていていたので、路上喫煙禁止条例は辞めるいい口実だった。
 
会社が長期休暇になる盆休みを利用して、禁煙にチャレンジした。
当時、外来禁煙なんてなく禁煙グッズといえば禁煙パイポぐらいだった。
初日、禁煙パイポと大量のガムを買い込んでお昼ご飯を食べた後、食後の一服をした後禁煙をスタートした。
初日はなんとかクリアできたけど、翌日の朝、起きた時の一服をしたい衝動にかられたがなんとかこらえた。
けれど、お昼に禁煙しているんだからせめておいしいものでも食べようと思い、当時流行していた行列のできるラーメン屋さんでお昼をたべた。
これが、致命的だった……。
あのこってりとした味とたばこの相性は最高だった。
強烈に吸いたい衝動にかられ、家に帰る前にたばこを口にしていたのだった。
こうして、1回目の禁煙は非常に短い期間で終了した。
 
2,3日もしないうちにまた1日20本たばこを吸う生活に戻っていった。
 
そして、1年間、たばこ生活は続いた。
その間にたばこはまた値上げした。今後も値上げしていく国の方針は明らかだった。
路上喫煙禁止条例により今では当たり前だけど、職場でたばこは吸えなくなり喫煙スペースができた。
喫煙スペースで他の部署の人と会話をするようになり、喫煙にもメリットがあるとか思う一方でたばこをやめる人も少人数だけど出始めた。
 
自分はスモーカーがどんどん肩身が狭くなるのを実感していたし、今後もっとたばこの値段が上がっていくこと考えてもう一度禁煙にチャレンジしようと思った。
 
そして、1回目の禁煙が失敗した1年後のお盆休み2度目の禁煙にチャレンジした。
ちょうどニコチンガムが出始めた時期で、今度は1回目の失敗を踏まえて計画的に準備をした。
まず、ニコチンガムと大量のガムの準備。さらにアレンカーの「読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー」をあらかじめ読んでおいた。
アレンカーの「読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー」はかなり効果絶大で事前に読むだけでもたばこの本数が1日20本から10本に減った。
 
お盆休み中、アレンカーの「読むだけで絶対やめられる禁煙セラピー」を何度も読んだり、たばこが吸いたくなったらニコチンガムを食べるなどしてなんとかたばこを吸わずに乗り切った。
お盆明けも仕事中猛烈に吸いたくなる衝動になってもなんとか吸わずに過ごせた。
 
まわりの職場の人にも
 
「あれ、なかまる。たばこやめたの?」
「はい!!もう一か月になります!!」
「最初、しんどかったけど今は全然平気です!!」
とすでに勝利宣言までしていた。
 
けれど、禁煙から一か月後、禁煙の最大の壁である飲み会があった。
当時、飲み会では喫煙者が飲み会中たばこを吸うのは普通の光景だった。
 
アルコールは理性のブロックを簡単に外してくる。
自分は飲み会でたばこをおいしそうに吸っている人をみて飲み会中はなんとか吸わずに過ごせた。
周りの人に禁煙宣言していたからだ。
けれど、飲み会の帰りに強烈な喫煙衝動が襲ってきた。
自分はコンビニに駆け寄りたばことライターを買った。
一瞬、躊躇したけどたばこに火をつけたのだった。
 
中毒症状を引き起こすニコチンは完全に抜けていたのだけど、精神的な依存が抜け切れていなかったのだ。
 
その後は、理性のタガがはずれ一気に喫煙者に戻っていった。
けれど、職場では禁煙宣言していたため仕事中は我慢する生活を送っていた。
 
今思えば、吸わない人からみたら自分が吸っていることは臭いからすぐにわかることだったけど、隠れ喫煙者として2か月間生活をしていた。
 
とはいっても、そんな生活は長くは続けられない。
 
ちょうど3連休があるときに3度目の禁煙をしようと思った。
その際に、たばこが害あることはさんざんわかっていたので別のことを考えた。
 
ちょうど自分は結婚をして子供が欲しいと考えていた時期で、将来たばこを吸い続けたら自分のやりたいことは実現できるのだろうかと検討を始めたのだ。
たばこを吸い続けたときの経済的損失や、将来的に健康でいられるとかそんなことを考えた。
 
最初にあげたCOPDとかたばこが健康にあたえる害はそうとうなものだ。
結婚して子供を育て上げることを考えたらたばこをやめることは必然となった。
 
そして、3度目の禁煙から10年たった今でも再びたばこを吸うことはなかった。
今でも吸いたいと思うことはなくなった。
たばこの値段や喫煙者の減少、吸う場所の少なさ、喫煙者の肩身の狭さなど今の環境も大いに後押ししてくれている。
 
けれど、今でもたまに自分がたばこを吸っている夢を見る。
 
「しまった!! たばこ吸ってしまった!!」
 
そんなことを思い目を覚ますのだ。
 
たばことはなんとおそろしい嗜好品なんだろう……。
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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