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「ビールに枝豆」それ本気で言ってる?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かのこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ビールに合うおつまみ」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。
 
塩が効いた枝豆?
外はサクサク、中はジューシーな鶏のからあげ?
 
このふたつは大多数の回答ではあるだろう。
しかし、あなたが様々なおつまみを合わせに合わせぬいた結果、最終的に辿り着いた「最適のおつまみ」だと胸を張って言えるだろうか。
 
わたしには、自身を持ってオススメできるおつまみが一つだけある。
ティラミスだ。
 
ビールに合うおつまみはティラミス。
 
この理由を説明する前に、まずはあなたに問いたい。
“ビール”って、いったい何種類あるだろう。
 
わたしがまだビールにハマるずっと前、ビール好きの先輩に問われたのがこの質問だった。大衆居酒屋でビールとからあげを食らっていたときのこと。あまりにも唐突に問われたので、わたしの頭上にはハテナが浮かんだ。
 
「スーパードライ、一番搾り、プレモル、エビス……あっ、黒ラベル。でもそっか、クラシックラガーもあるし、ハイネケンとかバドワイザーもあるから……、うーん。20種類ぐらいですか?」
 
「はい残念! 答えは“100種類”以上でした~!」
 
けらけらと目の前で笑う先輩になんだか悔しくなって、「それ地球規模で考えろって話やないですか! 日本やったら20種類ぐらいちゃうんですか!」と噛みつきながら中ジョッキをあおった。だってそうだろう、日本国内にビールが100種類以上あるなんて聞いても、全然ピンと来ない。
 
すると、先輩がさらにニヤニヤと笑い始めた。
なんやなんや、むかつくぞ。
 
「実はな、日本やとビールってほとんど1種類やねんて。おまえが言ったビール、全部おんなじ種類やねん」
 
わたしの頭上に、さっきよりも巨大なハテナがぷっかり浮かんだ。
 
日本にはビールが1種類しかなくて、世界には100種類以上ある。
その意味が、今ならよく分かる。わたしが指折り数えたのは“銘柄”であって、“種類”ではないのだ。
 
ワインに置き換えてみると分かりやすいだろう。
 
ワインは「赤ワイン」「白ワイン」と種類を分けることができ、さらに「赤ワイン」の中でも細かく種類を分けることができる。「カベルネソーヴィニヨン」「シラー」など、ブドウ品種から選ぶこともできれば、製法によって分類することも可能だ。
 
ビールも同じことだ。
発酵方法によって「エールビール」「ラガービール」に大きく分類でき、さらにそれぞれの中でも細かく種類を分けることができる。細分化していくと、ビールの種類は100をゆうに超える。そしてその一つひとつは、製法も違えば材料も違うので、香りと味わいがまるで違うビールばかりである。
 
たとえば「IPA(インディア・ペールエール)」という種類のビールが、今、アメリカを中心に世界各国で流行している。大量のホップを使用しているために、ホップ由来のガツンとした苦味と、グレープフルーツやピーチを思わせるフルーティーな香りが特徴だ。
 
また「スタウト」という種類のビールは、真っ黒な見た目をしている。日本でいうなら「黒ビール」だが、麦芽由来の甘みとこうばしい香りがふわりと心地よく、コーヒーを思わせる味わいなのである。黒ビールは苦手だけどスタウトは飲める、という人も多い。
 
フルーティーな香りがする種類から、コーヒーのような香りと味わいのする種類まで。さまざまな種類のビールが世界には存在しているのに、わたしたちが国内で飲んでいるビールのほとんどは、そのうちのたった1種類、ラガービールの中の「ピルスナー」なのである。
 
ピルスナーに合うおつまみは、そりゃ、確かに枝豆だ。
枝豆特有の香ばしさやしょっぱさが、もっとビールを飲みたい! と思わせてくれる。食べて、飲んで、飲んでは食べてのループに入り込んでしまうものだ。
 
また、昔から言われているだけあって、からあげもピルスナーに合うだろう。からあげのジューシーな脂を綺麗さっぱり流してくれるような、潔い関係がそこにある。
 
でも、そのほかのビールに、枝豆やからあげが合うとは言い切れない。
 
フルーティーなビールに合うのは、もっと香りが強くて味の濃いおつまみだろう。コーヒーを思わせるビールに合わせるなら、いっそスイーツに手を伸ばしてもいい。実際、バニラアイスにスタウトをかけると、大人なアフォガードみたくなって美味しいのだ。
 
さあ、もうお分かりだろう。
私は声を大にして言いたい。ビールに合うおつまみはティラミスだと。
 
丁寧に付け加えたほうがいいと指摘されたならこう言おう。
“スタウト”というビールに合うおつまみはティラミスだ、と。
 
「ピルスナーに合うおつまみは枝豆」という価値観を否定はしない。でも、あなたが「ビールに合うおつまみは枝豆」だと今もなお唱えるならば、それはほんの少しだけ、もったいないように思うのだ。
 
ビールはわたしたちの日常に溶け込んだ不思議なお酒だ。これほどまでに種類があって、これほどまでに自由で、これほどまでに人それぞれの楽しみがあるお酒なんて、めったにないと思う。だからこそ、1種類しか知らないのはもったいない。
 
「ビールに合うおつまみ」のアップデート、ひいては「ビール」そのものに対するあなたの知識を、ぜひアップデートしてほしい。居酒屋で「とりあえずビール」を選ぶあなたならなおさらだ。
わたしにビールの世界を教えてくれた先輩は、今や大切な飲み友である。
 
 
 
 
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2019-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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