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メディアグランプリ

『M-1グランプリ』を10年くらいぶりに観た話

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高橋将史(ライティング・ゼミ平日コース)
 
先日放送された『M-1グランプリ』を観た。
 
ぼくは小学校時代お笑い好きで、その熱量といったら学期末にクラスで行われたお楽しみ会でクラスメートと一緒に漫才やコントを披露するくらいのものだった。当然お笑い番組も好きで、『めちゃイケ』や『はねるのトびら』や『笑いの金メダル』なんかを毎週楽しみにしていた。当時は親から10時までには床に就くよう言いつけられていたので、10時からの放送だった『エンタの神様』はライブでは観られず、毎週VHSで録画して観ていた。
そんな子供が、年の最後に1度だけ行われる、漫才のナンバーワンを決める大会に興味を示さないはずがなく、「M-1観たい!」と駄々をこねては、漫才師たちの頂上決戦をこの目に焼き付けるために家族からチャンネルの選択権を勝ち取っていった。
 
中学校に進学したくらいから、ぼくの情報源はテレビからインターネットに移行し、それと同時に笑いの供給源も芸人からインターネットコンテンツへとシフトしていった。それゆえ、お笑い番組もめっきり見なくなった。
2010年を最後に大会自体が5年間開催されなかったこともあり、『M-1グランプリ』はぼくの生活から長い間切り離されていた。
 
大学に入ってから、お笑い芸人がパーソナリティを務めるラジオ番組を聴くようになった。毎年年末の時期に、彼らがM-1の感想や、あの場所に立ったものしかわからない独特な緊張感について語るのを聞いた。
 
笑いに全てを捧げた男たちが、己の人生をかけて、自らの生きざまを刻み付ける場所。
 
『M-1グランプリ』という大会は、かつてお笑い好きの少年だった時とは全く違う一面でもって、ぼくの興味を引き付けた。
「見てみたい。芸人たちの生きざまを、むき出しの熱狂を!」
ぼくにとっては、実に十数年ぶりのM-1だった。
 
司会を務める今田耕司さんと上戸彩さんによる前説が終わり、今年日本中を熱狂させたラグビー日本代表の選手たちによってネタ披露の順番が決められようとしていた。
 
M-1グランプリでは、くじによってネタを披露する芸人の順番が決められる。それは誰がどのタイミングでネタを披露するのかが、誰にも予想できないということだ。
お笑いのウケ具合はネタそのものの内容だけでなく、その時の会場の空気や観客のボルテージにも大きく左右されるという。くじの出目次第で、当日の結果さえ大きく変化しかねないのだ。
カメラが芸人の待機する中継席に切り替わる。緊張が画面越しにすら伝わる。テレビの前のぼくでさえピリピリとした空気が感じ取れるのだから、その場にいる芸人たちが感じているプレッシャーは尋常ではないはずだ。
 
これだ、こういうのを待っていたんだ。
 
そうしていざネタを披露する時間となる。数組のネタを観て、ぼくはある異変に気付く。
 
「あれ、そんなに笑えないぞ?」
何千組にもわたる競争を勝ち抜いてきただけあって、どの組もネタの完成度が相当に高く、緻密に作られていることが素人目にもわかった。けれど、自分は笑えていない。その原因がわからなかった。まあ自分のツボにはまらなかっただけだろう。そう考えていた。
 
違和感が確信へと変わったのは、個人的にそこまで面白いと思わなかったコンビのネタが、M-1史上最高得点をたたき出した時だ。
お笑い芸人としてのキャリアを何十年にも重ね、数えきれないほどのネタを観てきた笑いのプロである審査員たちが、口をそろえて絶賛している。そんなネタを笑えなかったのなら、さすがに自分の感性を疑うべきではないのか。
そう思った直後、ふと気づく。違和感の正体。
 
「おい、お前の座る席はこっちだ。そっちじゃねぇ」
 
ぼくはずっと、審査員目線で彼らのネタを観ていたのだ。
お笑い芸人のライブに足を運ぶことはおろか、テレビやYoutubeでさえ漫才を満足にみていないぼくが、やれ場の空気だとか、やれネタの構成だとか、やれ緊張と緩和だとか、いっちょ前に批評家ぶって、一歩引いた目線で彼らのネタを観ていたのだ。
もはや審査員なんて大層なものですらない。さしずめ劇場の入り口近くの壁に寄りかかって、難癖をつける厄介な見物人ってところだろう。
そんなスタンスで、笑いに全てを捧げた男たちの生きざまを見てやろうだなんて、ぼくはあの場でネタを披露している芸人の方々に対して、とても失礼なことをしているように思えた。
ぼくがやるべきこと。
それは、あの会場にいるたくさんのお客さんと同じように、観客席に座って、彼らの披露する渾身のネタをただ感じることだ。
それが、彼らに対する最大限の敬意ってやつじゃないのか。
 
改めて観客席に腰を下ろしたぼくは、残る芸人たちのネタをただただ“感じ取る”ことに努めた。
最後に登場した、化粧の濃い男と背の高い男のコンビによるネタは本当にツボにはまって、最初から最後まで笑いっぱなしだった。彼らが決勝戦に進出したのが、自分のことのようにうれしかった。
 
決勝では結局、ぼくが1回目のネタ披露ではあまり面白さを感じられなかったコンビが、会場の空気を完全に自分たちのモノにして、文句なしの優勝をかっさらっていった。
 
結局、オカンの好きな朝ごはんとおやつは何だったのだろう?
 
 
 
 
***
 
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2019-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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