ウェディングプランナーだってシアワセになりたい。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:池田真奈美(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
大安・日曜日のAM8:30。
前日の疲れを引きずりながら、眠たげな顔に華やかなメイクをして、髪の毛をセットする。
びしっとした黒いスーツに、少し高めのピンヒール。
戦闘態勢である。
「おめでとうございます!」
とびきりの笑顔で一組のカップルに挨拶をするのは、ふたりの結婚式を担当するウェディングプランナー。人懐っこいおふたりとは年齢も近いこともあってか頼りにされ、この日のために何か月も前から準備してきただけに気合が入る。料理・引き出物・BGMといった、あらゆるアイテムのチェックや、最後まで新婦がこだわった会場装花は、センチ単位の細かなディティールまで念入りに。会場スタッフとの綿密な打ち合わせなど、ギリギリまでピンヒールで会場内を走り回る。御仕度の整ったふたりが、少し照れ臭そうに顔を見つめ合う姿に顔を緩めながら、いよいよ、挙式本番。
そんなふうに、一体これまでに何組のカップルをお手伝いしたのだろう。
ひと昔前までは女性の憧れの職業ランキングでも上位を獲得していた『ウェディングプランナー』は、当時私が就活するときのブームだったと思う。昔から文化祭や体育祭などみんなで何かを一緒に作り上げるようなワクワクする感覚が大好きだった。そんな感覚が仕事でも求められたらと思っていたときに、ジェニファーロペス主演の『ウェディングプランナー』という映画を見て、この職業の存在を知ったことをよく覚えている。
どこか華やかな印象のある職業に憧れを持ちながら、そんな時代の潮流もあって働き始めたウェディング業界。ゼロからイチに作り上げるライブ感覚や、何よりハレの日である大切な一日をふたりのためにお手伝いさせていただくといったことは天職であると思っていた。現在も次から次へとやってくる仕事にやりがいをどんどん見出して働く、完全に仕事にのめり込むアラサー女子。デートよりも仕事、休みの日もお客様との打ち合わせ、そんな風にプライベートを犠牲にしながら、仕事に専念する日々。
でも、あるとき気付く。
周りが次々に結婚をし、子供が生まれていく友人たちの姿を見て、何かが私には足りないと。そして、当たり前のように20代のうちに結婚して、子供を産んで、家庭を作って・・・・・・そんな風に描いていた将来設計は、今まさにグラグラと揺らいでいる。
ここからは私の偏見かもしれないが、ウェディング業界で働く女子たちは容姿端麗で、バリバリ仕事も器用にこなす男勝りなタイプが多い。更に恐れ多くも続けると、結婚適齢期である女性が多い一方で、周りを見渡せばなぜか未婚女性が占め、多くは晩婚型。
なぜか。それは、人生を預けてくれるふたりのために働くことに誇りを持ち、本当に結婚式という仕事が大好きなんだと思う。いつでも頭のなかは「誰かを幸せにすること」でいっぱいなのだ。いつでも「誰かのために」尽くすことに喜びや幸せを感じ、自分のことは後回しにしてしまう女性が多いのではないかと。そのときに思った。
『ウェディングプランナーの女性は、マジパンなのかもしれない』
マジパン??と思う方もいると思うので説明すると、誕生日ケーキやクリスマスケーキに載っているお祝いには欠かせない可愛らしい飾りのこと。でも食べると美味しくない。というか食べない方も多いかもしれない。でも何も飾りがないと寂しいから、華やかさは欲しいい。そうすると登場するのがマジパンだ。
ただこれは何もウェディング業界に限ったことではない。きっと、世の中の多くのアラサー女子は、日々「誰かのために」賢明に頑張っているのだ。日々の仕事に忙殺され、立ち止まることもなく、あっという間に流れていく。でもふと深呼吸をして立ち止まりたい。仕事も結婚も育児も、たくさんの選択肢を選べる世の中であるからこそ、周りに流されず自分がどう生きたいのかをしっかりと考えること。いつでも誰かの記念日をお祝いする立場ではなく、ときにはぐいっと「自分が主役になる」そんなスタンスの在り方で仕事して良いと思う。誰かをシアワセにするために、自分がシアワセだと感じる毎日を送ることに努力をすることだ。
結婚式で繰り返し唱えられる「おめでとうございます!」そうやって贈られる10文字に込められた言葉には、きっと自分がシアワセになるための最大限の努力をした女性に与えられる勲章なのだ。
私はバージンロードの扉が開く瞬間が好きだ。その瞬間は、どんな新婦も神々しい。
真っ白なヴェールに包まれて歩くバージンロードは、新婦の誕生を意味し、過去・現在・未来と続く道を親御様の力を借りて歩いていくという意味が込められている。
『あなたが生まれたとき、周りの人は笑って、あなたは泣いていたでしょう。だからあなたが死ぬときは、あなたが笑って、周りの人が泣くような人生をおくりなさい』
いつだったか、私がウェディングプランナーをしているときに出逢った言葉が、この瞬間にシンクロする。
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