メディアグランプリ

久留米絣の楽しみ方

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田まりえ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「そのワンピース素敵ですね」
私は、街の活性化をする仕事柄、その地域で活躍する方と知り合う機会が多い。
その地域のイベントで出会ったKさんは、赤い涼しげなワンピースを着ていた。
 
「ありがとうございます。これ久留米絣なんです」
「そうなんですか? 久留米絣とは思わなかった!?」
 
久留米絣と言えば、藍色に「井」の形の模様が入っている農作業着“もんぺ”が思い浮かぶ。
私の知る限り、久留米絣の藍の着物やワンピースなどは50代以上の女性が着るようなデザインのものが多かった。Kさんのような若い女性が着るイメージがない。
 
「私、久留米絣を広める活動をしてるんです。興味ありますか?」
Kさんは、にっこりと微笑み、自分の活動の話をしてくれた。
私は、興味津々でKさんの話を聞いた。
 
福岡県の南部に久留米という地域に、久留米絣という綿織物の伝統産業がある。Kさんは、久留米を拠点に、伝統産業に新しい風を吹き込み、久留米絣の魅力を広める活動をしていた。
 
Kさんは、地元の大学生と一緒に久留米絣を使ったファションショーを企画していた。
ショーの写真をスマホで見せてくれた。ジャケット、ワンピース、スカート、パンツ。男女
の大学生達が着こなす服は、藍以外、赤、黄、グリーンの色に斬新な柄もあり可憐だった。
 
「久留米絣って、こんなに、色とりどりの柄があるんですか?」
「今は、化学染料で染めた機械織も多く、色や柄が豊富で値段も手頃なんです」
Kさんは、久留米絣を若い世代に親しんでもらうため新しいデザインや着こなしの提案に知恵を絞っていた。Kさんの話を聞きながら、これなら私も着てみたいと思い始めた。
 
「このワンピースは、自分でデザインして、注文して仕立てたんですよ」
「え!? 洋服つくれるんですか? 私も、欲しい!」
Kさんは、久留米絣の洋服の注文を受けるデザイナーでもあった!
 
日を改めて。
 
私は、Kさんの工房に遊びに行った。
初めての久留米絣の洋服のオーダーは、「夏用のワンピース」に決めていた。
 
まずは、久留米絣を選ぶところから。
 
Kさんの工房から、車で、S織元に移動した。
Kさんによると、久留米を中心に今でも30ほど織元が点在しており、藍染め手織り、機械織でいろいろな柄を開発するなど各工房に特色があるとのことだった。S工房は、新しい織柄に意欲的に取り組む織元で、Kさんと一緒に様々な商品開発を行っていた。
 
田んぼに囲まれた集落の中に、S織元はあった。
伝統産業ツアーのような気持ちになった。織元さんに、工場を見学させていただいた。この日、休日だったが織機がたくさん並んでいた。隣にある2階立ての工房には、床から天井までびっしり久留米絣の反物が詰まっていた。圧巻だった。
 
「すごい! ここから選ぶの?」
私は、あまりに多い反物の量に目がくらみ、どう選んでよいか呆然とした。
「たくさんあるから、まず、色を決めて、次に柄を決めると選びやすいですよ」
とKさんがアドバイスをしてくれた。
棚ごとに、白、黄なり、茶、赤、緑、藍、水色、藍、紫に分かれていて、無地から柄物まで揃っていた。なるほど。触ってみると、絣も厚いものから、薄手のものまであった。
私は、久留米絣らしい藍色で、やや薄手の横縞の模様の反物を選んだ。
 
次は、デザイン。
好みの服や、雑誌の切り抜きを持ち込む人もいるらしい。
私は、選んだ久留米絣の柄をイメージが活きるようなデザインを考えてみた。
どんなワンピースにするかは、色や柄があるほうがイメージしやすかった。
首はV字、袖の長さ、スカートの長さなど、Kさんに私の大まかなイメージを伝えた。
 
Kさんは、さすがプロ。
私のデザインイメージを活かすように、ボタンを付けるかなどの細かなことの確認やウエストにアクセントをつけたらと提案をしてくれた。洋服のオーダーの仕方もわからなかったが、話し合っていきながら、段々と細かいことが具体的になっていった。
話をしながら、ワクワクした期待感がどんどん高まっていった。ああ、楽しみ!
あとは、Kさんが、デザインをおこしてくれるようだった。
 
最後は、採寸をして終了。
 
3週間ほどで、ワンピースが出来上がってきた。
サイズぴったり、イメージぴったり! 試着した時の喜びと言ったら! しかも、久留米絣の反物を購入して、デザインと採寸をお願いするフルオーダーで、4万円程度だった。
もう、満足度120%です!
 
伝統産業は、久留米絣に限らず、今の生活様式に合わず、新しい活用方法、デザイン、販路の開拓が全国共通の課題。久留米絣は、綿織物で涼しくて、長く使える伝統を残しつつ、若い世代にも新しい取り組みに挑戦していこうとするKさん。
久留米絣を楽しんでみようかという方、洋服のオーダーを楽しんでみませんか?
 
 
 
 
***

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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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