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シェルパはおもちになった ―赤ちゃんと共に歩む出産のはなし―


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記事:チエ子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
目指す場所は、未知の世界。
どんな世界だろうか? 私は歓迎されるかな?
ちょっと不安だけど、どうしても会いたい人がいる。
それは、ママ。私のお母さん。
 
赤ちゃんは、そんな気持ちで、この世界に来てくれるのではないだろうか?
では、赤ちゃんを産む、お母さんの側はどうだろう?
 
私の場合は、叫んでいた。
「うおおおおお!!」
そして、助産師さんに叱られていた。
「ママ! ウオーじゃない! 深呼吸!」
 
それくらい、出産はかなり痛い。そして苦しい。
通常では体験することのない限界を超えた痛み。
まるでエベレスト登山並みに、厳しい道のりだった!!
 
赤ちゃんは、ちいさな探検家。
未知の世界に飛び出そうと、真っ暗なトンネルを進んでいる。
赤ちゃんはたった一人で冒険しているようにも見える。でも、そうではない。
ママが、山岳ガイドだ。ヒマラヤの案内人、シェルパのような役割を担っている。
そんなふうに私は思う。
 
私が、三度の出産を通し、シェルパとして心がけてきたことを記したい。
医学的な知識のない個人の体験談ではあるが、これからママになる方に少しでもお役に立てたら嬉しい。
 
シェルパの役割の一つ目は、ルート工作、と私は思った。
赤ちゃんが通る道、産道。この道をできるだけ通りやすい道にしたい。
がちがちに固い道をこじ開けて進むのと、柔らかい道を滑るように下りていくのと、どちらがいいだろうか?
柔らかくスムーズな道を用意したい。
 
陣痛中はとにかくリラックス、脱力が大事、といわれている。
しかし、陣痛が強くなると、ついつい痛みに身構え、体が固くなる。
これでは、赤ちゃんが通りにくい! ピンチだ。
私は2つの方法をとった。
 
① イメージの力を借りる
とにかく柔らかいものになりきる。雲、わた、コンニャク、なんでもいい。
私はつきたてのモチになった。どこまでものびるモチ。
やわらかい産道を通っておいで、と赤ちゃんに提供する気持ちで、息を吐き、脱力を心がけた。
「私はモチ! どこまでも伸びるモチ! ふぅー」
 
② 自分の体をマッサージ
お腹や腰、腕、顔など、体中を触り、固くなっていないかチェックする。柔らかけば、脱力できている証拠。固い部分は自分でさすり、ほぐしていった。
「やわらかくなれー。いいぞー。」
 
シェルパの役割の2つ目は、酸素の供給。
ママは赤ちゃんの酸素ボンベ。いつでも赤ちゃんに届ける気持ちで呼吸する。
ママが呼吸を止めれば酸素が行きわたらずに赤ちゃんが苦しくなるそうだ。
どんなに痛いときも、赤ちゃんの旅を応援するために、吸って、吐く! を心がけた。
 
シェルパの役割の3つ目は、松岡修造さん並みの応援団。
「そうだ!」「いいぞ!」「その調子!」「やればできる!」「君は、一人じゃない!」
とにかく、赤ちゃんに話しかける。
出産中は、痛みで我を失っていく。でも、赤ちゃんに話しかけていると、ママ自身の精神も保たれやすい。
「さっきの陣痛、大きかったね。大丈夫? ママは大丈夫だよ。がんばろうね」
ひとりごとを言っているイタい奴と思われるかもしれない。でも、出産中、もはやそんなことを気にしている余裕はなかった。なんなら私は、自分で自分のことも褒めていた。
「えらいぞー。こんな痛みに耐えて本当にエライ!」
「がんばれー!! 何にでも終わりはある!! 冬来たりなば……うおおおおお!!」
陣痛に耐えながらの修造ごっこ。助産師さんやお医者さんに何と思われようと気にするもんか!
 
初めての出産と子育てを通し、生まれたての赤ちゃんにもママの言葉は通じていると私は信じるようになった。だから、二度目、三度目と回を重ねるごとに、お腹をなでながら、「もうすぐ会えるね」と、赤ちゃんに話しかけまくりながら産んだ。赤ちゃんも答えてくれている気がした。
話しかければかけるほど、「赤ちゃんと一緒に頑張った」と思える、いい出産になった気がする。
 
さて、ここまで、産まれてきてくれる赤ちゃんをどうサポートするか、私なりの体験を書いた。
誰かのお役に立てたら、と思ってはいるけれど、その一方で、「この内容、全部忘れてくれて大丈夫です!」とも思う。
病院には、頼れる助産師さんもいる。あまり心配せずに、どーんと構えてゆったりした気持ちで陣痛を待つほうがいいらしい。
私は怖がりだから、事前にいろいろ調べて、心構えを準備して臨んだ。怖がりすぎていたけれど、結果として、役に立った部分もあったとも思う。
 
出産は、一人ひとり本当にちがう。
赤ちゃんをお腹に宿したその日から、ママと赤ちゃんのエベレスト登山は始まる。
登頂までの道のりは、人それぞれ。出産法も、普通分娩、無痛分娩、帝王切開、いろいろな方法があるだろう。でも、ひとつだけ共通点がある。
 
どんな出産でも、生命の誕生は奇跡である、ということ。
 
「正しい出産」「正しいシェルパ像」がどこかにあるというよりは、ママと赤ちゃんの数だけ、ルートがある、そのようなものではないだろうか。
 
どんな出産でも、とにかく生まれてきてくれたら、百点満点。
ママも赤ちゃんもすごい!! エライ!! と私は思う。
 
これからママになる皆さん、赤ちゃんと一緒に、ご自分たちのペースでの登頂、応援しています!
 
 
 
 
***

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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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