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メディアグランプリ

あのコにもらったダイヤモンド


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:イトウユリ (ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
「人を褒めたり、認めたり、労ったりすることで人間関係は向上する」
あるセミナーに通い始めた初日に講師がそう教えてくれた。この教えを何よりも鮮明に覚えているのはきっと、私たちは10日間を通して、セミナー仲間を褒めたり、認めたり、労ったりした内容のメモを何回も、できるだけ多く渡すことが一つの課題となっていた。
最初は照れて中々書けなかったが、少しずつ仲間の良いところを見つけるのが上手になり、洗練された内容のメモが何枚も交わされることになった。
 
私も例に漏れず、最初はたどたどしかったそのメモの内容が少しずつ格好いいものに変なっていった(と私は思っている)。
仲間に渡すと、笑顔をもらい、こちらも嬉しくなる。
もちろん、メモをもらうと「そんなところを見ていてくれたんだ」と嬉しくなり、承認欲求がめちゃくちゃ満たされて幸せだと感じたことを覚えている。
 
そんなセミナーを受けたおかげで私は自信を取り戻し、事務員のパート勤務を辞め、以前挫折した教育の現場に戻ることを決意した。
まだ若かったあの頃は自分に自信が持てず、いろんな壁にぶち当たっては乗り越えられず、撃沈してしまった。まるでタイタニックの様に、海底へと沈んでしまった。そこまで沈めばもう二度と戻ることはないと思っていたのだが、そのセミナーで気が付いた。私はずーと長い間、心の奥底で困っている子どもたちにもう一度手を差し伸べて共に戦いたいと思っていたことに。
 
転職活動を行い、無事に採用された。
私は13年ぶりに小学校で外国人児童の支援をする仕事に就いた。
 
教育委員会から派遣されたその小学校には多くの外国人児童が在籍しており、その多くはブラジル人である。私もまた29年前に遠いブラジルから来日し、日本語や日本の文化をゼロから学んだり、いじめ等の人間関係で悩んだりしながらもなんとか日本語をマスターし、大学を卒業することもできた。
私が日本に来た頃はそれほど外国人も多くなく、特別に支援してくれるような人もいなかったので、状況はいくらかマシになったのではないかと思う。
 
ただ、残念ながら「マシ=問題ない」というわけではない。
親に連れてこられた子どもの多くは日本語が話せなかったり、習慣が全く違うために馴染めなかったりして、苦労は多い。
 
ブラジル人にとっての母国語はポルトガル語。ラテン語系の言語で、アルファベットを使うし、文法も日本語とはまるで違う。
「金平糖」「天婦羅」「カステーラ」等の言葉はポルトガル語が語源らしいが、意味は全く違うので、ブラジルでは通じない。
 
言葉や習慣で困っているうちに精神的にバランスが取れなくなり、勉強に集中できない子どもは経験上、多いように思う(私もそうだった)。なので、私の仕事は単純に日本語の通訳や文章の翻訳をすることだけではなく、その子どもたちに寄り添い、安心させることでもあると思う。
 
自分にできることは何だろう。
子どもたちのいいところを見つけて、あのセミナーで学んだように
褒めたり・認めたり・労ったりすることをうまくできるのだろうか。
悲しく、辛い子どもはいるのだろうか。
あれまくっている子どもはいるのだろうか。
 
そんなことを考えながら、入学式や始業式の日がやってきた。
子どもたちと初めて対面した日、私は体育館の壇上で日本語の挨拶をし、ブラジル人児童に向けて元気よくポルトガル語であいさつもすることにした。
多くの児童はポカーンとする中、何人かの笑顔が見えた。
どうやら、子どもたちに受け入れられたようで、ホッとした。
 
また数日が過ぎ、私は3年生のクラスでブラジル人児童のお手伝いをすることになった。複数人の外国人がいたので、どの子がどの程度日本語がわかるのか全く見当がつかず、とりあえず声をかけてみたり、呼ばれたら疑問に答えたりした。
 
そこで、ある女の子が手をあげた。視線が合うと彼女は私を手招きした。
その子の机まで行くと、私はポルトガル語で聞いてみた。
「どうしたの?わからないところあった?」
「これ」と女の子は紙を差し出しながら言った。
「かわいいね」とその絵を褒めると、彼女は言った。
「これ、あげる。あなたはダイヤモンドをもらうに値する人よ」
 
その小学校3年生の女の子は色とりどりのダイヤモンドを私に渡してくれた。
私はあまり気の利いた言葉が中々出てこなくて、「ありがとう。私のジュエリーボックスにしまって大切にするね」とだけ言ってその場を離れた(ハグしたかったが、授業中だった)。
 
私があんなに考えていたことを、その子は一瞬でやってくれた。
もしかしたらあのポルトガル語のあいさつで嬉しくなってダイヤモンドを描いてくれたのかもしれない。
子どもたちから多くを学ぶ毎日。今度こそは撃沈せずに子どもたちと共に日本という海原を行き、多くの新天地を発見できそう。
と今日もジュエリーボックスに入っているあのダイヤモンドを見ながら思うのである。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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