メディアグランプリ

パズルな夫婦


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記事:ゆーすけ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
世の中には様々な夫婦像がある。亭主が幅を利かせた、まるで明治以前の封建制度さながらの「亭主関白」な夫婦がいるかもしれないし、逆に奥さんが全権力を掌握し、ダンナさんが全く奥さんにうだつが上がらず、奴隷制度が復活したのではないかと思われるくらいこき使われる「かかあ天下」の夫婦もあるかもしれない。僕は各家庭に対してどうこう口出しする気はないし、そんな権利ももちろん持ってはいない。各家庭で好きな方針を取られれば良いし、それで死ぬまで一緒に(できれば幸せに)暮らしていければ万々歳だ。しかしながら、(おそらく)誰しも夫婦像に対して理想とする形がある通り、僕にも僕なりに考える理想の夫婦像というものがある。それは、互いがパズルのピースとして機能することだ。
とある夫妻を紹介したい。僕には交際を始めてもう四年くらいになる友人夫妻がいる。その夫妻は僕の仲間内ではとても仲が良いことで有名であり、もう結婚して六年も経つのに、聞いている限りいまだに倦怠期も迎えず、「愛している」みたいなラインを送り合っているらしい。(これは送信履歴を見たと言っている奴がいるため、どうやらほんとのことのよう)
その友人夫妻の家を何度か訪れたことがあるのだが、家がいつもとてもきれいなのだ。もちろん「僕が来るから」ということで、洗濯物を畳んだり、何か見られたら恥ずかしいようなものをしまったりといった気遣いはしてくれているのかもしれないが、どうやらそれだけではないように思える。基本的に細かいところまでよく掃除と整理整頓が行き届いていて、棚や食器棚とかに埃がたまったまま、というようなことはまず見かけたことはないし、本棚の漫画や本も巻数ごと、シリーズごとにきちんと整頓されている。最初来たときは「随分、きれいにしてるんだな」と思っただけだったが、何回お邪魔しても、いつもその状態が保たれているのだ。
ある日僕は旦那さんの方に「うち、いつ来てもきれいだね」と何気なく聞いてみた。すると彼はこう言った。
「あー。これね。実は俺と彼女の性格が真逆だからいつもきれいにしていられるんだよ。自分で言うのもなんだけど、俺は結構、整理整頓が好きな方でリモコンとか小物類とか絶対に決まった場所にないと嫌なんだけど、水回りの掃除とか全然だめで・・。多少シンクに水垢が付いてても全く気にならないんだよね。
でも彼女は真逆で、仕事から帰ってくると、その辺に鞄を放り投げたままだし、靴下とかひどいときだと下着類とかその辺ほったらかしにしてるんだけど、妙なところできれい好きで、二日に一回掃除機かけないと気が済まないし、風呂場にちょっとでもカビなんか生えていようものなら、夜中でもゴシゴシ磨いてるくらいだよ」
「へー。でもそれだとなんかやってくのは大変そうだけどな……」と僕が尋ねると。
「いやいやそんなことはない。俺は整理整頓が得意だけど、掃除ができん。逆に彼女は整理整頓はできんけど、掃除は得意だ。だから、自然とお互いを補い合って生活してるんだな。俺は彼女が散らかしたものを気がつけば片づけてるし、逆にあいつは俺がなかなか気にならない、気がついてもやろうとしない家のメンテナンス、洗面所をいつもピカピカに保ったり、風呂場のカビを徹底的に排除してくれたりしているわけだ。それでお互いがお互いを補って、この家のバランスが保たれているんだね。まあ夫婦ってそんなもんだろ」というようなことを言っていた。後は彼のいつもの半分のろけたような自慢話になったのでほとんど聞いていなかったが……。
夫婦関係における理想の形は彼らのような関係なのではないかと僕は思った。もちろん夫婦といっても、赤の他人が一緒になる訳だし、それぞれの住んできた環境も、持っている価値観も全然違う。それに人なのだから当然誰しも欠点がある。たまには価値観がぶつかりあってけんかになったり、相手の欠点に目が行って、ついつい言いすぎたりすることもある。でも友人夫妻のように、互いの欠点を認め合い、欠点を補い合いながら1つの家庭を創り上げるのはとても素敵なことだ。まるで一方のピースの出っ張った部分がもう一方のピースの欠けた部分にぴったりと合って完成するパズルのように。
もちろん僕が今語っていることは理想論かもしれないし、僕の友人夫妻の場合であっても、ほんとは見えないところでお互い相手にむかっ腹を立てたり、イラっと来たりしているのかもしれない。でも、そういうときもたまにはある。要はトータルで見てよい関係を築ければ良いのだ。完璧な夫婦なんてないのだから。理想は目指すことが必要なことだと僕は思う。
僕はこの春、二年間付き合った彼女と結婚した。友人夫妻のようにはなかなかうまくいかないけれど、それでも僕らは彼らのようなパズルのピースを目指したい。
 
 
 
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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