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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:雨辻ハル(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「自分って何が好きだったっけ??」
 
自分の好きが分からなくなってしまった。服や音楽やカルチャー。学生の頃はこれが好きだとはっきり言えるものがあった。
 
しかし最近自分は何が好きだったのか、すっかり分からなくなってしまった。
 
その原因に情報が手に入りやすくなったことがある。
 
YouTubeやTwitterのタイムラインなど、日常のあらゆるところに情報が溢れている現在。
今まで時間をかけて探していた情報が、今では簡単に探し出せる時代になってしまった。そして新しいものや、今までになかった便利なものが次々と誕生している。新しいと思っていた情報がすぐ古いものになってしまう時代だ。
 
毎日毎日新しい情報が私の目に飛び込んでくる。滝のように流れてくる情報に飲み込まれて、自分の好きを追い求めることが少なくなってきた。学生の頃は、古着やバンドなど、自分が好きだと言えるものがあったし、それを追い求めていた。何軒も古着屋を回って欲しい服があるまで探したり、大好きなバンドのライブを見るために、夜行バスに乗って県外まで行っていた。その頃は本当に楽しかった。
 
しかし、いつの間にか好きというよりも、今の流行や最新の機能に流されることが多くなってしまっていたのだ。好きというよりも便利さや効率を求めるようになっていた。情報が手に入りやすくなったのに加えて、商品を紹介する技術も格段に上がっている。実際に使っている映像を見せたりして欲しいと思わせるような宣伝になってきているのだ。そういう宣伝を見せられては、本当に古いものに価値はあるのかと思えてしまう。
 
古いカルチャーに好きを見出してきた私はこの情報化の中で、自分が本当に好きなものってなんだったっけと考えることが多くなっていた。いつしか本当に好きだったことを忘れてしまっていた。
 
そんな私の好きを思い出させてくれたものは、ある漫画だった。
 
私はいつものようにiPhoneに入っている漫画アプリを使って漫画を探していた。
その時、アプリに「頭文字Dが7月○日まで、1巻から3巻まで無料」という広告を見つけた。
 
私は頭文字Dが車の漫画だということを知っていただけで、どのような内容なのか全く知らなかったが、以前友人が面白いと紹介してくれたことを思い出したので、とりあえず1巻を読むことにした。つまらなかったらやめればいいくらいの軽い気持ちだった。
 
少しずつ読み進めていく。どうやらこの漫画は走り屋たちが峠でレースをする話らしい。
車にあまり興味がない主人公だったので妙に親近感が湧いた。私も主人公と同じように車に全く興味がない、車など走ればなんでもいいと思っているタイプだからだ。
 
しかし、そんな主人公の車に対する心境がライバルたちとのレースを通じて徐々に変化していく。最初は車に対して興味がなかった主人公が、次第に車に対して興味を持ち始め、自分の車に愛情を持つようになっていくのだ。そして運転も初めは実家の手伝い、主人公の実家は豆腐屋で配達を毎日任されていた、のために運転しているだけだった。自分のために走るのではなく、誰かのために走っていた。それがレースを通じて、自分のために走るようになっていく。
レースというものを通じて、主人公は自分は車が好きだということを認識していくのだ。
 
もちろん主人公とライバルたちとのレースのシーンも面白い。今では見ることがなくなった80年代、90年代の車たちが峠道を走っていく。
 
その車たちがレースする姿、そして主人公たちが生きている80〜90年代のカルチャー、特に服装など、を見て、私は「好き」を思い出していった。レースを通じて車が好きだということを知った主人公のように、私も頭文字Dという漫画を通じて好きなものを再認識することができたのだ。
 
自分の好きという根源を思い出させてくれるのは、案外身近にあるもののような気がする。周りによって自分の目が曇っていただけで、きっかけさえあれば思い出すことができる。
 
私は好きなものだったが、他のものだってそうだ。人としての芯だったり、目標だったり、自分が大切にしていたことだって、忙しい日々の中でどうしても忘れてしまうことはある。その忘れてしまったことを思い出させてくれるのは、漫画や雑誌かもしれないし、音楽や旅行かもしれない。それが私にとって頭文字Dという漫画だったのだ。
 
大切なことは、分からなくなってしまったから何もしないことである。自分が分からなくなっても、色々な体験をしたり、知識を得たり、芸術に触れることが大切だと思う。触れることによって忘れていたことを思い出すことができるかもしれない。立ち止まることが一番良くない。立ち止まるのではなく、自分の好奇心に従って、物事に触れてみることが大切だ。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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