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突然ですが、ピカソについて語らせてください!


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記事:海野そら(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「こんなへんてこな絵、私でも書ける」
思い返せば実に失礼極まりない話だが、子供の頃に彼の絵を見たときの正直な感想だ。
彼とは……20世紀を代表する絵画の巨匠パブロ・ピカソ。
今、私が一番好きな芸術家である。
ピカソという名前は知っているけれどよく知らないという人たちに向けて、僭越ではあるがピカソについて語らせていただけたらと思う。
 
「コスタデルソル」という地名を聞いたことがあるだろうか?
スペイン語でコスタは「海岸」、ソルは「太陽」、デルは英語でいう「of the」を意味する。
年平均気温は19度、年間の日照は300日以上というまさに「太陽の海岸」地域。
 
ピカソは1880年スペインの南部、太陽の海岸コスタデルソルにあるマラガで生まれ、10歳までの子供時代をこの地で過ごした。父は美術教師。幼いころから絵画を学び、早くから才能を発揮した。
父親の転勤にともないバルセロナに移住するが、1904年には友人とともに訪れたパリにアトリエを構え、その後の人生のほとんどをフランスで過ごすこととなる。そのためピカソはフランスの画家であるという人もいるが、ピカソに想いをはせながらマラガの街を歩いていると、太陽と海とピカソがまるで三位一体のような感覚におちいり、ピカソの原点はまさにこの地にあるということを痛感する。
 
1973年に亡くなるまでの間、ピカソは実に14万点もの作品を世に残している。常に新たなことに挑戦し続け、油絵、素描、版画、挿絵、そして彫刻と陶器を制作し、最も多作な芸術家としてギネスブックに登録されていることはご存じだろうか?
その作風は変化し続け、時代ごとに名前がつけられている。青の時代、バラ色の時代、アフリカ彫刻時代、キュビスムの時代、新古典主義の時代、シュルレアリスムの時代。
ピカソは様々に変化する作風の中で独自の表現を確立していった。そして、晩年もその情熱が冷めることはなく、亡くなる間際まで創作活動は続いていたという。
 
出身地であるスペインのマラガには、遺族が中心となって設立したピカソ美術館や現在博物館となっているピカソの生家があり、ピカソを育くんだ環境に触れることができる。
 
私がマラガのピカソ美術館でみた最も心に残ったピカソの作品は、1か月半の間に連続して描かれた11枚の牡牛の版画だ。陰影をつけ写実的に描かれた牡牛が、徐々にその身をそぎ落とされ、最後には線と円筒だけの幾何学的に描かれた牡牛となる。段階的に変化を遂げていく11の牡牛を観ていると、ピカソの頭の中で不要なものがどのようにそぎ落とされて最終形にたどり着いていったか、その変化の過程をうかがいしることができる。まるで自分がピカソになったかのような視点で観ることができるのだ。
最終形の牡牛は究極的にデフォルメされ、簡素化され、それでもなおそこから牡牛の生がありありと感じられる。まさに引き算の美学である。その過程を観れば、それがただ線と円筒だけで描かれた誰にでも描ける絵だと思う人はいないだろう。牡牛の真の美しさをそれだけで表現するというピカソの才能に、魅了されるはずだ。
 
また、ピカソといえば『ゲルニカ』という作品が有名だ。絵は観たことがないが、タイトルは聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。
スペイン内戦中の1937年4月26日、自由と独立の象徴とされていたゲルニカ(地名)が、ヒトラー率いるドイツ軍に無差別に空爆される。この出来事に衝撃を受けたピカソが戦争の恐怖や苦しみを描いた作品だ。
この作品は現在マドリードのソフィア王妃芸術センターに所蔵されていて、作品を観るために多くの人たちが毎年ここを訪れる。
私も一昨年ようやくゲルニカを生で観ることができた。圧倒的な迫力をもって心に訴えかけてくるピカソの苦悩を感じ心が震えた。ピカソがどのような視点から無差別空爆を観察し解釈したかを本能レベルで感じることができ、自身の本能的な直感が鍛えられた感じがした。
そして『ゲルニカ』は「何が真実かわからない混沌とした世の中をおまえはどう判断して生きるのか」と私に問いかけてきた。作品を観て何を良いと思い、何を悪いと思うか。作品と向き合うことによって自分の価値観が試される。作品に向き合うことは、心の中に無意識に潜んでいる、大切だけれど意識できていない何かを発見するための心の探求だ。日常の忙しさに追われて繰り返される毎日の中で、思考も自ずと凝り固まってしまっていたことに気づけた。自分自身の内面を顧み見直す良いきっかけとなった。
 
ここまで読んで、ピカソに興味を持っていただけたら幸いだ。
そんなあなたに、次の旅行地の候補としてピカソの出身地マラガをお勧めさせていただきたい。
太陽と海を肌で感じながら、ピカソの生家を訪れ、美術館を訪れ、彼のたくさんの作品にであえば、きっとあなたも情熱あふれる芸術家ピカソの虜になるに違いない。
 
 
 
 
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2020-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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