メディアグランプリ

~反抗期、それは子供にとって最高の場所~

thumbnail


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:池尻浩子(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
「ぶろっころしてやる」
 
玄関で泣き叫ぶ5歳児。
どこで覚えたのか、そんな言葉。「ぶっ殺してやる」とは言えず「ぶろっころしてやる」。
客観的に聞いたら可愛らしく思えなくもない、長男からドストレートに言われたその一言は
私の心に深く突き刺さりました。
 
5歳児、そう、まだ言葉の意味も、それを人に伝えるということがどういう意味かも分かっていない年齢ということは十分、分かっていても深く傷ついた母親、私の心。
 
私は、ボロボロ涙を流しながら、人には言っていい言葉と言ってはいけない言葉があるということを話しました。
 
長男が5歳の頃、まさに反抗期真っ盛りでした。
私が次男を妊娠していたのもあってか、長男はどこか情緒不安定で真っ向勝負で私と喧嘩する日々が続いていました。
 
保育園の降園時、保育園の玄関で「いやだ、ここからうごきたくない、いえにかえらない」と言い張る長男。「そうか、そうか。じゃあ、おんぶして帰る?」などと言いながら、閉園時間に近づき保育園にも迷惑をかけてしまう、一向に
首を縦にふらない長男に、ただただ募る気持ち。
 
そんな長男と私のやりとりを見ていた保育園の先生が「お母さん、えらい。ずっと寄り添ってあげて、真剣に向き合ってあげている。私なんて、子供が言うこと聞かなすぎて、怒鳴って近所の人に警察呼ばれたことなんてあったわ~」と、笑いながら声をかけてくれた体験に救われたりしていました。
 
というのも父親には、感情を真っ向からぶつけることはなく、私といるときに限って暴言を吐いていた長男。もちろん保育園の先生にも習い事の先生からも「〇〇くんが反抗して苦労した」という報告は聞かない。
 
「私が間違っている?」
「私だからこうなるの?」
「私の受け止め方がだめ?」
「愛情不足と感じている?」
「もっと子供を楽にしてあげられる方法はないのかな?」
 
ずっと心の奥に住みついていた、罪悪感に近い感情がそこにはありました。
 
ある日、長男の習い事で通っていた公文の玄関前。
長男は私に、いつもの如く思いっきり反抗し。
「バカ~~!! かあちゃんなんか、あっちいけ~!」
と大泣きしながら叫んでいました。
 
それを見ていた公文の先生に、後日の面談で言われたことが私にとって
忘れられない一言となりました。
 
「お母さんは、最高の環境をお子さんに用意してあげていらっしゃるんですね。」
 
「え? 何が?」一瞬何のことか分からなかった私。
 
「子供にとって、最高の幸せって、感情をそのまま出せること。
思いっきり甘えられることなんですよ」
 
あの大泣きの長男を見ていた先生。その日の面談は、「私はこの子にどうやって向き合ってあげたらいいと思いますか?」と質問を用意していました。
 
でも、そんな質問をする前に、ふいに先生から言われた一言。
その言葉を聞いた時、私はその場で涙が止まりませんでした。
 
働きながら無我夢中で子育てをしながら、ゆっくり向き合ってあげられない
もどかしさを感じながら子育てをする日々。
感情を抑えきれず、怒りを爆発させて後悔したあの夜。
子供が「ねえねえ」と話しかけてきても、口癖のように「ちょっと待ってね」と言いながら心の中で「手をとめてあげて子供と目を合わせてあげたらいいのに」と
 
どこかで自分を責めていました。
 
だから、面談でも
「もっとこういう風にお子さんに接してあげるとよいですよ」
とアドバイスされるかと思っていたのです。
 
でも、「お母さん、すごいね~。最高ですよ」
 
私のすべてを包み込んで、今までの私の積み重なってきた小さな罪悪感を
まるっと肯定されたような気持でした。
 
「感情をだせることを大事にする」
 
本当に感情を素直に出して人に甘えたかったのは私なのかもしれない。
答えが分からない、答えのない子育てに奮闘しながら、人に甘えることが出来ない。
弱音を吐くことも苦手。だから、全力で自分の想いをぶつけてくる長男に戸惑って
いたのかもしれません。
 
そして、長男に対して「反抗している」ではなく「全力で表現してくれているんだ」
という見方に変わったのです。すると、自分を責める気持ちがなくなり、「そうか、そうか、思いっきり甘えたらいいんだよ、母ちゃん、全部受け止めるよ。その思いを丸ごと抱きしめるよ」そんな気持ちを思えるようになりました。
 
感情をだせること、感情をぶつけられる場所があることの有難さ。子供だけではなく、大人にとってもすごく大切なことを教わった気がします。
いつか、「ぶろっころしてやる」というような言葉が、正しく言えるようになり暴言を吐くようになる
思春期の反抗期にも少しだけ寛容になれるかな、と思いつつ
その時はダメな母親だと自分を責めず、私自身も誰かを頼り、たまには感情を出してみようと思います。それが、本当の信頼と愛を知る一歩なのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-08-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事