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180cm越えのイケメンになりたかったと気が付いた日

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記事:にじの青(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
あるとき、ふと気が付いた。
自分の理想とする男性像は、自分の内側にある男性性がなりたかった姿だと。
それを裏づける記憶とエピソードがある。
 
ひとつは、小学校6年生の頃の事だ。
「将来の自分」というテーマで、自分の未来予想図を作るという授業で、身長180cmになりたいと書いた。女性は、初潮が始まると同時に、身長の伸びが止まると言うが、そのことを無視してでも、180cmになりたかったのだ。小学校入学時から、背の高い順のベスト3を競う大柄な私は、当時160cmを越えていた。だから、伸びても不思議ではないと踏んだのだろう。残念ながら、今の私は165cm。ただし、ハイヒールを履くと170cm後半になるので、当たらずとも遠からずな未来予想だったかも知れない。
 
もうひとつは、一部の友人が言い出した私のあだ名である。
普段から、髪が短くメンズ服を着ていることもあり、初対面の人に「宝塚の男役みたいですね!」と言われるのだが、ある時、ひょんなきっかけで「王子」と呼ばれるようになった。きっかけは、服装だったのだが、その後、「行動も王子だ」と言う話になった。
女性の友人と居れば、車道側を歩いたり、ドアを開けて先に入ってもらう。相手の歩幅に合わせて、休憩のタイミングを見計らう。これは私にとって無意識に行っている行動なのだが、周りから指摘されて気付いた。よく考えなくても、完全なるエスコートである。少女漫画の王子様キャラがする行動を、息をするようにしていたのだ。
 
実のところ、私はジェンダーXと呼ばれる、男性性と女性性が入り混じったセクシャリティを持っている。服装が、メンズ寄りなのもそのせいである。スカートを穿かないわけではないが、必要に迫られないと、だいたいパンツスタイルになってしまう。
ジェンダーXについて、分かり易くたとえるなら、自分の中に双子の兄弟が居る感じだ。少女漫画などで時々、シスコン気味の兄や弟が登場して、邪魔をするという展開があるが、アレに近い。
 
「俺の眼に適うヤツじゃなければ、許すわけにはいかねぇな」
「ここは俺の出番だな。任せろ」
 
随分と頭のオカシイ事を書いているようだが、頭のどこかに「男としての自分」が常にいる。その部分が、友人から「王子」と呼ばれる原因になったとは、自覚している。
その「男の自分」が「チクショウ、俺はこういう男に生まれたかったんだ!」と思うのが、180cm越え、ハイスペック持ちのスパダリ属性なイケメンなのである。
自分がそう在りたかったのだと、気が付いたのは、いわゆる同人誌と呼ばれる、二次創作を読み流していたときだった。ちょっとした衝撃だった。でも、腑に落ちた。
そうか、そうだったのか。
本当は、ハイスペックな誰かに、エスコートされたい訳でも、守られたい訳でも無く。
自分がハイスペックさを活用して、誰かの面倒を見たいのだ。
でも、生身の男性では、自己投影できないから、二次元の男性キャラクターに親近感を覚えていたんだ。けして、恋愛ファンタジーを求めているわけではないんだ。
そして、私と言う肉体は、男の私から見た理想のミューズであり、女の私からみても納得できるクオリティを維持するべく、食事や服装など最低限の事に気を配って生活しているんだ。だから、必要以上に自分の肉体を他の男性には見せびらかしたくないんだ。もったいない、と過保護セコムが発動するから。
 
長年のひっかかりが、解決した瞬間だった。
 
私のように、異性キャラへ自分の内なる理想を投影している人は、意外と多いと思う。それは、なにも今の自分に自信が有る無しという次元の話では無く、私と同じで、自分の中に「双子の異性」が存在するからなのだ。
女装が好き、女性の服を着たい。あるいは、男装したい。そういう人たちの事を、同性愛者だという目で世間は判断する。
それは、違う。
異性装、という行為は、恋愛志向とは必ずしもイコールにはならない。
TVでご活躍中のオネエキャラとして、いっしょくたにされている有名人の人たちが居るが、彼女らの中にも、同性愛者もいれば、バイセクシャル、そして異性愛者もいる。宝塚で男役として長年活躍されていたからと言って、その女優さんがレズビアンとは限らないのと同じである。
 
自分が一番自分らしいと思う姿が、男装だったり女装だったりする。
でも、だからと言って、同性と恋愛をしたい訳では無い。
 
随分とややこしいかもしれないが、それも、また、その人の個性なのだ。
 
私が、180cmのハイスペックイケメンになりたい願望を持つように、本当は150cmくらいの小動物みたいな守ってあげたい系女子に生まれたかった男性もいると思う。
でも、それは、決して大きな声では言えないことだ。
何故なら、「頭、大丈夫?」と言われかねないからだ。
 
女装をご自分の個性としてご活躍される芸能人が増え、女装男子と言う言葉も出来た。
学校の制服でも、女子生徒に対して、スカートとズボンが選べる学校が増えてきている。素晴らしい進歩だと思う一方、男性にはまだ、スカートを堂々と身に付ける日常の壁は厚い。
しかし、日本の服装史を振り返ると、帯の位置や太さ、袖の形、衣文の抜き具合以外は、ほぼ同じなのが和服の凄いところである。袴は、男女兼用である。もともと、ユニセックスな性質をもつ服飾文化があるのだから、もう数十年したら、服装で性差を区別する時代もおわるかもしれない。
 
そして、セクシャルマイノリティという言葉も必要なくなるかもしれない。
 
そうなると、ますます、私たちはより、相手の内面の個性を重視した人間関係を築けるようになるだろうし、セクシャルハラスメントに悩まされる人も減るだろう。
誰もがより生きやすい、穏やかで優しい社会になると期待している。
 
 
 
 
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2020-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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