電車内は優しいつぶやきが詰まっている
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電車内は優しいつぶやきが詰まっている
記事:和田清美(ライティング・ゼミ通信限定コース)
最近Twitterのまとめサイトがお気に入りである。
日常のほっこりする話や、家族の話、職場のブラックネタなど、カテゴリーごとにまとめられており、面白い読み物として楽しんでいる。
私が特に好きなまとめは、電車カテゴリーのものだ。
毎日多くの人が利用する交通機関、人の数だけ人間模様が繰り広げられる場所である。ネタには事欠かない。
電車のつぶやきを読んでいて、思い出したエピソードが2つある。
1つは4月初旬の朝、8時前の満員電車だ。
おじさんサラリーマンと新入社員男子が揉めていた。
会話から推測すると、おじさんサラリーマンを邪魔する形で新入社員男子が立っていて、おじさんを押したらしい。
しばらく言い合っていたが、そのうち男子が謝った。
自分は、この春上京してきたので、電車の乗り方がよく分かっていない、すみませんでした、と。
たいていの車内トラブルは、双方譲らず駅員さん駆けつける、のパターンが多いので、謝った男子は珍しい、偉いな、と思った。
しかし、残念ながら相手のおじさんはタチが悪かった。
推定、50歳以上の管理職風のおじさんは、気弱そうな新人男子を罵り始めた。
「東京の電車はこれが当たり前なんだよ」
「身体が触るの嫌なら、電車乗るな。田舎もんが」
「そんなんじゃ仕事も出来ねぇよ。続かねえよ。辞めちまえ」
ネチネチネチネチ。関係ないことまで絡みが止まらない。
上京したばかりの新入社員が、慣れない満員電車で絡まれて、トラウマにならないだろうか、会社に行けなくなったらどうしよう。
そんな心配をする位、嫌な空気が流れていたその時、若い女性が一喝。
「うるせぇ! じじい!」
瞬殺で、おじさんを黙らせてくれた。
救世主現る! 心の中でブラボーと拍手の嵐、絶妙なタイミングだった。
不穏な空気が、一瞬にしてほっと緩んだ。
車内の人たちも、新人男子を心配し、しつこいおじさんにうんざりしていたに違いない。
張りつめた中で、声を出したお姉さんが素晴らしい。ああいう状況はシンプルに一喝するに限る。
声の主が分かっていたら、私もお礼を言いたいくらいだった。
もう1つ、初夏の休日。
昼間の電車で若い女の子が突然倒れた。
慌てて助け起こしたが、本人はキョトン。
その時、すっと近づいてきた女性が、素晴らしかった。
すぐに座席を一つ譲ってもらい、女の子を座らせる。
「今ね、あなた倒れちゃったのよ。覚えていない?」
「冷汗が出ているね。昨夜はちゃんと寝た?」
「気持ち悪い? 出しちゃおうか。○○(近くに立つ息子らしき高校生)、ビニール袋ちょうだい」
おそらく、医療従事者の方だと思う。テキパキと冷静な看護に、私を含め周りの素人は見つめるだけだったが、
「誰かティッシュ持っていませんか?」の声に、即座にあちこちから手が伸びて、ポケットティッシュの小山が出来た。
みんな心配で、でも何も出来なくて、それでも何か役に立ちたいと思って準備していたのだ。
水が欲しいって言ったら、未開封のペットボトルも飛んできたに違いない。
誰かが連絡してくれたのだろう、次の駅で駅員さんが女の子を下して医務室へ。
電車が動き出す僅かな時間で、駅員さんと引継ぎをし、看護の女性は次の駅で息子たちと降りて行った。
ここにも救世主現る、だ。
何事もなかったように、すっと降りて行った姿もかっこよかった。
そして、見守っていた周りの人たちも、とても優しい。
示し合わせた訳でもないのに、すべての物事がスムーズに進んで、一体感があった。
都会は恐い、何かあっても助けてくれない、というけれど、そんなことばかりではないと思う。
直接声を掛けないにしても、心配そうに見守っている人たちはたくさんいる。何かあったら手を差し伸べようとする心構えはあると思うのだ。
それが、私が電車の中で出会った、一喝した女性であったり、看護した女性、ポケットティッシュを差し出した人々、駅員さんに連絡してくれた人、優しい人たちだ。
一期一会の出来事で、言えなかったお礼や、感動した出来事を誰かに伝えたい、そんな思いをTwitterでつぶやくのだろうか。
見知らぬ人たちが乗り合わせる電車という空間で、優しい時間や面白い時間を共有したつぶやきを見ると、ほんわか暖かい気持ちになる。
そんな優しいエピソードが、まとめサイトに詰まっている。
大変今さらなのだが、最近やっとTwitterを始めた。
面白ツイートほんわかツイートを本場? で見てみたいと思ったからだ。
そして、そのうちこう呟きたいと思う。
「朝、駅のエスカレーターを歩いて降りてたら、滑って尻もちついて階段下に流された。痛くて固まっていたら、後ろのおじさま前のお姉さまが速攻助け起こしてくれた。
このコロナ禍で他人に触るとか、嫌がらずに助けてくれてありがとうございますありがとうございます(泣)」(125字)
***
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