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逃げたら終わりだと思っていた先にあったのは、ずっと居心地の良い世界だった


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:垣尾成利(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
40歳を過ぎてから、陰口や誹謗中傷、無視、仲間外れといった、いじめと言ってもいいような、精神的ダメージを受ける経験をした。
 
それは趣味の集まりの場でのことだった。
 
本名を明かさず、お互いどこの誰だかわからない者同士が趣味を通じて交流を図るネットのコミュニティで起きたトラブルに巻き込まれたのだ。
実際に会って趣味を共有するコミュニティで、趣味を通じての交流なので楽しいのが当たり前だと思ったら、意外にもドロドロした思惑が渦巻く場だった。
そう気付いた時には既にターゲットにされていたのだった。
 
集まりに参加し始めて間もない時期に起きた、仲間内のトラブルに意見を言ったのがいじめのターゲットにロックオンされた原因だった。
 
「新入りのくせに偉そうに……」
古株のメンバーの気に障ったらしく、私の見えないところで非難する言葉が静かに音も立てずに駆け巡っていて、大人数が集まる場でほとんど全員に無視され、それ以降、私に同調した数人が袋叩きにあった。
 
集まる機会に出向き、皆の前で気分を害したことに対して謝罪の言葉を述べたのだが、謝罪したことが更に怒りを生んだらしく、誹謗中傷は止まらなかった。
 
仕事で上司やお客様に怒鳴られたりするのは慣れっこだったが、ここで受けた精神的な苦痛は想像以上で、いじめを苦に小学生や中学生が自殺してしまうのも理解できるなぁと、素直にそう思えたくらい辛かった。
 
やっていることは小学生の時と変わらないような稚拙な手法だ。
無視をする、見えないところ、居ないところで悪口を言う、私と親しくしているとその人まで悪く言われるといった、よくあるやり口だ。
 
しかしながら、これには本当に参った。
仕事も手につかないくらい悩み、苦しんだ。
 
誰が味方で誰が敵なのかが見えない中では、誰にも相談すらできなくなって、どんどん孤立していく。
 
理解者だと思っている人に助けを求めても、関わるとその人までが悪者になりターゲットにされるから、中立の人たちは話を聞いている振りをしながら、巻き込まれないように静かに距離を取り背を向けてしまい、気付いたら味方がいなくなっていた。
 
今まで経験したことのないような、心を握りつぶされるような苦しみがずっと続いた。
 
そんな時、私を助けてくれたのは、そのコミュニティと全く関係の無い友人だった。
 
「そんなところに関わるのを止めろ。行かなきゃ会わないんだし、ネットの繋がりも切ってしまえばそれまでだ。名前も知らないような人の集まりがそんなに大事なのか?
そこしか居場所がないわけじゃないのだから、我慢して関わる必要なんて無い。そんなところからは、さっさと逃げればいいんだ」と、言って強引に引きずり出したくれたのだった。
 
結局、友人のお陰でのコミュニティとの関わりを断ったのだが、あの時の辛さは、10年近く経った今でも嫌な記憶として残ったままだ。
 
私は、どちらかというと我慢強い性格で、嫌なことがあっても耐えようとすることが多かった。苦しくても続けていればきっと良いこともあるだろう、そんなふうに考えることが多かった。嫌だからと言って、簡単に逃げるなんてダメだ、逃げることは負けを意味する、そんなふうに思って生きてきた。
 
それまでの私は「逃げる」という選択肢に良い印象を持っていなかったのだった。
 
しかしながら、友人のお陰で、このいじめの辛さから逃げることを経験して気付いたことがあった。
 
それは、逃げることは決して負けなんかじゃない。身を守るための戦い方の戦略のひとつだ。ということだった。
 
逃げることは悪いこと、弱いこと、負けること。
逃げたらもう終わりなんだ、そんな思い込みがあったことで逃げることができずにいた。
 
その思い込みは間違いじゃないかもしれないけれど、私は逃げることを覚えたことで、心がふっと、軽くなれたのだった。
 
ひとつのことにこだわり続けることも大事だが、本当にダメだと思った時、そこから逃げることができるようになったことで、もっともっと楽に生きることができるんだと知ることができた。
 
逃げたら終わりだと思っていた先にあったのは、ずっと居心地の良い世界だった。
 
学校や、会社、家庭、どんな場所でも、そこに関わり続けることが本当に辛ければ、逃げたらいいと思う。
 
戦って乗り越えることも必要かもしれない。
でも、戦い方にもいろんな方法があって、立ち向かうだけが戦い方じゃない。
 
逃げることも、ひとつの戦略だと思えたら、行動の選択肢は増やせるのだ。
 
世の中に、ここしかないような場所なんて無くて、もっと穏やかに関わることができる場所や、居心地の良いい場所は、探せばいくらだって見つかるはずだ。
 
本当に辛いときは、なりふり構わず逃げてみてほしい。
 
きっと、その先には明るい未来が待っているから。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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