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日常をワクワクさせる言葉


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記事:さあや(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
「コロナって紀元前からあるんだよ」
 
そう聞くと、まさかそんなはずがと思うかもしれない。
でも、コロナが古代にも存在したというのは本当だ。
 
新型コロナウイルスは確かに現代のもの。
でも、「コロナ」という言葉自体は古代ローマで2000年以上前に使われていたラテン語なのだ。
 
もともとコロナはラテン語で冠を意味する。
太陽のまわりの光冠にもコロナという名がついている。
 
新型ウイルスは表面から突起がたくさん飛び出ているせいで、遠目では太陽の光冠のように見えるからコロナという名称になったのだ。
 
私はラテン語をかれこれ10年学んでいる。
ラテン語が英語の語源だと聞いて興味を持ったのが学びはじめたきっかけだ。
ラテン語は紀元前に今のイタリアの地で使われていた言葉であるにもかかわらず、
現代の日常にもラテン語がひそんでいて、
コロナなどほんの一例にすぎない。
日本で10年学習しているあいだにも、「こんなところにもラテン語が!」という発見をたくさんしてきた。
 
例えば、ファックスという言葉もラテン語である。
もとは「同じものを作れ」というfac simileであり、これが省略されてファックスという言葉になった。
 
「初代ローマ皇帝のアウグストゥスはBC63年に生まれてAD14年に死んだ」
実はこの文章にもラテン語がひそんでいる。
BC(Before Christ)ではなく、ADの方である。
ADはanno dominiの省略形であり、直訳では「主(しゅ)の年に」つまりキリストの年という意味だ。
紀元後を表すADとは、キリストが生まれた後の年号であることを示している。
 
手紙を書く時に使うp. s.もラテン語である。
「後で書かれたもの」という意味のpostscriptumを省略してp. s.となった。
 
ラテン語を学んでいると、こういうカタカナ語やアルファベットを見るたびに、「もしかしてラテン語では?」と思う。
すこし調べると、ラテン語であることが判明し、さらには、「あの文法事項が使われていてこういう意味になる!」と自分で解釈できるのだから、楽しさは止まらない。
 
他にも紹介したい身近な表現はたくさんあるけど、文字数の都合で残念ながら全部お伝えできない。
 
ただ、これだけは何度も言っておきたい。
ラテン語は日常にワクワクをもたらすと。
 
でも、ラテン語を学ぶことは正直おすすめできない。
知っている人もいるかもしれないが、ラテン語はとても難解な言葉だからだ。
英語やフランス語、中国語などの外国語と比べて多大な学習時間が要求される。
 
それに、ひとたび時間がかかることを受け入れてしまえば、ますますのめり込むことになってしまう。
他のことがおろそかになるくらいに。
それもそのはず、さらなる楽しみが待っているからだ。
 
ラテン語は古代ローマの話し言葉であり、書き言葉であった。
話し言葉というのは時代ごとに変化していく。
ある地域ではラテン語はイタリア語になり、別の地域ではフランス語、スペイン語へと変わっていった。
 
しかし、書き言葉としてのラテン語は残った。
 
影響が大きいのは学問の世界である。
西洋ではラテン語が長らく書き言葉の権威であったから、
学問を志す人や進学する人にとって、ラテン語は必修であった。
 
新しいウイルスにラテン語のコロナと名付けるのも、
学術用語がいまだにラテン語であることに理由がある。
 
正式な論文もラテン語で書かれてきた。
あのニュートンもデカルトもコペルニクスも母語ではないラテン語を学び、ラテン語で書いたのだ。
 
異なる時代を生きた彼らと同じ言語を学んでいる、なんなら彼らの論文が読めるって、
とてもワクワクしないだろうか。
 
ちなみに、物語の中では『赤毛のアン』のアン・シャーリーもラテン語を必修科目として学んでいる。
 
ラテン語の名言もたくさんある。
気になる方は『ギリシア・ローマ名言集』(岩波文庫)を見てほしいが、
ここでは最後に一つだけ紹介しよう。
 
それは冒頭の写真に隠れている。
 
この写真に見覚えのある人もいるだろう。
なにしろこれは、中公新書のマークだからだ。
表紙を開いたページに出てくるので、中公新書が近くにある方はぜひとも手にとって見てほしい。
 
ここにはご覧の通りアルファベットが刻まれている。
 
Quod Petis hic EST
 
これこそがまさに紀元前から現代に伝わるラテン語の名言なのだ。
 
「あなたが望むものはここにあるよ」という意味で、
ホラティウスという古代ローマ人が紀元前1世紀に書いた詩の一節だ。
 
「心配事を追いやるには遠くに旅に出るよりも、理性や賢明さを持つのがよい。
だから、海を越えて行く人は居場所が変わるけれども、心は変わらない。」
 
これに続くのが、この文言。
「冷静な心を持っているのなら、すでにあなたが望むものはここにあるよ」
 
青い鳥を思わせるような、なんともありがたい言葉!
ここにもラテン語があった! という発見。
そして、それを読める楽しさ!
 
もし、ラテン語に興味をもった人がいたら、誰にも言わずにこっそり学んでほしい。
 
なぜなら、みんながこの面白さに気づいてしまうと、
ラテン語があふれていることが当たり前になってしまい、
発見することがひそかな楽しみではなくなってしまうから。
 
だから、どうかこっそり学んでいろんな発見をしてほしい。
これまでよりも日常がワクワクすることだろう。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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