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メディアグランプリ

波平さんとお父さんたちの「愛のかたち」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Nobu Fujioka(ライティング・ゼミ通信コース)
 
 
日曜18時30分からの人気番組はなんでしょう?
日本国民に連想ゲームをしてもらったら、きっと99%は答えられる問題。
そう、正解です!
日曜18時30分の番組といったらご存知! 「サザエさん」です。
 
わたしはこの番組が大好き。
この時間に他のチャンネルになっていたら、
「サザエさん、見なくちゃ」
と、問答無用で変えてしまうくらい好き。
理由はなにか?
それは、変わらないこと。
悪い人が出てこないこと。
 
どんなに好きで見ていても、どんなに幸せな結末を願っていても、
テレビの事情は視聴者には変えられないもの。
だからこそ、かわらず幸せに過ごす家族がいつでもそこにいる。
それがわたしにはとても大切に思えるのです。
 
が、そんな「サザエさん」、最近はずいぶんと変わってきました。
顔ぶれは変わらないものの、声がちょっと変化したり。
おとなの事情でずいぶんといまどきの小物が登場したり。
平成になっても昭和をつらぬきとおしてきたのに、
ここにきて平成という時代をすっとばして令和のお話になってきました。
視聴者が番組内で登場できる、
という新しい試みも定着しつつあるようです。
 
それにしても、「サザエさん」の設定はだいぶ時代が今においついてきたこの頃ですが、
これまでと変わらないのが、波平お父さんの「カミナリ」。
そう
「バッカモーン!!!」
と、カツオがひっくり返ってしまうような勢いで、波平さんが怒鳴るアレです。
 
少し前までの「サザエさん」ではあまり気にならなかったのですが、
じつは令和を感じるような設定が増えてから最近。
なんとなくこの怒鳴りが気になるようになってきました。
いまではこどもを怒ること。
とても難しくなっています。
こどもに人として正しい道をあゆんでいってもらうため。
そのために、怒ることはもちろん大切です。
でも、怒り方、接し方、そういうものが大きく変わっている時期にきている。
そんな風に感じるのです。
絶対的な上下関係の中で怒鳴るのでなく、冷静にこども側の話をもっときく。
それが是か非かはともかく、そんな時代になってきたような気がします。
 
男の子でいたずら好きなカツオのお仕置きだからか?
「サザエさん」ではカツオを物置に閉じ込めたり、大声で怒鳴りつけたり。
かなり、はげしい。
普段は優しく、筋が通っているお父さんだからこそ、
自分のために言ってくれている。 と、家族はわかっているのでしょう。
カツオ君も物置から脱出してみたり、シクシクおちこんでいたりなんかしません。
それに波平さんはちゃんと後で優しい言葉をかけ、怒られた訳を話したりする。
ふだんからあんなに一緒にすごすし、話す時間があるからこそできる関係。
怒鳴るのは波平さんなりの「愛」のかたち、というところでしょうか。
 
逆に、マスオさんの子育ては全然違う。
いつも優しく、はげしく怒ることもない。
きっとタラちゃんが大きくなっても怒鳴ることはない気がします。
 
じつはわたしの父は波平さん同様、けっこう家にいました。
が、わたしはあまり父に怒られた記憶はないのです。
父はあまりこどもと話さなかったし、
わたしもカツオのようにいたずらっこでもなかったし。
逆に、母にお仕置きで家から外に出されたのを救ってくれた人。
ただ何度か怒鳴られたことがあります。
 
はじめて怒鳴られたとき。
それは忘れもしません。
初めて彼ができた時(!?)でした。
嬉しくて、毎日のように会っていたら叱られました。
「そんなに毎日会うんじゃありません」母
「なんで?」わたし
「とにかく他にすることがあるだろう」父
「生きているだけで精一杯なんで」わたし
「なんだって、バッカモーン!!!」父
「……」わたし(いつもは何も言わないくせにこんな時だけ……)
 
波平さんのように怒るのはいがいと難しい……。
と、父が思ったかどうだか?
不器用な父の「愛」。
怒鳴られて、はじめて父との間に距離を認識した気がしました。
このときには「愛」は感じられませんでした。
「愛」がわかったのは、ずいぶんと後のこと。
 
そしていま。
我が家には成人を過ぎた一人娘がいます。
主人はいまだ娘を怒鳴ったことがありません。
これぞ令和の「愛」のかたち?
娘は父の「愛」を感じたことがあるのでしょうか、
年をとったらきいてみたいものです。
 
結局、お父さんの「愛」は怒鳴ろうが、穏やかでいようが、
こどもが感じたいときに届くもの。
だから「愛」のかたちはどうでもいい。
だったら怒鳴らないでいてくれるほうがいいかな。
だって怒鳴られるのは嫌じゃないですか?
 
令和の子育ての中で、ちょっと目立つ波平さんの「カミナリ」。
それはいつまで落とし続けることができるのか?
令和風の「カミナリ」がそのうち出てきたりして?
いやでも、波平さんのカミナリなかったら、番組のメリハリ足りないか?
などと、あれこれを想像しながら、
わたしはこれからも毎週楽しみに「サザエさん」を見続けようと思います。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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