メディアグランプリ

時間を感じるエノキタケ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:和田清美(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
「エノキタケ」ブームが再来したそうだ。
きのこの仲間「エノキタケ」である。
ダイエットにも効果的な健康食品として、今熱い注目を集めている。
そのまま料理に使っても良いのだが、1,2か月長期保存が可能な方法がある。
エノキタケをみじん切りし、保存袋を平らに均して冷凍保存する「刻み冷凍エノキ」だ。
 
以前に流行った時は「えのき氷」という保存方法だった。
エノキタケをミキサーでペースト状にし、煮だして凍らせる。
味噌汁、煮物、あらゆる料理にポンと入れて手軽に摂取出来ることから、一躍ブームになった。
 
会社の同僚たちと、エノキタケで盛り上がった時、そういえばえのき氷ブームはいつだったっけ? となった。
この前だったよね? 3年位前じゃない? と言いながら検索したところ、なんと2010年! 10年前をこの前って……と茫然となった。
いかに自分の時間感覚があてにならないか、悲しい現実を思い知ったのである。
 
その日、気づいたことがあった。
えのき氷ブームは3年前の勘違いにうなずいた同僚と、3年前じゃないと思うと首を傾げていた同僚と、2タイプに分かれた。
 
私を含め3年前勘違いの3人は、大まかな説明で連携しながら仕事を進める、お互いペースが似ているタイプ。
首を傾げたNさんとOさんは、私から見るとマイペースに仕事をするタイプ、要所毎に確認して慎重に進めていくことが多い感じだ。
 
同日、Nさんと在宅ワークの進め方について、揉めたばかりだった。
現行、業務環境が限られてしまう在宅ワークで、個々の仕事をどこまで進めるか、私とNさんで意見が分かれた。
急ぎでない案件は、次の日まとめてやればいいよ派の私と、その日のうちに出勤者の手を借りて出来るだけ進めたい派のNさん。
 
多くのタスクを抱えているOさんの場合もそうだ。
色々な人の意見を聞きながら業務を進め、情報共有が上手い。
しかし、私から見ると意見の取捨選択に時間が掛かっている印象が強く、もっとコンパクトに出来ないかな、と感じていた。
 
NさんOさんのえのき氷話への反応をみて、ふと合点がいった。
ああそうか、2人と私は時間の感じ方が違うから、仕事の進め方も違ってくるのかもしれない。
どちらが正しい、効率が良い、ということではなく、時間の感じ方は人それぞれだ、と。
 
時間はすべての人に平等にある。
しかし、同じ時間を与えられていても、感じ方によって短かったり長くなったりする。感情によって時間の長さに違いが出てくる。
 
好きなことや集中している時間は短い。待ち時間や退屈な会議の時間は長い。
新しい出来事を多く体験するほどの時間は長く、出来事がルーティン化すると短く感じる。
また、代謝が激しい状態では時間が長く、代謝が下がると時間は短く感じる。
子ども時間は長く、大人になるにつれ時間はあっという間に過ぎていく。
 
大きく時間の捉え方を考えても、これだけのバリエーションがある。
ここに、個々のバックグラウンドや経験、感情の動きが絡み合ってくると、一人として同じ時間の長さを共有することは出来ないのかもしれない。
 
そう考えると、同じ会社・同じ空間で仕事をする同僚たちとですら、体感する時間の長さは共有出来ていないことになる。
「今日は忙しくて時間があっという間だったね」
「ホント時間が足りなかった」と共感しても、忙しい時間と足りない時間を同じ位に感じているかどうかは分からないのだ。
 
業務が上手く進まない時、その原因を考える。
説明不足、習熟度の違い、立場の違い、熱意の違い、性格の違い。
そのどこにもしっくりくる原因が見つからず、上手くいかない場合、最終的に「考え方の違い」と結論付けてしまうことがある。
じゃあしょうがないよね、で終わってしまい解決にならない。
 
「考え方の違い」ではなく「時間の感じ方の違い」と捉えるとどうだろう?
「考え方の違い」というと、解決を諦めてしまうような、閉じた印象になる。
しかし、「時間の感じ方の違い」という「時間」にフォーカスすることで、それぞれの時間の使い方をどう構築していくか、そう考えを進めることが出来ないだろうか?
 
時間の感じ方が違うのだと気づくことが出来れば、上手くいかなくて当たり前と理解することが出来る。お互いの時間を奪い合っていたような感覚から抜け出すことが出来る。
そこから一歩踏み出して、それではお互いの時間をどう使おうか? と相談しようという気持ちになる。
 
Nさんと話し合っている時、それまではお互いのやり方にお互いイライラしていることを感じていた。
しかし、偶然だが時系列にポイントを置いて話してみたら、落としどころを見つけることが出来たのだ。
 
自分とペースが合わない同僚と、円滑に仕事を進めていくためには。
同僚が、時間をどう感じてどう使っているのか、観察する。
その中で、共有出来る部分は彼女たちの時間に合わせる。
無理な場合は、共有可能な時間とポイントだけを伝える。
それ以外は、締め切り日時を明確にして、それぞれのやり方で進める。
 
エノキタケのおかげで、業務時のコミュニケーション方法を見つけることが出来た。
 
時間の感じ方が似ているのか、大きく異なっているのか。
確認したかったら、何気ない雑談の中で、質問を投げかけてみる。
 
「上野動物園で、シャンシャンが産まれたのは何年前?」
「ドラえもんの声優たちが一新したのは、何年前?」
 
その答えは、あなたが思いもよらなかった、同僚の新たな一面を見つけることになるかもしれない。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ

 


 

■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
 


 

■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)

 


 

■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00

 


 

■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00

 


 

■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168

 


 

■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325

 


 

■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事