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オススメのススメ


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オススメのススメ
 
記事:角 佳菜子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「このアニメが面白いんだよ、超オススメ」
ある時友達からこう言われてどんなものかと携帯であらすじを調べてみると、全く興味のないジャンルだったので、
やばい、オススメされてしまった、と思った。
 
何がやばいのか。
 
私には「人にオススメされたものは必ず試す」というポリシーがある。
それが例え、全く興味のないジャンルだったとしても、オススメされて実行できるものは、必ず試すことにしているのだ。
だから興味がなくとも試さなくてはならないので、ああ、やばい、と思ってしまった。
 
なぜそんな面倒臭いポリシーを掲げてしまったのか。
 
きっかけは新卒で入った会社の先輩に、「好きな映画」を聞かれたことだった。
その会社の自己紹介で「休日は映画を見て過ごす」と話したとき、隣の席の先輩から話しかけられた。
「一番好きな映画何?俺はコーエン兄弟のノーカントリーって映画がめっちゃ好きやねん」
 
その先輩は見るからに明るくて、いつも周りを笑いに誘うムードメーカーだった。
朝から夜まで外勤営業でお客さんと話した後、クラブに行って踊りまくって終電で帰る、そんな生活が良く似合っていた。
 
そんな話をした週末、特に予定が無かったのでいつものように近くのレンタルビデオ屋へ行って映画を選んでいると、
ふと先輩の言葉を思い出して「ああ、オススメされた映画を見てみよう」と思いついた。
 
映画のパッケージには強面の男が3人、背景は黒、タイトルはノーカントリー。
今思うと、最初から怪しかったのだ。
これがあの陽気で明るい先輩がオススメする映画?
とはいえアカデミー賞受賞作品とラベルに書いてあったので、有名な映画であることは間違いないようだった。
そうしてあまりその映画について調べないまま手に取り、早速家で見てみることにした。
 
重い、重過ぎる。
 
見終わった後の感想はこれだ。
映画のストーリーをご存じない方はぜひ調べてほしいのだが、ハッピーエンドとは程遠い内容だった。
じゃあバッドエンドなのかというと、そう簡単に言える訳でもない。
評論家でもなければコアな映画ファンという訳でもない私に、この映画を論じる力はない。
が、幸せな姿がどこにも映し出されないこの映画を見た後には、重くどんよりとした空気が家中に広がっていた。
 
これがあの陽気で明るい先輩がオススメする映画?
 
信じられなかった。
そして同時に、私は陽気であると思い込んでいた先輩のことを、何も知らなかったことに気がついた。
顔、服装、話し方、使う言葉、
確かに陽気な部分があるのは間違いないだろう。
ただそれだけではない部分があることに、気がついた。
 
週明けすぐその先輩に感想を述べた。
救いのない、重く、暗い映画であり、私にはよく分からなかったし、それをオススメするのが意外だった、と。
 
するとその先輩は、とても喜んでいた。
オススメした映画を見て、感想を伝えてくれてありがとう、と言われた。
 
聞くとその先輩は昔ひどく太っていて、イジメにあっていたこともあり、陽気とは程遠い性格だったそうだ。
そして部屋で過ごすことが多くなったことから、相当な映画好きになったという。
その後壮絶なダイエットから、モテて見返すためにクラブ通いするようになり、陽気さも手に入れたというが、そんな背景があったなんて、このオススメされた映画をたまたま観るまで知ることもなかっただろう。
いやむしろ「住む世界の違う、陽気で軽い人だな」と敬遠してしまっていたかもしれない。
 
この時初めて、オススメされた映画を見て良かった、と思った。
その人の好きなものを知ることで、その人のことをたくさん知ることが出来た。
そしてその人が好きなものに対して私がどう思ったか伝えることで、その人に私を知ってもらうことも出来る、とも思った。
 
そこから私は誰かにオススメされたものは、映画に限らず何でも試してみるようになった。
映画、本、ゲーム、食べ物、観光地……
そうしてみると、相手のことを知れるのが面白いことはもちろん、
自分の世界が広がっていくのを感じた。
 
自分の世界では手に取らなかった、知らなかったものに出会うのは、楽しい。
それが例え試した結果つまらなくても、楽しいのだ。
自分のつまらないと思うものが分かったり、また新しく好きになるものが増えたり、
何よりもその感想を伝えた相手が、とても喜んでくれる。
そのオススメを通してお互いを知り合えることが、楽しいのだ。
 
こうして私の「人にオススメされたものは必ず試す」というポリシーが生まれた。
 
最近ではあからさまに興味が触れないであろうものをオススメされると、
少し躊躇するぐらいには自分の好きなものが確立されてくる年齢になってしまったが、
それでも私は試すことを止めないことにしている。
 
いくつになっても自分の興味は変わるし、相手の興味も変わるのだ。
そして躊躇してでも試してみることで、やっぱり発見があるのだ。
 
人は、変わる。
だからずっと、その時その時に相手の好きなもの、オススメされたものを試して知り合い続けることが大事だと思う。
 
だから誰かのオススメを、ぜひ試して欲しい。
きっと世界が広がります。
 
オススメ、おススメです。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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