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新型コロナウイルスがきっかけで長年のコンプレックスが解消された話


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長谷部さちこ(ライティングゼミ・日曜コース)
 
 
最近髪をバッサリと切りました。大した長さを切った訳ではないのですが、見た目が大きく変わって鏡を見るたびになんだか見慣れない自分がそこには居て、一緒にいる人につい「ねぇ、変じゃないかな?」と聞いてしまいます。「髪を切る」ということ自体は特に珍しいことではないイベントですが、今回のヘアカットは私の中でとても大きな気づきと勇気になったので忘れないように記しておこうと思います。
 
私の髪はいわゆる天パのクセ毛です。しかし、私の天パは「クセ毛」なんて可愛い表現で収まるものではなく、アフロと言っても過言ではないくらい威勢の良いクセ毛です。櫛で髪の毛を梳かそうと思っても櫛が通らない、シャンプーをしようとシャワーを浴びても地肌が濡れない、ゴムで髪の毛をまとめようと思ってもゴムに髪の毛が絡まってしまってうまくいかない、頭全体が鉄腕アトムのお茶の水博士のような髪をしています。
 
小さい頃は人と違うことがいじめの対象となってしまうことがよくありますが、私の髪も例外ではなく、幼い子どもの目には異質に映ったのでしょう。髪の毛が原因でいじめられる毎日でした。いじめられても気丈に振る舞っていた私を見て母は何とか髪のボリュームを隠そうと毎日きつく三つ編みを編んでくれました。きつく髪を結うのが痛くて、毎日学校に行きたくない、なんで私ばかりこんな髪の毛なんだろう、私は一生こんな髪の毛で生きていかなければいけないのかと毎日途方に暮れ、未来を悲観していました。
 
転機が訪れたのは中学校の頃、近くに新しい美容室が出来たことでした。その美容室では縮毛矯正のメニューがあり、私は夢にまで見た真っ直ぐなサラサラの髪になることが出来たのです。それから20年、髪が伸びてきてクセが目立つようになると縮毛矯正をかけることを繰り返しました。憧れのサラサラストレートヘアになれる手段を手に入れたのは良かったのですが、縮毛矯正をするためにはお金も時間もかかります。一体私はいつまでこの縮毛矯正を繰り返すんだろう、結局は昔の記憶から抜け出せていない、自分と向き合えていない。そう思っていた矢先、新型コロナウイルスの騒ぎが起こったのです。
 
新型コロナウイルスの流行に伴い不要不急の外出を控えるように言われた今年の春先、私がお世話になっている美容室も休業状態が続いていました。縮毛矯正が出来ず、髪がだんだんと伸びてきてクセ毛の部分が目立つようになってきました。
 
「縮毛矯正のループから抜け出したい、いつかはクセを活かした髪型にしてみたい」そんな思いを持っていたので外出自粛はいい機会かも知れないと思い、そのまま髪を伸ばすことにしたのです。そんな時友人が「どうせこれから半年くらい人と会う機会が少なくなるし、会っても画面越しが多くなる。だったらこれを機にストレートの部分を全部切ってクセ毛と向き合ってみたら?」と提案してきたのです。
 
「いつかは縮毛矯正を辞めたい、クセ毛と向き合いたい」と思っていたので良い機会かも知れないと、いつも担当している美容師さんに相談すると「さすがに今、ストレートの部分を全て切ってしまうと、いくら外に出ないとは言え大変なことになる」ということでアドバイスをもらいながら髪を伸ばし、縮毛矯正スパイラルの脱出を目指しました。クセ毛のまま髪を伸ばし、様子を見ながらストレートの部分を切り落としていくことを3回繰り返し、ようやく私の髪は約20年振りにバージンヘアに戻ったのです。
 
生まれ変わった(生まれ戻った?)私の髪を見て、ようやくいじめられていた過去も毎日を憂いていた自分も受け入れることが出来たような気がしました。昔は「一生こんな髪の毛と付き合って生きていかなければならないのか。そんなことなら年齢なんて重ねたくない」とひねくれていましたが、いわゆるお洒落パーマ風になった自分の髪を見ながら「歳を取るのも悪くはないな」としみじみ思えたのです。
 
幼い頃は人と足並みを揃えることに必死で、そこからはみ出た私は「規格外」だと自分で自分自身を殻に閉じ込めてしまっていました。しかし、大人になり様々な髪型に挑戦する金銭的余裕が出来たこと、自由な髪型が許される環境に身を置いたことで本来の自分を取り戻すことが出来たのです。
 
私はこの新型コロナウイルスがきっかけとなって長年のコンプレックスが解消されたのですが、自分自身の可能性を取り戻すきっかけというのは実は私たちの身近なところに転がっているのではないか、と考えるようになりました。
 
選択肢というのは増やすものではなく、実は知らないうちにそこにあるもの、いつの間にか増えているものだと。その増えた選択肢にどれだけ私たちが気付くことが出来るか、理想の自分を追い求める私と選択肢の隠れんぼのような気がしたのです。
 
これからもきっと私は人生の中でいろいろ迷い、悩むことがあるでしょう。その時になってみないと分からないこともあるでしょう。でも焦らず周囲を見渡すときっとそこにはこれまでには気付かなかった選択肢があるはずです。
 
大丈夫、もうきっと未来を悲観したりしない。そんな風に少しだけ力強くなった今回のヘアカットでした。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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