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初めて仕事が楽しいと思った瞬間


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ダンノハラ ケイイチ(ライティングゼミ・日曜コース)
 
 
「大学職員の仕事ってホワイトそうだよねぇ……」
 
私が今、何の仕事をしているか話した時、ほとんどの人が発する台詞である。
 
確かに間違ってはいない。好きな時に有給は取れるし、忙しくなければ基本的に定時には帰れる。給料もそこそこ良い。
 
私も就活生の時はそんなイメージを持っていたし、OB訪問で確証も得ていた。だから、私はいくつかの企業から内定をもらっていたが、大学から内定をもらった事で企業の内定を蹴り、大学の事務職員として就職した。また、仕事よりそれ以外の時間を重要視していたから、今の仕事をやっていてワクワクする事や熱心に取り組む事はなかった。
 
就職してからは学生支援の部署に配属となった。
2年目までは担当している業務もほぼルーティンワークで前任者が作成したマニュアル通りに進める事がほとんどだったし、困った事があれば上司や先輩を巻き込んで、助けてもらいながら仕事を進める事が出来たので「社会人、余裕じゃん」と思っていた。
 
だが、3年目になった矢先、困った事が起きた。
 
「新型コロナウイルスの大流行」である。
 
予定されていたイベントやガイダンスは全て中止。授業も一部を除いてオンラインのみとなり、キャンパスは閑古鳥が鳴いていた。
 
閑古鳥が鳴いているキャンパスとは対照的に、私が所属している部署は門前市の如く大忙しとなった。世間は緊急事態宣言が出てからリモートワークが進み、出社しない風潮が強まったのに、毎日出勤し、残業時間も大幅に多くなった。
 
それまで殆どルーティンワークしかしていなかった自分はてんてこ舞いである。助けてくれる先輩も上司も自分の仕事で一杯一杯で助けてくれる余裕もなかった。
 
助けてくれる人がいなくなってしまい、1人で仕事を進める毎日。進捗も遅い上に、新しく対応しないといけない案件が沢山ある。
楽な仕事しかしていなかった私はもうすでにキャパオーバーの状態で、学生からの問い合わせも他部署に回したり、「自分で調べて」と言う内容の対応もしてしまった。
 
今思うと、まだまだ学生気分が抜けずに適当に仕事をしてしまったんだと思う。そして、この忙しさになす術ない自分にも嫌気が差した。
 
ある日、上司に呼び出され、こう言われた。
 
「お前がやっている仕事、学生にとって1%でも役に立っているのか?」
 
「学生の成長を1%でも考えているのか?」
 
「お前の仕事、AIでも出来るよ。そんなんなら、おれら事務職員はいなくて良くなってしまうよ」
 
初めて面と向かって怒られている。頭が真っ白になった。温厚な上司だったから、面と向かって強い口調で怒られるのは初めてだったからだ。
 
自分の中で目を背けていた、痛いところを突かれた。何も反論が出来なかった。忙しさにかまけて適当に仕事をこなしてきた事を見抜かれていたんだ。
 
だが、その上司は最後にこんな事を言ってくれた。
 
「この先どうなるか先が見えない状態で仕事をしているんだから、わからない事があって当然。おれも余裕は無いけど助けるから、学生の為になっているか? それを大前提に仕事をしてみろ」
 
初めて、このコロナ禍で自分がどう仕事を進めれば良いのか指針が見えてきたと感じた。それと同時にホッとした自分もいた。
 
この一件以降、最初に「この対応や仕事は学生のためになっているのか、学生の成長につながっているのか」を考えるようになった。多少時間はかかってしまうが、適当に仕事をこなす事はなくなった。
 
今は、オンラインで部屋に閉じこもりがちになってしまっている学生の学生生活サポートの仕事を任され、オンラインや対面でできる様々な企画立案の仕事を行っている。まだ実現はできていないが、実現すれば精神的に参ってしまっている学生のサポートを出来るはずだ。こもりっきりになっている学生の成長にも繋げられるのではないかとも感じている。
 
「何かの為に仕事をする」と言うポイントについて、高校の修学旅行で北海道の農場を見学した際に案内をしてくれた農家の方がこんな事を言っていたのを思い出した。
 
「野菜は、私達が何にもしなければすぐにダメになってしまう。野菜の成長の為に何をすれば良いのかを考え、仕事をしているんだよ」
 
「虫が沢山葉を食ってしまうのなら、農薬を撒くし、土がダメなら肥料を撒く。そうすれば、野菜は応えてくれて立派に育つ。それが面白いんだよね」
 
その時は「ふーん」と何も思わず聞いていたが、この時の記憶が今、つながったと思った。
 
「学生だって同じじゃないか?」そう感じた。
 
コロナで学校に来れなくなってしまっているのなら、少しでも学生生活が楽しくなるようなサポートを行うべきだ。ずっと部屋の中にこもりっきりで精神が参ってしまっているのなら、学生同士で交流が出来る企画を実施するべきだ。
 
そうすれば、学生も応えてくれてこのコロナ禍を強くたくましく過ごしてくれるはずだ。
 
そして、自分の仕事に関わった学生が、この状況が収まって大学に来れるようになった時に
 
「オンラインでは企画を実施出来たから、今度は対面で様々な企画を実施して、まだ立ち直れていない学生をサポートをしたい。」
 
そんな事を申し出てくれたら最高じゃないか。
 
今はひたすら学生のために何が出来るかを考え、自分の仕事で学生をサポートする。そうすれば学生は手をかけて育てた野菜のように強くたくましく成長し、社会に出た時、きっと活躍してくれるだろう。
 
3年目にして初めて、この仕事にワクワクした。この気持ちを忘れずに仕事に取り組んで行こう。
 
10年、20年経って自分が上司になったら必ず部下にこの時の経験を伝えよう。そう思った。
 
≪終わり≫
 
 
 
 
***
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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