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入院は極上リゾート?!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いじち ようこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「ザッバーン……ザザザザー…… 」
波の音を聞きながら、うつ伏せになって寝そべる。
時間を気にせず自由に昼寝……ずっとこんなリゾートしたかった!
 
突然ですが、あなたはこの夏、旅をしましたか?
 
こんなご時世ではありますが、私は7泊8日の滞在型リゾートを体験してきました。
 
そこには日常の疲れを癒やすのにぴったりな環境が揃っていました。
白で統一されたシンプルな室内に、料理はヘルシーな3食つき。
仕事も家事もSNSまでも遮断して、自然界のリズムと共に寝起きする生活。
波の音をBGMに昼寝したり、人恋しくなると他の宿泊客と気軽なおしゃべり。
……こんなリゾート、ちょっと憧れませんか?
でも残念。そこは、選ばれし者しか泊まることができない場所なのです。
 
……そう、そのリゾートの名は
「病院」
 
8月初めのことです。
「あっ!!! こりゃ剥がれてるわ」
 
眼科医の一言で、私の夏休みは絶望の中スタートしたのでした。
 
告げられた病名は右目の「網膜剥離(もうまくはくり)」
眼の奥にある網膜に穴が空き、そこにジェル状のモノが入り込んで剥がれてしまう、という病気です。自覚症状はあまりなく、飛蚊症がひどくなったことぐらい。
けれども放っておくと光を失ってしまうこともあるので(!)手術は必須とのこと。
そして網膜がくっつくまで、1週間ほど「うつ伏せ」姿勢で入院をしなくてはならない、という説明を受けました。
もちろんショック。
けれども呆然としながらも最初に浮かんだのは、手術の恐怖よりも
まずは「初入院、さて何を持って行ったら良い?」ということでした。
 
ちょうど週末だったこともあり、入院・手術は3日後に決まり……
まず実家へ連絡すると「買い物行けないでしょ、一式送るわ!」と、
パジャマなどの基本アイテムが翌朝届きました。何歳になっても有難い親の愛、です。
 
これでひと安心。それで安静にしていたら良いのですが、まだ時間はある。
そこで入院経験のある友や、デジタルに詳しい友にLINEし、「あると良いモノ」の情報を集めました。
 
それはまるで、旅行の準備のよう。
初めての国へ行くときに、そこへ渡航経験のある人に聞くのと同じです。
準備をしているうちに妙なスイッチが入り、気がつくと、できた荷物は海外旅行用のスーツケースに、大きなトートバッグ2つ。
前代未聞レベルの多さだと、担当看護師さんに言われてしまいました。
 
さて5人部屋の病室へ着くと、その2時間後に手術です。
普通は心身を鎮める時間なのかもしれませんが、ボンヤリしていられません。
なんせ、次にベッドに戻ってくると「うつ伏せ生活」が始まるのですから……
快適に乗り切る準備を動けるうちにしておきたい!
 
早速、うつ伏せ状態の動線を想像して、持ってきたアイテムを配置していきます。
 
同室の入院仲間にも驚かれたのですが、小さなBOXやトレー、S字フック、延長コードなども用意していきました。
限られたスペースを最大限に心地よく。
インテリアコーディネーターの血が騒がない訳はありません。
 
まずベッドの手の届くところへ、iPhoneの充電器をセッティングします。
目を使えない分、今回は耳で楽しむツールに変身! もちろんイヤホンも忘れずに。
 
もう一つ、枕元には美顔ローラーを。肩や腰のマッサージ用に持参したものです。
 
そしてお気に入りのクッションに、フカフカタオルを巻き、そこに普段使っているラベンダーのアロマオイルを2、3滴落としておくと、もうそこは自宅のよう。
慣れた肌ざわりと香りは、安心感に欠かせないもの。
今回は特にこだわり、アロマは気分に合わせて、レモンやゼラニウム、と違うオイルも
準備しておきます。
 
さらに手の届くところにストロー付きドリンクや、のど飴なんかも忘れずに。
 
……こうして、五感のうち視覚以外の四感「味覚・嗅覚・聴覚・触覚」をフルに使って楽しめる「マイ・リゾートスペース」が完成したのでした。
もはやちょっとしたホテルの客室です。
 
こうして手術へ向かうギリギリまで準備していたので、恐怖と向き合う暇がなかったのは、幸いなことでした。
 
……さて、無事に手術は終わり、この「マイスペース」へ戻ってきました。
目をガッと開かれて受ける手術は中々の恐怖体験ではありましたが、ここでの説明は控えます……
気を取り直して。ここからが入院リゾートのスタートです。
 
この生活で決められていることは、食事と目薬の時間。そしてうつ伏せ姿勢。
あとは自由!
 
眼帯をしている手術跡は、想像より痛くなく、むしろうつぶせ姿勢の方が苦しい。
そこで夜は座ってオーディオブックを聴くことにしました。
あえて長いものを、とAmazonでダウンロードしていたのが、西加奈子さん著
「サラバ!」上・中・下巻。
これ、朗読の松坂桃李さんの低音ボイスが素晴らしくて、物語に入りやすく大当たり! 訪れたことのないエジプトの風景も目に浮かんでくるし、耳元でイケメンが本を読んでくれるリゾートなんて出来過ぎです。
 
寝不足なので、昼は音楽アプリSpotifyで波の音を聞きながら、お昼寝。
音の立体感のおかげで、本当に砂浜で寝ているよう。海の色まで目に浮かびます。
寝転んだまま、美顔ローラーで肩をマッサージするとさらに気持ちがよい。
持ってきたわたし、グッジョブ! と自分を褒めるのも、心の健康に良い気がしました。
 
そしてリゾートといえば食事ですが、これも美味しくカロリー計算も完璧。
同室の人たちとの食事中のおしゃべりも欠かせないお楽しみ。
普段ならできないような、ぶっちゃけトークが飛び出すのも非日常ならでは、です。
 
こんな風に長いと思っていた7泊8日はあっという間に過ぎていき、
最後には、リアルな旅が終わるような寂しさを感じるほどになっていたのでした。
 
今回は有能な先生方や看護師さん、そして入院仲間に恵まれて、無事回復することができたから、このように気楽なことを言っていられるのかもしれません。
もっともっとシビアな入院生活もあると思います。
 
けれども、いつかご自身や、大切な人が入院するかもしれない日のために、
少しだけ心に留めておいて欲しいのです。
「入院は工夫によっては極上リゾートになる!」 ことを。
 
病気は決して嬉しいものではありません。が、
制限のある中で工夫することは、とてもクリエイティブで、「どうしてこんな病気になってしまったんだろう」という気持ちを少し、楽にしてくれることがわかりました。
という訳で、この「入院リゾート化計画」、少々荷物は多くなりますが、全力でオススメさせていただきます。
 
「完治したら、次は本物のリゾートを満喫するぞ!」
今の目標はこれ。
 
……次こそ、本物の波と戯れたいものです。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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