イメージによって作られる私、作ってしまう私。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:堀 紗章子(ライティング・ゼミ日曜コース)
暗示にかけられた事はあるだろうか。
イエベ? ブルベ?
イエベのオータム? ブルベのウィンター?
肌の色で人を判断しない世の中を目指していても、自分の肌の色はイエローベースかブルーベースかなんてところまで気にしてしまう。
友人とお互いの服装や化粧の話になった。
3人それぞれの好みがあるのはもちろんだが、似合うもの似合わないものもそれぞれだった。
流れから、最近流行りのパーソナルカラー診断の話になった。
黄色系の肌がイエローベース、色白な肌を主にブルーベースと分けられるらしい。
その中でも顔立ちや、より似合う色によって四季に分類され、イエローベースは春と秋、ブルーベースは夏と冬が割り当てられる。
例えば私は黄色味がかった肌で、顔立ちがはっきりしている。細かく見ていくとどうやらイエローベースのオータムだった。オレンジやブラウンのメイクや服が似合うとのことだ。
逆にバイオレットやグレーはくすんでしまうとのこと。
対して友達はイエローベースのスプリングだったり、ブルーベースのウィンターのようにそれぞれ違っており、私に似合わないとされる色が似合っていたり、その逆も然りだった。
確かに、自然と自分に似合う色を選んでしまっていると思うが、なんだかこうしてはっきりと、「あなたはブラウン系のメイクをする方が顔になじみますよ」などと言われると、今度からブラウン系のアイシャドウばかり選んでしまったり、服装だってグレーのパーカーなど気軽に手に取りづらくなってしまう。
似合う系統がわかる事は良い事でもあるが、「これを選ばなければいけない」といった暗示にかけられる可能性もある。
そんな事を考えながら、昔の自分について思い出した。
私はまんまとこの暗示にかかっていたのだ。
中高6年間通っていた学校は女子校だった。
同性しかいない環境だと、キャラクター性が重要視されたり、歯に衣着せぬ物言いが当たり前になる。そしてまるで宝塚の娘役男役のように、女子のコミュニティ内で男子のような立ち位置になる子が何人か現れる。
私は正にその立場で、元々ショートカットの髪型だった事や体育会系の部活に所属していた事も要因となり、自分自身も流れに身を任せてそんなキャラクターで学校生活を送っていた。
友達からは「かっこいい」と褒められる事もあれば「男じゃん!」と冗談をとばされる事も多々あった。
自分自身も、「可愛い」よりも「かっこいい」が嬉しかったし、女子らしく振舞う事をなんだか気恥ずかしく感じていた。
中学生のうちはそんな冗談や「男子キャラ」でいることが楽しかったし、それが当たり前の風景だった。
しかし高校生になると周りも少しずつ大人びてきて、学校以外で友達に会うとメイクをしているのが普通だったり、お洒落にも気を使うようになっていた。
私もメイクをしたっておかしくはないはずだったが、私はこの時既に暗示にかけられてしまっていた。
自分は「男子キャラ」で、可愛いものなんて似合わない、周りに笑われる。
そんな思考回路が完成されてしまっていたのだ。
元々長かった髪を切って入学したはずが、6年間私の髪は風に靡く事を知らないままコンパクトに収まっていた。
また髪を伸ばそうかと思った事もあったが、私が髪を伸ばしたらからかわれるんじゃないかと思ってやめたのを覚えている。
体育の授業前、日焼け止めを塗っているだけで「そういうの気にするんだ」と言われた事もあった。キャラクターのままで言えば、確かに日焼けなんて気にしない少年のようなイメージだったのかもしれない。流石に日焼け止めは塗り続けたが。
しかし、周りの環境や自分の意思の弱さで解くことができなかった暗示。
それを完全に解くにはとても時間がかかってしまったけれど、今になって思い返せばなんて事のない単純なイメージの問題で、似合う似合わないは他人が決める事ではないんだと心から思う。
好きな色嫌いな色、好きな服嫌いな服があったとしても、好きになってはいけない色や着てはいけない服はないはずだ。
パーソナルカラー診断でイエローベースのオータムだと言われても、ブルーベースの人が似合うような服を着こなせるかもしれないし、それにそもそも私は青が好きだ。
パーソナルカラーに従って言えば似合わない色になったとしても、自分の好きな色を選ぶべきだと思う。
そして、昔の私のように環境が影響して出来上がった自分のイメージだったり、自分の思い込みは必ずしも正しくはないと、今ならはっきりとわかる。
自分のキャラクターを持つことは時としてメリットが多くもあるけれど、自分にはこれしか似合わないだとか、自分がこれをするのはおかしいといった考え方は間違っている。
当たり前の事のようだけれど、実は暗示にかけられているせいで選択肢を自分自身で減らしてしまっているかもしれない。
難しい事だけれど、自分の好みに素直でありたいものだと思った。
***
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