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ジャッジメントをはずし、観察で切り取ると

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中村真紀(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あの人が、私を個人攻撃してくるのです」
 
2週間に1度、コーチングをしている、後輩のシニアマネジャーの女性。とても優秀で、彼女に入社してもらえたことは、本当に感謝している。そして、彼女に担当してもらっている部署が、その会社の中で、最も問題の大きい部門であることも間違いない。彼女がついたポジションは、彼女が入社したときは空席だった。その前任者たちも、誰もが1年ももたずに、そのポジションを去った。
 
そんなタフな環境の中で、休みも殆どとらず、長時間労働をしながら、チームをまとめ、顧客へのサービスを向上すべく、頑張っている彼女には、基本的には、感謝しかない。
 
しかし、入社以来、彼女がリラックスして笑っている顔を見たことが殆どないのは、本当に悲しいことだと思う。なぜか、いつも肩に力が入っている。コーチングをするたびに、誰かとうまくいかない、という話になる。彼女の話を聞いていると、世の中では、彼女だけが正しくて、会社の中の他部門の人全員が、束になって、彼女をいじめているか、のような印象を受ける。
 
それを象徴するように、彼女の部門のメンバーは、彼女を「ジャンヌダルク」と呼んでいる。「彼女の部門のために、身体を張って戦ってくれている。全幅の信頼もおいていて、感謝もしている。しかし、まわりは敵だらけ。いつ、火あぶりになってしまうのか、心配でたまらない」彼女の部下のある女性は、私との面談でそう言った。
 
それは、数年前までの自分の姿が、重なる。私も、まわりに、いつも「天敵」がいた。そして、「私」が正しくて、「天敵」が間違っていると、無邪気に、心から思い込み、その「天敵」がいかに間違っているか、いかに、私にひどい言葉をかけてくるか、ひどい態度をとってくるか、それをいつも、親しい、心許せる仲間に、吐き出していた。
 
今なら、わかる。それは、私の、「ジャッジメント」であって、客観的な事実でもなければ、相手からみた事実でもない、ということを。そして、その「ジャッジメント」に気づき、それを取り除いてみる努力をしたとき、人生がもっと、もっと生きやすいものに変わっていくという素晴らしさを。
 
私が、今、学んでいるNVC(Nonviolent Communication/非暴力コミュニケーション)では、まず、自分の感情を動かした外部からの刺激を「観察」で切り取る、ということから始める。観察とは、間違いなく、誰からみても、同じように見えるように、事象を描写するということである。それが、すべての出発点であり、それができるだけでも、相手に対する見方が大きく変わるといわれている。
 
冒頭の、「あの人が、私を個人攻撃してくるのです」を例にとろう。これは、観察ではなく
、彼女のジャッジメントが入った描写である。彼女が個人攻撃といった場面をビデオに撮って、100人の人に見せたら、それを「個人攻撃」と描写する人はほぼいないであろう。
あるいは、彼女の相手方も、自分の態度や、発言を、よもや「個人攻撃」とは思わないはずである。
 
そんな状況で、自分のジャッジメントで、それが「個人攻撃である」と決めつけて、会話をしたとしても、相手には届かない。きっと、まわりにも届かない。それどころか、「避難がましい人だ」「被害者意識の強い人だ」「感情的になっている」などと、相手ばかりでなく、まわりの人にも思われてしまうリスクはないだろうか?
 
これが、私も経験のある、そして、敢えてステレオタイプな言い方をすれば、多くの真面目な女性管理職が陥りやすい罠だと、私は思うのである。
 
では、同じ場面を、NVC流観察で切り取ると、どうなるか。これは、彼女から聞いた、他の説明をふまえ、私が再構成しなおした内容になるが、たとえば、「あの人が、私にとっては大きいと思う声で、『この件はOさんの部門の責任だ』というのを聞いたとき」となる。
実際の発言(一字一句違えない)は、その場にいた、誰もが耳にした事実、となる。また、大きな声というの、基準は、人によって違うので、それだけでは観察にならないが、自分にとって、という言葉を付け加えることで、自分のジャッジメントが入っていることを理解していることを示し、かつ、「自分にとっては大きな声だった」ということは、誰も否定できないので、誰もが納得する切り取り方として示すことができる。
 
観察の世界は深いので、様々な場面、自分が描写している表現を、観察に変えてみるだけで、世界観が変わるといってもよいくらいである。みなさんは、「あの人が私を個人攻撃してきたのです。」と「あの人が、私にとっては大きいと思う声で、『この件はOさんの部門の責任だ』というのを聞いたとき」という2つを並べてみて、どう思うだろうか?
 
どちらが、その後、お互いに解決策を見出すために、建設的な話し合いにつながると思うだろうか?
この後、それが起きたときの、自分の感情や、大切にしているもの(ニーズ)を特定する。相手の感情や、大切にしているもの(ニーズ)を特定する、というステップを経て、相手にリクエストをする、という段階にいたる。
 
ひとつひとつが、とても深いので、本日、すべては書ききれないが、NVCのもつ可能性が少しでも伝われば、幸いである。
 
「あの人が私を個人攻撃してくるのです」と言った時点で、彼女のあたまの中は「自分が正しい」:というジャッジメントでこりかたまってしまい、相手の立場を想像する余裕がなくなっている。その状態を、誰もが同じ理解にできる「観察」に言い換えるという努力をするだけで、きっと世界が開けてくると思う。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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