メディアグランプリ

日頃の悩みを吹っ飛ばそう!心が無になるパワースポット体験記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松本さおり(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「そこはまだ行ったことがないの。いつか行きたいと思っているのよね」
神社巡りが大好きなヨシさんの言葉に「じゃあ行ってみましょうか」と言ってしまった。
 
言ってしまってからだんだん不安になる。やはり行くなんて言わなければよかった。
 
その不安を払拭すべく、ネットでいろいろ検索をする。
しかし、調べれば調べるほど、なかなか大変な場所らしいという情報が入ってきてしまった。
普段、運動不足であることは自覚している。私は体力が持つだろうか。
 
体力に自信はないが、行くと言ってしまったからには行くしかない。旅の道連れを確保しようと知り合いに声をかけてみた。喜んで「行く!」と言う人と「無理」と言う人と
まっぷたつに分かれる。やはりお気軽に行けるところではないらしい。
 
それでも数人、旅をご一緒する仲間を見つけ出した。
 
いっそ、雨が降ってくれたら「残念ながら雨のため中止です~」と言えたのだが
その日の天気予報は午後から雨がポツポツ降るかもしれない、という微妙な曇りだった。
 
雨天中止にするほどでもない。午前中に行ってしまえば何とかなる。行こう!
そう決め、朝6時半の電車に乗り込んだ。
 
向かうところは秩父だ。
 
途中で旅の仲間と合流し、そこから車で向かう。
車の中では、楽しくおしゃべりをしているので、これから始まる修行も、大したことでもないように錯覚する。
 
最初、車を出してくれた友人は「車の運転をするし、足が使い物にならなくなったら困るから私は駐車場で待ってる」と言っていたが、着く頃には一緒に挑戦することになっていた。
 
山道を車でくねくね登っていき、神社の駐車場に到着したのが午前10時。
そこでそれぞれ持参したおにぎりなどの朝食を済ませ、駐車場の脇にあるトイレに行く。
ここから先は、トイレはないのでここで用を足しておくことは必須だ。
道の途中に自動販売機もないので、飲み物を持参しておくとよい。
 
お天気は曇り時々雨の予報だったが、雲の隙間から少し晴れ間も見え、明るくなってきた。
暑くもなく寒くもなく、絶好の登山日和だ。
 
その神社の本殿は、私も行ったことがあるし、多くの方が訪れる場所なのだが、その神社の奥宮に行くのは、山道をかなりハードに登っていくので、なかなかハードルが高い。
足腰に自信のある方でないと行こうと思えない場所ではある。
今回は、普段、全く運動をしていない50代女性4人で登ろうという挑戦だ。
 
しかも方向音痴と来た。道に迷ったらどうしようと思っていたら、お一人様登山の女性の方が現れて、道案内をしてくれた。
 
60代の女性は山登りが趣味のようだ。親の介護の話、自分の身体の話、身体動かさないと歩けなくなっちゃうわよ~、などの話をしながら山道を歩いていたら、二手に分かれる道が出てきた。
 
「こっちに行くと奥宮に行きますよ。迷うことはないから大丈夫よ」と言って
その女性は反対側の道の方に行くとのことで去っていった。
 
最後までその方についていく気満々だった私たちは、突然不安になってきたが、ここまで来たら行くしかない。
 
さあ、ここからが本番。三峯神社の奥宮に出発だ。
 
入り口には鳥居があって、その横に木の枝が沢山置いてあった。
先ほどの女性が「これは杖よ。山道はきついから持っていくと役に立つわよ」と教えてくれた。
山に疎い私たちは「こんなのを持っているほうが邪魔じゃないか」と思っていたが、その思いは数十分後に覆されることになる。
 
最初はなだらかだった山道も、だんだんと傾斜がきつくなってくる。舗装をされている道ではないので、歩きにくい。杖を持ってきて本当によかった。道は、向こうから人が来たらすれ違えないくらいの細さだ。さらに道の左側は崖だ。
 
「押すなよ、押すなよ」は「押してくれ」というサインだとダチョウ俱楽部は言っていたが、これは本当に押してはいけないやつだ。
 
傾斜はさらにきつくなり、足をどこにかけたらいいかと考えながら登っていく。
まるでボルタリングをしているかのようだ。
 
目の前の超えなければならない壁に夢中になって向かっていっていると、頭の中が空っぽになってくる。何も考えずに目の前の岩だけを見る。無の境地とはこういうことか。
 
ただ、前に進むことだけを考えていたら、日常の悩みなど、どうでもいいことのように感じてくる。悩みって、小さなカゴの中の隅っこのホコリみたいなものだ。
そんなことに焦点を合わせて悩んでいるよりも、少しでも前に、一歩でも前に。
隅っこのホコリには目もくれず、前に進もう。そんな気持ちになってくるから不思議だ。
 
そんなことを思いながら一歩一歩進んでいったら、目の前にあり得ない光景が見えてきた。
 
鎖だ。山の壁面に鎖が付いている。ここを登るのか。どうやって?
 
足をかけるところもないので、手の力で上がるしかない。手すりとその鎖を使って、グイっと身体を引き上げた。
 
必死で頂上に辿り着いた。
呼吸は荒く、息は上がっていたが、顔を上げた瞬間、そこには大きな空が広がっていた!
 
「やった~!気持ちいい~!」
 
ここが三峯神社の奥宮か。やっと来ることができた!
 
秋の風がひんやりと汗を乾かしてくれる。頂上まで来た達成感からかそこにいる知らない人たちも仲間な気がしてくる。他の人たちも写真の撮り合いっこなどして交流を楽しんでいた。
 
三峯神社の奥宮は、パワースポットとよく言われているが、無になる感覚、頂上まで登れた達成感を味わえ、自分にパワーがみなぎる感覚になった。
 
確かにパワースポットと呼ばれるゆえんはあると思う。
行き帰りで、約3時間のプチ修行。日頃の悩みを吹っ飛ばしたい方にはお勧めだ。
 
さあ!登ったからには降りないといけない。
 
実は、下山こそが最大の修行だった!!
 
 
 
 
***
 
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2020-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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