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「コロナ禍でひとりの静かな時間が増えて悩みが深まった人は、こういう人」


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:佐野 タケヒロ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
コロナ禍によって、ひとりで物思いにふける時間が増えた。
 
コロナ禍前に、あれをやっておけばよかった。なんで気づけなかったのだろう。
このままでいたとしたら、自分は今後どうなってしまうんだろう。
コロナ禍後も変化がないような人がいる。うらやましい。
それに比べて自分はだめだなあ。もろにダメージを受けてしまった。
 
そんなことを心の中でつぶやいてしまう。
昔にも似たようなことを考えたことがある。
 
しっかり勉強しておくんだった。
このまま合格しなかったら、どうなるんだろう。
彼が受かるなんて世の中間違っている。
本当に自分はバカである。
 
そう、大学受験浪人のころである。
もう忘れてもいいだろう。
しかし今でも同じような状況になると、無意識にこの時を思い出す。
 
その後の社会人のときにあった倒産の方がよっぽど辛かったように感じるのに、
それよりも、この時のことはよく思い出してしまうのだ。
 
「なんで、あんなやつが現役で受かったんだ!」
 
そんな他人の合否についての是非を考えているなんて! 時間の無駄である。
しかし、このときは真面目にそんなことを考えて苦しんでいた。
近しい友人であったために、なおさら苦しんでしまった。
 
その友人は、大学受験直前期の高校3年生の3学期に、
高校に隣接する河原で喫煙をして先生に見つかった。
 
野鳥クラブの担当顧問が双眼鏡を持っていて、
たまたま河原でバードウォッチングをしていたらしい。
 
その双眼鏡に映ったのは、鳥ではなく、煙。
親呼び出しの一発停学。期間は2週間。
 
その情報を聞いたとき私は、彼は終わったと思った。
大学にはきっと合格しないと思った。むしろ受かるべきではないと思った。
自分が合格したら、さんざんバカにしてやろうと思った。
 
しかし、彼は大学に合格した。
近隣のTK大学に現役合格した。
学校でも珍事として噂された。
 
彼の合格のポイントを後になって聞いた。
停学になって、母親が号泣したので、相当反省したらしい。
反省したので、その2週間の停学中にガッツリ勉強したそうだ。
 
またラッキーだったと彼は鼻高々に言うのだが、試験日の朝に見た参考書の問題が、そのまま試験に出たそうだ。これでおれは合格したんだと。
 
私は1浪が決まっていたので、ショックだった。
自分が合格し、さんざんバカにしてやろうと思っていたのに、逆になった。
でも来年はTK大学よりよい大学に合格すれば、バカにできると思った。
 
しかし、翌年。
自分の2浪が決まった。
 
そのとき会った彼は大学生を存分に謳歌していた。
大学生を楽しんでいる。本当にうらやましいと思った。
その分私の悩みが深まった。
 
自分は彼よりもよい大学に行けるのだろうか?
そもそも自分は大学に行けるのか?
もしかしたら、3浪するかもしれない。
一生大学には行けないかもしれない。
 
来年自分が受かっても、自分は1年生。彼は3年生。
なんだ! この差は!
合格したとしても、この差は屈辱だ。
 
一体おれは何をしているんだ!
そんなことを毎晩床で考えていた。
第三者からこのときの自分をみたら、おかしいと思っただろう。
 
しばらくして当たり前のことに気づいた。
自分はこんな感情と長く付き合っていたと。
全部で4つあった。
 
他者比較
自己否定
過去後悔
未来不安
 
よくもこんな長い間、この感情と付き合えたものだ。
もうこんな他人と比較して、変な感情と持つことはやめようと思った。
 
そして、ここにないものが1つあることに気づいた。
それは「今自分がやるべきこと」である。
 
成績を上げるために、「今自分がやるべきこと」を決めてやる。
それがないことに気づいたのだ。
だれかが教えてくれればもっと早く気づけたのにと思ったが、
「また他人を意識している!」と頭を振り払った。
 
そして、私は切り替えて、「今自分がやるべきこと」に集中した。
たまにその友人が大学生活を楽しんでいる姿を妄想してしまうことがあったが、
「今自分がやるべきことは、何だ!」と心の中で叱咤した。
 
そして、なんとか、私は2年間の浪人で大学に合格した。
その友人も喜んでくれた。
かつてその友人をバカにしようとしていた自分が恥ずかしくなった。
また、私が大学1年生で、彼が3年生。そうであっても恥ずかしくなった。
人と比較してももう意味がないとわかっていたからだ。
 
「おまえが煙草で停学をくらったおかげで、俺の今がある。」
 
そんなことを毎年言い続けて、その友人とは30年以上の付き合いになった。
 
だれに言われたわけではないが、「今自分がやるべきこと」。
これは私にとって、人生の教訓である。
 
こんな自分自身で勝手に苦しんだ経験をしているせいか、今回のコロナ禍によって、無意識に次の感情になってしまうことがある。
 
他者比較
自己否定
過去後悔
未来不安
 
あのときと同じだ。他人比較から始まる感情はもうやめよう。
「今自分がやるべきことは、何だ!」と心の中でまた自分を叱咤している。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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