今日の心の色は何色ですか?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:上嶋陽子(ライティング・ゼミ日曜コース)
「思ったことは必ず叶う」
「良い感情でいれば、良いものを引き寄せる」
「ポジティブな言葉を使えば、ポジティブなものを引き寄せられる」
私にとってはどれも、魔法のような言葉たちだった。自分を変えたい。その一心で飛び込んだコミュニティだった。そこで語られる言葉には光が溢れていて、そこに浸っていれば人生は前向きになる、違う自分に出会える、そしてネガティブな自分とはサヨナラできる。
そんなワクワク感があった。
友人に紹介された、起業家を目指すメンバーが集まったコミュニティ。仲間入りした私は、週1で開催されているセミナーに参加するようになった。一言で言うとゴールに向かって頑張るため、自分のモチベーションを保つためのコツを教えてもらう、そんな内容のものだった。白か黒か。そこではいつも、講師からのストレートなメッセージが私たちに放たれた。
「落ち込んでいる暇はない。言葉を変えよう。前だけを見れる人が成長する」
「結局この世界は結果がすべて。0か100か。99点であれば0点と一緒」
その力強い言葉が、落ち込んでいる私たちを常に鼓舞する。言葉はとてもパワフルだ。
正直昔から落ち込みやすかった私は、当初この空気に圧倒されていた。そして仲間に愚痴をもらしていた。
「自分は続けていくことは出来ないかもしれない」
でも仲間たちはすかさず言う。
「大丈夫、最初はみんなそうだから。必ず慣れるよ。だからまずは出来ないという否定形を使うのは辞めよう。前向きに、明るくなろう」
仲間の影響はさらにパワフルだ。
「そうだ、落ち込む自分を変えるためにここにいるんだ。ネガティブな自分はダメだ。
ポジティブな波動でいることを心がけよう」
私は心を入れ替え、その日から少しずつ自分の黒い部分を切り離していくような日々を送った。黒い自分(ネガティブエネルギー)の周りに白い人(ポジティブエネルギー)が溢れて、どんどん白になっていく、まるでオセロゲームのような感覚だった。
明るく前向きな仲間といることを心がける。ネガティブな発言は辞める。落ち込みそうになったら、落ち込む時間が無いくらい予定を入れる。仲間に教えてもらったことを素直に試していった。平凡な生活を繰り返してきた私にとって、白の世界に身を置くようになることはとても楽しかった。毎日がジェットコースターのようで、充実していて、自分がどんどんキラキラした自分になっていく感覚があった。あの頃のネガティブな自分はもういない。私は生まれ変わることが出来たんだ。そんな風にも思っていた。
ただ、キラキラと充実した日々は長くは続かなかった。コミュニティに入って数か月経った頃のこと、私は朝になると強烈な不安感に襲われるようになったのだ。誰かといるときは気持ちが安定するけれど、1人になると急に絶望的な気持ちになる。そんな日が数日続いた。仲間とキラキラしている自分が本当の自分で、落ち込んでいる自分は本当の自分ではない。しばらく前に切り離したはずの自分がまた戻ってきている。そんな心の奥底にあった不安な思いが私を振り回していた。ポジティブなコミュニティの特性上、仲間に愚痴をこぼすことができなかった私は、一人でそれを抱えていた。ネガティブな自分は見せられない。だから必死で仲間の前では笑顔で接していた。ツラかった。怖かった。必死で隠そうとした。でもダメだった。限界が来たのだ。
そんなタイミングで私を救ってくれたのは、月1回の心理カウンセリングだった。少し前に心理学を学び始めていた私は、月1回のカウンセリングを受けていた。それは認定講師になるために必要なもので、元々はそこまで大きな悩みがあった訳ではない。でもこの時の私は、まさに心の大きな悩みにぶつかっていて、藁にもすがるような思いで話を聞いてもらった。心の内を話していくと、私自身の中にあった不満が次々と出てきた。本当はやりたくないこともあった。無理して笑いたくもなかった。辞めたい気持ちもあった。でも同時に自分が停滞してしまう焦り、そして仲間から嫌われてしまうのではないかという恐れもあった。ツラツラ言葉が溢れて、涙が溢れて、全部出し切ると、カウンセラーの方はこう言ってくれた。
「今上嶋さんの中には、本当に色んな気持ちがありますね。落ち込む気持ちや解放されたい気持ち、でも変わりたいという前向きな気持ちや仲間を思う気持ち。その色んな気持ちを抱えた葛藤の中にいることは本当に苦しいことですよね」
その言葉を聞いてまた、涙が止まらなくなった。そうだ、私の中には色んな自分がいる。人の気持ちは白か黒かなんて割り切ることはできないんだ。そう思った途端にすーっと心がラクになった。ずっと切り離してきたネガティブな自分。本当の自分ではないと直視できなかった自分。これも自分の大切な一部なんだと気づけた。それは絵の具の白と黒を少しずつ混ぜ合わせて、ゆっくりグレーの色味を作っていくような、そんな優しい時間だった。そんなセッションを繰り返していったことで、私は徐々に気持ちが安定してきた。そして最終的に、私はそのコミュニティを抜けた。そこに至るまでは色々な葛藤があったけれど、私はその後、改めて自分の将来について考え、カウンセラーとしての道を歩む決断をした。無事に試験にも合格し、今その道を一歩、歩みだそうとしているところである。
カウンセラーとしての私が大切にしたいことは、心のグラデーション。白か黒かなんて割り切れない気持ち。ワクワクした気持ちもあれば、その奥にはドキドキする気持ちも隠れているかもしれない。変わりたい自分もいれば変わりたくない自分もいる。心を色で表現するならば、それは毎日微妙に違って、白か黒かのように簡単に割り切れるものではない。だからこそ丁寧に、その人の心に寄り添って、一緒に迷ったり、一緒に揺れたりしながら。その人だけが作る心の色を見つめていく。そんなカウンセラーで在りたい。そんな願いと決意を込めて、この体験に感謝したいと思う。
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