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人に教えるときに必要な視点とは


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記事:Sakko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
本当は、ペーパードライバー講習について書こうと思っていた。
免許を取ってから20年余り、ほとんど自動車の運転をしてこなかった私は、ここ数カ月で数回のペーパードライバー講習を受けていた。
今日は、その最終日として予約をしていたので、その感想を面白おかしく書いてやろうと心に決めていた。
 
いまから20年ほど前、私が免許を取得した当時の教習所というのは、田舎だったのもあると思うが、まだまだサービス業のサの字もないくらいひどい場所だった。
教官は、偉そうだし、怖いし。
人によっては、挨拶しても無視するし、膝に手を置いてくるようなセクハラまがいの人もいた。
そんな劣悪な環境の中でせっかく取得した免許証なのに、まったくもって使っていなかったし、使う必要も感じていなかった。
生活圏内は、すべて電車で行ける。
 
それが変わったのには、2つの理由がある。
一つは、子どもができたこと。
二つ目は、新型コロナウイルスの流行だ。
遠出するには、車が何かと便利だということになった。
教習所も過去の悪いイメージから、最近はずいぶんと良くなっているとうわさに聞く。
私は、勇気をだしてペーパードライバー講習を受けることにしたのだった。
 
そして、数回の受講を受けて、ペーパードライバー講習はとっても良かったので、「皆さんおすすめですよ!」という文章を今日は書こうと思っていた。
しかし、それが書けなくなった。
いや、おすすめなのには変わりない。
でも、それ以上に考えさせられ、書いてみたい題材ができたためだった。
 
それは、「人に教えること」について。
 
私自身も仕事上で、後輩の指導や社内の研修など、人に教える立場になることがある。
ペーパードライバー講習での「人に教える」立場になるのは教官で、助手席に座って指導をしてくれる。
 
私がお願いしている教習所では毎回教官が変わる。(指名もできるのかもしれないが)
今回も、初めて会う教官だった。
だが今回は、いつもと違い後部座席に、もう1名、その教官の指導内容を確認する指導官のような人が同席していた。
 
教官をA氏、指導官をB氏としよう。
A氏からは最初からビンビンと緊張が伝わってきて、私も必要以上に緊張をしてしまった。
 
本日の講習内容の確認からスタートし、様々な場面における注意事項などを一通り説明してくれた後、実際に路上に出て、車の運転を練習した。
それは、ここ数回対応してもらった別の教官と変わらない。
 
しかし、何かが違う。
私も少しずつ焦ってきて、頭が混乱してきたが、その時はその原因がよくわからなかった。
私自身、運転に余裕がないからなのだろうと思っていた。
 
そんな中、後半になり、A氏とB氏が交代し、私の指導をB氏が行うことになった。
そこで感じたのは、教官にも能力の差が大きくあるということ。
B氏の指導も、正直、私が若いころに受けた教習所での指導よりも十分わかりやすいものだったように思う。
しかし、ベテラン教官B氏の指導は全く別の異次元のものだった。
 
何が違うのか、考えてみると2つのことが思い当たった。
まず1つは、説明する際の言語化がしっかりされていること。
 
例えば、目の前に水の入ったペットボトルがあるとする。
それについて説明するとき、A氏の説明は、こんな感じ。
「ここにペットボトルがあります」
間違いではないが、聞き手はペットボトルのサイズも、中に何が入っているかもわからないから、勝手に想像してしまう。
それをB氏は、このように話す。
「ここに水の入った500mlのペットボトルが1本あります。ラベルは青地に白い文字で、ミネラルウォーターと書かれています。2/5は私が飲んだので、残りは300mlです」
より細かい情報が頭に入ってくる。
必要があれば、さらに細かくラベルの話をすることもあるだろうが、無駄なことは話さない。
 
誰が聞いても同じ理解になるように、明確な言葉を選んで話しているようだった。
私も説明が理解しやすいので、頭が混乱することなく安心して運転に集中できた。
 
もう1つは、相手に合わせて指導方法やアドバイスを柔軟に変更している点だ。
私の目線やハンドルの癖などを瞬時に判断し、何がどのようにダメで、どう変えたら私が運転しやすくなるのかを、丁寧にかつシンプルに教えてくれた。
 
指導する人によってこんなにも違うものだろうかと、改めて考えさせられる出来事だった。
同じ目的地まで成長するのに、伴走してくれるコーチの力量によって、成長速度が変化するのを身をもって感じた。
相手に伝わるように、相手が実践できるように、どのような言葉を使うか、どれだけ相手の反応を見て、臨機応変に指導内容を変更できるか。
 
「人に教える」ことは難しい。
教えられる側の視点を忘れてはいけないのだと感じる出来事だった。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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