メディアグランプリ

マーフィの法則で哲学する


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記事:秋田智子(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
白い新しいセーターを着た日になぜかスパゲティミートソースを注文してしまった。そんな経験をしたことありませんか?
宿題を忘れた日に限って授業で当てられてしまう。会議の資料が人数分ギリギリの時に限ってオプショナルな参加者がやって来る。必要な時に限っていつもそこにあるはさみがない。誰もが、こうした経験があるのではないだろうか。
私の場合、洗濯物を干す時、ブラのホックがプランターの小さな木の枝に引っかけてしまい、なかなか外せないことがよくある。狙ってもなかなかできないのに、なぜ? と首を傾げてしまう経験である。世の中には、こういった理屈では説明できない法則に溢れている。
 
そんな日常やビジネスの場で法則をまとめたのが『マーフィの法則』である。20世紀終盤、日本で流行したので知っている人も少なくはないだろう。「トーストのバターを塗った面が下を向いて落ちる確率はカーペットの値段に比例する」「会議時間は参加者数の二乗で長くなる」「大きな誤りほど気付かれない」など、なるほどな、と思う法則が満載である。
その皮肉ったような数々の法則に、世の中うまく行かないんだよな、とため息が出ることもあるが、ついつい読み進めてしまう、そんな一冊である。本屋ではビジネス本として分類されることが多いが、私にとってこの本は、追求すればするほど真理が溢れる哲学書である。
 
今回は、そんなマーフィの法則の一つ、
 
「探し物は最初に探す場所に必ずあるが、最初に探した時には見つけられない」
 
について哲学してみようと思う。
 
こんなことがあった。
 
会社の斜向かいに座る後輩が、大事な書類をなくしたらしく、一生懸命探している。しばらく様子を見ていたのだが、引き出し、机の上、ロッカー、会議室、トイレなどあちこち見ても探し物が見つからず困っている。そこで、最初に探したところを聞いてみた。
 
「机の一番下の引き出しです」
 
と答えたので、じゃあ、そこにあるよ、と教えたところ、書類は確かにそこにあった。後輩は目を丸くして、「探偵みたいですね」と驚いた様子。マーフィの法則だよ、と教え、「マーフィの法則、恐るべし」と感服する姿に優越感を得た出来事となった。
 
書類は確かにそこにあったはずなのに、最初に探したときにはなぜ見つからなかったのか? そして、最後に探したときに見つかったのはなぜなのか?
 
答えは簡単だ。
 
・探し物がある確率が一番高いところを最初に探す。だからそこにあった
・最初は見逃してしまっていた
・他のところを探すうちに、本当に探すべきところに思いが至らなくなってしまった
・私のアドバイスを受けた後輩は、最初に探したところを真剣に探した。だから見つかった
 
それだけである。
 
そしてそこに哲学があるのだと私は思う。
 
最初に探す場所に一番ありそうなのに、2番目以降を一生懸命探してしまい、ない、ないと騒ぐその様子は、
 
本当に大切なものはそこにあるのに、別なところばかり探して自分には何もない、と嘆く思春期の若者のようである。
やりたいことが見つからない、と仕事をすぐにやめてしまう新入社員のようである。
家族という大切なものがあるのに、他に愛を求めてしまう浮気者のようである。
 
「探し物は最初に探す場所に必ずある」とは、人生を迷う人の姿を表現している、と私は思う。これが今回の哲学の結論だ。
 
ちなみに、マーフィの法則には裏返しがついているものがある。
 
「洗車をすると雨が降る」に対して、「雨を降らそうと洗車をしてもそうはいかない」というような。
 
「探し物は最初の場所に」の裏は、「最初に探したところにはない」といったところだろうか? これも真であり、哲学ができる。
 
最初の場所を完璧に探しても見つからないのなら、そこに探し物は確かにないのだ。それなのに、一つの法則にこだわり、同じところを探し続けるのは愚かなことだ。努力をし、結果が出ないのなら、諦めて次に進む、これも真理だ。
努力する対象が好きで楽しいならば、話は別だが。
 
プロ野球選手になろうと懸命に努力して、結果が出ないなら別の道を探す。
山で道に迷い、どちらの方角にいっても目的地にたどり着けそうもないなら、引き返す。
プログラミングのデバックで、怪しいところを調査して原因が見つからないなら他を調査する。
 
こういうこと、悪くない。
 
そして、この文章のお題の綺麗なオチが見つからず四苦八苦するのを諦めて、明日のお題を考える、これもまた、悪くない。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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