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海外進出した推しのライブは最後列を取れ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村人F(ライティング・ゼミ 集中コース)
 
 
その日、日本に台風が来ていた。飛行機は飛ばない。香港にいた私は笑っていた。
「これで2日目に行く口実ができた」
私は海外公演する推しを追っかけて香港まで来ていた。当初の滞在予定は金、土、日の3日間。2 days公演の初日だけ見て帰国する予定だった。しかし台風の影響ならば、罪悪感なく香港に残れる。欠航の報を受けた瞬間、ライブのチケットを購入していた。
その時、私は金欠だった。滞在予定が急に伸びたのだ。出費は抑えたい。そのため、1番安い最後列の座席を取ることにした。
この選択はファインプレーだった。推しの海外公演における、本当の楽しみ方に気付けたからだ。
それは何か?
 
観客だ。
 
日本語を母国語としない彼らが、推しの歌声に酔いしれる。
推しによる広東語の挨拶で涙を流す。
「音楽に国境はない」ということが、事実として目の前に広がる。
これを見ることが、本当の楽しみ方だったのだ。
 
1日目の前方S席で見たライブも、確かに最高だった。ライブ前に現地の女子高生に「日本から来られた方ですか?」と流暢な日本語で問いかけられた。そして会話を終えた後、彼女が友達に母国語で、嬉しそうに報告する様子を眺めることこそ醍醐味だと思っていた。
しかし最後列から見たあの光景の後では、この楽しみ方には欠落があったと言わざるを得ない。席の周りに日本人が多かったからだ。
 
海外に行くからには、その土地にしかない文化に触れたいと、誰しもが思うことであろう。それを実現するためには、日本人と触れ合う確率を下げなければいけない。そのためには、日本人が取りそうな選択肢を避ける必要がある。
例えば海を越えて推しに会いに来た人は、少しでも良い席に行きたいと思うだろう。だから座席指定の本公演では、前方S席に日本人の割合が多くなるのは必然である。そうなれば、ただでさえ目の前の観客が少ないのに、そのほとんどが日本人ということも起こってしまう。それはとても勿体ないことである。日本人が周りに多いライブは日本でも見られるからだ。だからこそ最後列を選ぶことが、海外ならではの体験をするために必要なのだ。
 
初めての海外旅行でそれをやれとは言わない。全てが未知の状態で、言葉の通じない土地を回る恐怖は私も知っている。日本人向けツアーでライブに行くことも良い選択肢だと思う。しかし本当に楽しむには、観客全員を見渡せる最後列に行く必要があるのだ。その理由は、最後列から見たもう1つの光景に起因する。
 
そのライブでは曲の間のMCで、様々な質問が観客にされていた。その中で「今日はどこから来たんですか?」という問いがあった。最後列にいた私は全員分の回答が見えたのだが、その内容が興味深かったのである。日本人がS席に多いというのは前日に分かっていた。しかし、その日はS席の約9割が中国本土から来た方だったのである。
推しは香港だけでなく、中国でも大人気である。だから中国本土から来られるのも当然のことだ。しかしS席の9割を占めるというのは、当時流行っていた爆買いを象徴する光景だった。見た時の心境は、正直冷ややかだった。
その認識が浅いものと気付いたのは、ライブ終盤になる。推しが最後の曲振り中、観客に感謝の気持ちを述べた時である。その中国人集団が、推しを象徴する鎖のオブジェを全員で繋げたのである。
サプライズ、中国全土にいるファンの感謝の気持ちを代弁するため、彼らはS席に来たのである。「今日のサプライズはこう来たか」と、推しは涙していた。
 
実は前日のライブでもサプライズが行われていた。会場にいる全員で、同じく推しを象徴する、白と黒の翼を模したうちわを掲げていたのである。そしてそのサプライズを企画したのは香港のファンだった。
つまり1日目は香港、2日目は中国からそれぞれ感謝の気持ちを伝えようという話し合いがされていたのである。それは政治的に不仲である彼らが、推しを愛するため友好を結んだことを意味する。推しの音楽が両者のわだかまりを溶かしたのである。
おそらくそれに気付いた日本人は推しと、唯一最後列から観客全員を見た私だけだ。この美しい光景を見られるから、最後列のチケットを強く勧めるのである。
 
海外公演に行くからには、現地の観客も味わっていただきたい。推しの音楽が国境を越え、絆を生み出す。それを最も体感できる座席が最後列なのである。そしてこの光景は、日本では決して見ることが出来ない奇跡なのである。皆様にも、ぜひ体験していただきたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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