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恩師からの恩送り


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:布井健登(ライティング・ゼミ 秋の集中コース受講生)
 
 
みなさんには、恩師はいますか?恩師というと、いろいろな捉え方があると思います。そこで、「恩師」 という言葉の定義をしましょう。私流で恐縮ですが、「恩師」 とは、
 
「自分の人生に大きな影響を与えてくれた先生」です。
 
私は、迷いなく2人の先生の名前を挙げます。それは、中学3年生の「原田先生」 と、大学時代の「田中先生」
 
私にどんな影響を与えてくれたのかというと、「原田先生」 は、「一度決めたことを絶対に貫く覚悟」。「田中先生」 は、「身を投じても教え子の成長のために尽くす愛情」 でした。
 
「原田先生」 の話から聞いてもらえますか? 私は中学の頃は、勉強ができた学生でした。加えて、自分でも理由がわかりませんが、クラスの人気者。当時の古臭い言葉で言えば、「頭が良いのにひょうきんもの」だと先生は言ってくれました。
 
当時私は、愛知県でも偏差値が1番の高校(T1高校) を目指していました。第2志望が偏差値2番目の高校(T2高校) という、愛知県の高校受験では豪華ラインナップでした。
 
今考えると、自分ながら無鉄砲な中学生だったと思います。きっと、誰もが「両方、または片方は落ちるだろう」 と予想していたと思います。
 
なぜかというと、T1高校は私の中学校の創立以来、合格はおろか受験した生徒が1人もいなかったからです。「T1は落ちるだろう」 と予想されても無理はないと思います。でも、もし合格すれば、私はその中学校史に名を残すことになります。これを当時の私は、「両方受かったら痛快だ」 と軽く思っていました。
 
受験の順序は、T2高校が先で、T1高校が後。驚くことに、T2高校に合格してしまいました。まず、痛快ストーリーの第一関門を突破しました。
 
しかし無鉄砲野郎は、折れてしまったのです。「もうT1高校は、適当でいいや」 そう考えた日の夜、家に電話が鳴りました。母がその電話に出ると、「原田先生よ」 「え?マジ?」 と電話を替わりました。
 
「先生、もうT2高校が受かったからいいよね?」 と打ち明けたところ、「原田先生」 は真面目な低い声で言いました。「おまえな。一度目指したことは貫いて見せろ」
 
「ハッ!」 と私は、我に返りました。己の怠慢を見透かされたような気がして、自分を恥じました。「やるか!」 たった一人で60分かけて受験地まで行き、泥臭くてもやり切ったと誇れるくらい、全身全霊で臨みました。
 
で、どうなったのかというと。合格してしまいました。痛快ストーリー完成です。ですが、私は当初と違い謙虚でした。この結果は自分の力ではなく、「原田先生」 の祈りのおかげだと信じています。
 
そうしてT1高校に入学したのですが。「勉強なんて大人になって何に使えるんだ?」 と反抗のお年頃。友人は、大企業の社長とか総合病院の院長とかの息子ばかり。「ついていけねえ」 と、孤独の「17歳の地図」
 
大学は、北海道小樽市の小樽商科大学に入学しました。もう遠くに行きたかっただけです。そこでモテたものですから、大学2年時に留年。4年時の3年生でゼミの選択がありました。そこで出会ったのが、「田中先生」 です。初めは、ほぼ無視され続けましたが。
 
「お前、あの愛知のT1高校か?都落ちだな」 とまで言われる始末。ゼミの授業でも私は置いてきぼり。
 
このゼミは、公認会計士か税理士になるためのゼミでした。今考えると、当時簿記すらやったことがない私は、無視されて当然かと思います。ですが、ここで私は考えたのです。「ゼミの中でみんな合格できない『日商簿記1級』 に合格したら、この先生の鼻を赤らせられるだろうな」
 
「ゼミのみんなは、みんなO専門学校に行っている。留年した自分に、専門学校に行く金はない。こうなったら独学するしかない!」 と私は本屋に直行。日商簿記1級テキストや問題集を買い込み、毎日朝まで勉強しました。
 
そして、いよいよ受験当日。ゼミ仲間が受験会場にいました。「負けるもんか!」 と意気込んでは見たものの、知らない言葉がオンパレード。「やはり、本屋の参考書レベルでは、専門学校に勝てないのか」 得意の「泥臭くしがみつく戦法」 で、なんとか試験は終了。マスを埋めきったという感想でした。
 
そして、結果は?
 
なぜか、参考書だけの僕は1発合格。ゼミ仲間は不合格だったのです。そこから「田中先生」 の態度はガラッと変わりました。
 
先生は、ゼミ以外でも私とマンツーマンの講義をしてくれるようになりました。憎たらしかったですが、しがみつく気持ちだけで始めました。ですが、不思議と先生に対する気持ちは尊敬に変わり、知らないうちに感謝の気持ちが芽生えてきたのです。
 
そして、5年かかった大学の卒業式の日を迎えました。でも、私は式典会場にいませんでした。
 
そのとき、私は名古屋にいました。公認会計士を本格的に目指すためです。当時、小樽はもちろん、札幌市にも公認会計士の受験を目指せる「専門学校T」 がなかったのです。地元の名古屋にはあるのですが、学校の授業開始が卒業式の前でした。
 
しかし、学校に行こうにも、肝心のお金がありません。私は留年してしまったし、父の事業は傾き始めています。親に頼むわけにはいきません。どうしたものか悩んでいると、「田中先生」 は「お金は貸してあげるから、卒業式まで待たずに名古屋に帰りなさい」
 
もう言葉がありませんでした。そこまで私に期待し、愛情を注いでくれるとは。「この愛を受け取らないと、私は人として失格だ」 と、受け止める覚悟を決めて、私の今があるのです。
 
この恩師たちの連鎖は、私にとって必然な気がします。どう生きるべきか気づかせるために、人生の軌道を正してくれた大切な「恩師」 です。次は、私がなる番ですね。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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