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しあわせな猫を増やす方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:寺田 昌代(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
今日もカフェの猫たちのお世話に行く。
私はこのボランティアの活動が好きだ。
単に猫が好きというだけではない。
猫が幸せになっていく様子を目の当たりにできるからだ。
ここに縁があって来た猫は幸せだ。そして縁があって卒業した猫はもっと幸せだ。
それはここが終の棲家を見つけるための譲渡型のカフェだからだ。
 
一方外で生活する猫は厄介者として扱われる事が少なくない。
外で暮らす猫が増えると様々な問題が起き、保健所に持ち込まれる。しかし里親が見つからなければ、殺処分という事になる。
 
ねずみ算式とよく言うが猫もねこ算式に増える。
お母さん猫が子猫を4匹産みました。それから2ヶ月が経ち子猫は離乳しました。
その後お母さん猫はまたすぐに妊娠しました。猫の妊娠期間は約2ヶ月なので
2か月後また4匹産まれました。子猫は8匹になっていますが、最初に生まれた4匹のうち2匹はメスで、お母さんが後の4匹を生んだ時にはすでに妊娠していて、また2ヶ月後それぞれに4匹ずつ子猫が産まれました。その2か月後後から産まれた4匹のうち2匹はメスでその子猫が離乳する頃には最初の子猫が2度目の妊娠をし……と繰り返される。猫の出産は年に3回あり、1匹で2年間に80匹以上を産む事も可能だという。
これを「ねこ算式」と言う。
 
私が住んでいる市では地域に生息する猫で飼い主がおらず、健康であると思われる猫に対し、条件付きだが申請をすると避妊・去勢手術費に対し助成金が出る。
例え猫を保護しても、不妊手術をしなければねこ算式に増える。しかし手術をするには費用がかかる。要はその費用を、保護した人(地域)、県の獣医師会そして市で分割して負担しようというものだ。
そして、不妊手術をした猫は1代限りとなりそれ以上増やさない事につながる。
不妊手術を「かわいそう」という人もいる。
でも考えてみて欲しい、どんどん増えてどんどん殺処分される猫とどちらがかわいそうか。
 
全国で数多く「TNR」という活動をしている団体がある。
「T:trap トラップ」捕獲する
「N:neuter ニューター」不妊手術
「R:return リターン」元の場所に戻す
そして手術の終わった猫は、再捕獲を避けるために目印として、片耳先をカットする。
カットした形がさくらのはなびらににていることから「さくらねこ」と言われる。
 
手術をしても、外で生活していたいわゆる野良猫というのは、子猫以外は飼い猫にするにはかなり難しく、時間もかかる。時間がかかっても飼い猫になれればよいが、なれない事の方が多い。
そしてそれは人間にとっても、猫にとっても良くない事だ。
なので保護し、手術を終えた猫は元の場所へ帰すのがいいのだ。
 
そして一番いいのがその地域の方に理解をしてもらい「地域猫」として生涯を終える事だ。
 
猫が嫌いな人も当然いる。だが、猫に罪はない。
外で生活している猫の寿命は長生きしてもせいぜい5~6年だ。
その猫が子猫を産まなかったらそれでその地域には猫はいなくなる。
たった6年の命なのだから、地域のみんなで面倒を見てくれないだろうか。
猫は利口な動物だ。時間を決めてご飯をあげれば、その時間にだけそこにやってきて、食べたらまたのんびりできるお気に入りの場所へ帰っていく。ゴミを漁ったりはしなくなる。
トイレも決めてやればそこ以外にはしなくなる。フンの害はなくなる。
生活の場を少し共有するだけで、お互いが幸せに生活していける。
誰かが飼うのでも殺処分にするのでもなく、「地域猫」として生きていく道を選ばせてあげて欲しい。
 
私が猫を飼い始めたのはやはり外で生活している子猫を保護したからだ。
その子猫は猫風邪のせいで両目が見えなくなっており、川に落ちてしまい、小さい体で精いっぱいの力を振り絞り鳴いていた。
始めはやむを得ず助けてしまい、飼う羽目になったのだが、結局私はこの猫に助けられた。
その頃の私は何に対しても素直になれず、仕事にもそれは表れており、精神的にも辛い時だった。そんな時にその子猫は私の前に助けを求めてきたのだ。頼るものはなく、おまけに目も見えない。さぞかし不安だっただろう。怖かっただろう。
その子猫を見ているうちに、自分はなぜ素直に助けを求められないのだろうかと思った。
この子のように周りの人に助けを求める事は、最悪の事態から救い出してくれるかもしれないのにと気づいた。
すると不思議と心が軽くなった。
それは不甲斐ない私のために神様がおくった使者だったのではないかと、今は思っている。
その子は数年前に私のへの使命を果たし、神様の元へ戻っていった。
今頃は、私と同じように先に進めず、辛い思いをしている人を助けていると信じている。
 
「不幸な猫を減らそう」だけではなく「幸せな猫を増やそう」という気持ちで
一人でも多くの人にこの「地域猫」の活動を知ってもらいたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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