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Connecting the dots 〜点と点をつなぐ旅〜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田中真美子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
”The first story is about connecting the dots.”
 
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが病に冒された後、亡くなる6年前の2005年にスタンフォード大学の卒業式で卒業生に向けて行った有名なスピーチがある。
 
特にそのスピーチの中で有名なのが ”Stay Hungry,Stay foolish” 「ハングリーであれ、愚かであれ」というフレーズだ。
このフレーズをどこかで聞いたことがある、という人は結構いるのではないだろうか。
 
しかし、そのフレーズよりも私が強く印象に残っているのは、ジョブズがスピーチで語った3つの物語のうちの最初の物語、”connectiong the dots.”「点と点をつなぐことについて」だ。
 
ジョブズはこのスピーチの中で、過去の経験の点が将来何らかの形で繋がっていくことを信じなければならない、と語っている。
 
私はこの「点と点をつなぐ」という表現に強く心を打たれた。
なぜなら、過去にこれを想起させる出来事を経験したからだ。
 
今から何年か前、私は壁にぶち当たっていた。
 
当時、会社で組織の風土改革を行うタスクフォースに私は参加していた。
そのタスクフォースの中で私はリーダーを任されて、自社の社員と子会社の社員10人ほどをまとめる立場にあったが、議論が発散し、なかなか意見がまとまらない日々が続いていた。
 
検討が行き詰まり、それを打破することができず、せっかく任されたリーダーとしての役目を果たせない自分に大いに落ち込み、どうしたら良いのかわからなくなっていた。
 
そんな中、夏休みを利用して直島へ旅行に行ったときのことだ。
 
直島は瀬戸内海に浮かぶ香川県の小さな島で、近年ではアートの島として知られ、世界中から観光客が来る島だ。
フェリーで港に着くなり、水玉模様の赤いカボチャのオブジェをが出迎えてくれ、島内のあらゆるところで現代美術のアート作品を見ることができる珍しい島である。
 
島をぶらぶら観光していると、直島に建築家の安藤忠雄氏が来ていることがわかった。
安藤忠雄氏は直島にある美術館やホテルの設計に携わった、直島ゆかりの建築家だ。
ちょうど訪れたミュージアムでトークショーが始まることを知り、全く予備知識の無いまま安藤忠雄氏の話を聞くことになった。
 
その時、私は全く知らなかった。
彼が高校を卒業して独学で建築を勉強し、世界的に有名な建築家の地位までのぼりつめた人物であることを。
 
安藤氏のトークは弱っていた私の心にガツンと衝撃を与えるものであった。
 
経済的に恵まれない環境で育ち大学への進学をあきらめたものの、建築家になりたいという強い信念を貫いて手探りで建築を学び仕事を得てきたこと。
病に身体を冒されながらもいまだに精力的に活動をつづけていること。
 
それに比べ自分は何と恵まれていることか。
会社に行けば優秀な仲間がいて、教えを乞うことのできる上司や先輩もいる。
身体も五体満足、健康そのものだ。
 
直島から帰ってきてから安藤忠雄氏の著作を読み、自らの仕事への向き合い方を振り返った。
こんなことで挫けていてはダメだと気持ちを持ち直し、根気よくタスクフォースの活動に取り組み続けた。
 
与えられた1年という期間で、経営層に決定的な改革の提言をするには至らなかったが、何とかタスクフォースの意見をまとめて形にしたものを報告することができた。
最初は意見がバラバラだったメンバーも、議論を繰り返す中でそれなりに結束力が生まれ、あきらめずに取り組んで良かったと素直に思えた。
 
あの時、直島での偶然の出来事がぶち当たった壁を乗り越えるきっかけとなった。
旅での経験が仕事に結びつき、より良い未来へと繋がっていったのだ。
 
私にとって旅とは、日常では得られない気づきを自分に与えてくれる点のようなものだ。
旅先での偶然の出会いや、そこで観る素晴らしい景色、未知の食べ物。
新しい経験をすることで、普段は何でもないように思っていたことの見え方が変わって、今までの価値観や固定観念が変わったり、アップデートされたり。
それは、旅で得た経験の点と、日常の連続する点とが結びついていくようなイメージで私は捉えている。
旅をしたことがあるあなたなら、きっと同じような経験をしたことがあるのではないだろうか。
 
今、世界は未曾有の事態に直面している。
当たり前のように行ってきたことが当たり前でなくなり、移動も制限されて人と人とがつながる機会も減っているように思える。
このような状況下で、旅に出ることすら困難になってしまった。
 
でも私は信じている。
いつかまた自由に旅に出られる日が訪れることを。
 
その日が来るまで、日々の暮らしの中で本を読み、街を歩き、学び、遠くない未来に過去を振り返ったときにつなぐことができる点をいっぱい作っておきたい。
 
きっと、天狼院書店のライティング・ゼミで学んだこともとても大事な、貴重なひとつの点になると私は信じている。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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