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「努力の凡人」になってみて思うこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:森本雄大(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「オタクみたいなことばっかりやってないで、外で遊んできなさい!」
 
見かねた母親に、激を浴びせられる。
 
「今これ作ってんの!いいとこなんだけど!」
幼心に反論するが、どこか寂しさを覚える。
 
小学生の僕は、工作や一人遊びが好きな子供だった。
サッカーやテニスを習い事で始めても、壊滅的にセンスがなく上手くいかない。
 
自分には得意なことがある。しかし、周りはそれを認めてくれていないように思えた。
 
もっと周りに評価されたい。でも、そのための表現方法がわからない。
周りが望む方向に行けば行くほど、自分を見失うようなそんな感覚だった。
 
そんな僕が中学に上がって、初めて誇れるものができた。
それは、バスケットボールだった。
 
友達と部活に入部すると、すぐにバスケに夢中になった。
元々161センチと中一にしては体格が良く、ジャンプ力にも恵まれていたからだ。
 
バスケには、ゴール下と呼ばれるポジションがある。
敵味方がシュートを落としたボールを拾ったり、ゴールを背にして攻めるプレーを
主とする。
背の高い選手の主戦場となり、競技には必要不可欠なポジションだ。
 
そのポジションにつくと、不器用ながら力を発揮することができた。
がむしゃらになって飛び、ボールを奪い、シュートを決めた。
他のことは出来なくても、ゴール下には確かに自分の居場所があった。
 
中学では時間があり、不器用さも人一倍の練習量でカバーできた。
周りにも期待され、かっこよくて望ましい自分になれていると思った。
 
まるでスラムダンクの桜木花道がバスケを始めた時のように、
輝く場所が見つかった気がした。工作が好きだったことなんて、もう頭から消えていた。
 
「自分は努力の天才だ」
そう思って、努力すれば何でも成し遂げられると思っていた。
そう思うと欲が出た。
 
「もっと強いチームで挑戦してみたい」
 
高校で地元の強豪校に入学すると、僕は壁にぶち当たった。
身長は止まり、強みだったゴール下で力を発揮できなくなったのだ。
 
それまでおろそかにしていたドリブルなどのスキルや長距離シュート、
ディフェンスなどの脆さがあらわになる。
何より、視野の広さや判断能力、経験がなく、フォワードのポジションへの適性もスキルもない。
競技への根本的な適性も足りないことに気づき始めた。
 
それでも「自分はバスケだ。ゴール下なら」と思い、努力の方針を変えない。
 
そのうち後輩には180センチを越える選手も入ってきて、コートに僕の居場所はなくなった。
人一倍声を出したり、努力したり、そういった行為を続けていないと、自分の存在意義が
本当に消えてなくなってしまいそうで怖かった。
 
3年間やり遂げても、結果レギュラーにはなれなかった。
 
「努力だけでは報われない。勝てない」
そんな現実に、僕はその時初めて気が付いた。遅すぎる気付きだった。
 
ここには埋蔵金がきっとあるぞ。と、何もない土地を掘り続ける。
飛びきり大事な時間や労力を全投入して、成果を追い求める。
そんな行為を「努力」とラベリングして、信じて疑わない。
 
なぜ、上手くいったのか。なぜ、上手くいかなかったのか。
もう少し、客観的に自分を見つめる必要があったのは間違いない。
 
この経験から思ったことは、「努力したら上手くいく」は幻想だということだ。
 
僕が中学で上手くいったのは、努力したからではない。
身長の高さとジャンプ力という強みが、バスケットのゴール下のポジションとフィットしたから。そして、同じような役割の選手が少なかったこと。
視野の狭さや判断力といった点は、ある程度他の選手に任せることで補えた。
自分の能力を生かして、特定の仕事をするのが向いているということだ。
 
そう考えることができれば、高校で強みが無くなった時点で競技を変える選択肢が取れた。
他の競技でも勝てなければ、他にも自分の強みはあるだろう。文化系でも勉強でもいい。
 
もしくは、同じバスケでも一点集中の長距離シューターに転向という手もあった。
同じ量努力するのであれば、少なくともその方が成功する可能性は高い。
どこで自分は勝負するのか。考えなくてはいけない。
 
そして、他人からの目を気にして、望ましい自分像を作ってはいけないということ。
 
「自分の得意なことは評価されない」
そう思い込んだ時点で、間違った方向に努力を積みあげるきっかけを作ってしまった。
自分の理想像に他者の価値観が入っていないか、考えることが必要だ。
 
大学ではバスケを辞め、得意だった歌の活動を始めたりと、僕は舵を切った。
今の仕事でも根本的な問題点が見えてきており、得意だった文章や製作の方向に舵を
切ろうと行動を続けている。
 
僕はバスケで桜木花道にはなれなかった。
けれども、他に道があることに気付けた。
何より、挑戦したことで気が済んだ。大切な仲間もできた。
 
今はもうそれでいいと思える。
 
今、夢中になって取り組んでいることはありますか?
もし違和感を感じた時は、止まって振り返ってみて欲しいのです。
振り返ることを恐れないでください。
 
そうすればきっと、本当の意味での「努力の天才」になれるはずだから。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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