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子どもの「やりたい」によりそってみた日の話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Sakko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「メリーをバラバラにしてみたい!」
 
土曜日の朝、のんびりと起床し、パジャマのまま朝食を食べていた5歳の娘は、ベッドメリーを指さして言った。
 
ベッドメリーとは、よく赤ちゃんのベビーベッドに取り付けてある、くるくると回転するおもちゃのことである。我が家で持っているものは、赤ちゃんの成長に合わせて、6通りの形に変えて遊ぶことができるもので、現在は1歳の息子用に、最終形態である「つかまり立ち」をして遊べるよう、アーチ状の骨組みにくまのプーさんのぬいぐるみやプラスチックのおもちゃがいくつも取り付けてある形をしている。中央には、複数のボタンがついている機械がつけてあり、そのボタンを押すと、音楽や音が鳴るようになっている。
息子もお気に入りで、そのおもちゃにつかまっては、ボタンを押し、流れてくる音楽に合わせて体を揺らして楽しんでいる。
 
そのメリーをバラバラにしたいと、娘は突然言い出したのだった。
確かにアーチ状の骨組みはいくつかに解体でき、取り付けてあるおもちゃもすべて取り外すことができる。それらを一旦バラバラにしてから、また元通りに戻してみたいとのことだった。
 
なんだか「自分で穴を掘って、その穴を埋める拷問」みたいだなと思った。
何の生産性もない気がした。
それに途中で投げ出して、私が組み立てることになる可能性が高かった。
めんどくさい。
まだ、息子のご飯は食べ終わっていないし、この後は朝食の片づけ、歯磨き、お着替え、家の掃除とやることもいろいろあった。
「いやだよ」という否定的な言葉が、いまにも口から出てきそうになる。
 
しかしその日は、頭の中で待ったをかけるもう一人の私がいた。
 
今日は土曜日。仕事はおやすみ。
べつに時間に追われているわけでもない。
たしかに途中で投げ出す可能性が高いけど、娘はやりたいといっている。
いろいろやることがあるのは、私の都合で、娘には関係ない。
娘の好奇心のままにやらせることが、大切なんじゃないだろうか。
そういえば、ラジオとか、テレビとか、何かをバラバラにして元に戻すって、有名な発明家や物理学者の自伝によく出てくるエピソードじゃない!?
 
そう思い立って、娘に自由にやらせてみることにした。
サポートは最低限にしよう。
力が足りなくてできないところは手伝ってあげるけど、あとは、聞かれたことだけ簡単に口頭で教えることにした。
 
「なるほどね~~」
と言いながら、ご機嫌に分解していく娘。
やり始めてみると、あっという間にバラバラにすることが出来た。
 
そして、組み立てにも着手し始めた。
 
そのころ、ちょうどヘルシオウォーターオーブンで作っていた焼き芋が焼けた。
余談だが、最近、ヘルシオで作る焼き芋にはまっている。
洗ってサツマイモを入れて、「焼き芋」のメニューボタンを押すだけ!
本当においしい焼き芋ができるので、テンションが上がる。
おやつとして子どもにも評判がいいのでおすすめ!!
出してあげると、「充電するの」と一口かじって、自分にパワーを充電してから、娘は仕事に戻っていった。
 
バラバラにするよりも、組み立てるほうが難易度が高い。
メリーの骨組みに、おもちゃを1つずつ紐で結んで取り付けるのだが、結び方が決まっていた。
難しいかなと思いつつも、結び方を教えると、理解したようで、一つずつしっかりと取り付けていた。
途中で投げ出すと思っていたので、ちょっと意外な展開になってきた。
 
でもひとつだけ、どうしても取り付けられないおもちゃがあった。
紐を入れる穴が小さく、大人でも少し苦労する場所だった。
 
「ほかのやつを先にやっちゃえば?」
を私がいうと、
「難しいやつは先にやったほうがよくない?」
という返事が返ってきた。
 
誰かに教わったのか。それとも、娘の性格なのか。
難しいやつを先に終わらせるという思考が、5歳児にあることに面白みを感じた。
 
「でも、今回は簡単なところ全部やってから、最後にもう一度やってみるのもいいんじゃない?」
と提案すると、
「そうだねー!」
とすんなりを聞き入れ、作業を再開した。
 
朝食の片づけのために、私がキッチンに行くと、何度も呼び出され、作業の進捗を報告されたが、片づけを終えることには、ほとんど出来上がっていた。
 
しかし、途中でつまずいていた箇所だけは、やはりできないようだった。
でも、自分で全部やったという達成感を感じてもらいたいなと思い、ちょっとだけお手伝いして、完成までこぎつけることができた。
 
完成したメリーを見て、娘は満足そうな顔をしたのも束の間、すぐに興味が薄れたのか、テレビを見始めたのだった。
 
まさか、全部やり遂げるとは思っていなかった。
本当に小さなことだが、やらせて良かったなと思った。
 
とりあえず、娘が「偉大な発明家になるかもしれない芽」は摘まずにすんだかもしれない土曜日の朝だった。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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